ガーデナー&ベランダー集まれ! 3月9日(土)曳地義治さん&トシさんのトークショー「いのちがめぐる庭づくり」
3月9日に、フラワーダイアログあおば2018年度のクロージングイベントとして、ひきちガーデンサービスの曳地義治さんとトシさんによるトークショーを青葉区役所で行います。オーガニックなガーデナーとして有名なお二人に、いのちがめぐる庭づくりの秘訣についてうかがってきました。

ひきちガーデンサービスは、個人の庭づくりを専門として、夫婦二人で営んでいる植木屋さんです。

 

「庭は毎日の暮らしの空間です。庭が使いやすければ、庭に出ることが楽しくなり、ますます居心地のよい場所になっていきます。

そのためには、木の一本一本に合った剪定とともに、機能的で、シンプルな飽きの来ないデザイン、そして、なるべく環境に負荷を与えない自然素材や材料で、ていねいな庭づくりをしています。流行に流されない、伝統に縛られない、長く使え、なおかつ生活の中で愛着がわいていく…それが私たちの庭づくりのコンセプトです。」(ひきちガーデンサービスHPより引用)

 

埼玉県飯能市にある、ご自宅兼事務所の「雨音堂(あまねどう)」とそのお庭には、この言葉が、そのまま表現されていて感動します。敷地に足を踏み入れた時からなんとも心地よく、お二人が手間を惜しまず、楽しみながら家と庭を育ててきた様子を肌で感じられました。

庭からみた雨音堂の様子。釘を一本も使わない伝統構法で建てたという家は、主張しすぎず、その土地に生えているようだった

デッキから庭を眺める。室内から外への動線がよく、デッキから奥の倉庫には雨に濡れずに行ける。どんな時もつい庭に出てしまうようデザインされている

高さのある花壇(レイズドベッド)は立って作業ができて楽な上に、椅子にもなる。テーブルには水道がついているので、何か作業したり食べたりする時にはさっと水を使えてとても便利だとのこと

歌って踊れる市民活動家を目指して(!)実は、横浜で様々な集会やイベントをしていたというトシさんは、義治さんと出会い、造園業に足を踏み入れました。全くの造園初心者だったトシさんは、掃除や見習いから始めて経験を積み重ね、自然の仕組みを知るごとに、庭づくりの世界に魅了されていったそうです。今では庭づくりに関する著書もたくさん出されて、夫婦揃って各地で講演会を行ない、その楽しさと奥深さを伝える仕事もされています。

甕に水を張って水草を入れた小さなビオトープは生き物の居場所の一つとなる。メダカに住んでもらえば蚊も発生しない

書籍の中でも好評だったという『虫といっしょに庭づくり-オーガニック・ガーデン・ハンドブック』(築地書館)、『雑草と楽しむ庭づくり        -オーガニック・ガーデン・ハンドブック』(築地書館)には、庭で出会う様々な虫や雑草が写真付きで詳しく解説されていて、彼ら(雑草や虫)との付き合い方や、薬に頼らない対処法が載っています。

 

「最初は虫なんて大嫌いだったけどね、今では好きになっちゃった。人のウチの塀とか、地面に近いところで、ぐっと寄って写真を撮ってたら怪しまれたこともあるのよ!」と明るく笑うトシさん。

好きが高じて虫の写真をコラージュしたアート作品が部屋に飾られるまでに

これはなんと虫のための家! はちも寄ってくるが、はち専用の巣箱とはまた一味違う。虫たちは小さな隙間が大好きなのだとか

庭には他に、薪小屋やピザ窯小屋、人が寝泊まりできる薪ストーブ付きの小さな小屋まであり、庭だけでも快適に暮らしていけそうなくらい充実しています。

 

最近忙しくて心の余裕を失っていた私。放置してしまった我が家のベランダを思い、理想の空間づくりを私もまた考え直そうと元気が出てきました。植物の世話が面倒で苦手だという人も、自分の使いやすいように環境をつくれたら、自然と庭に出たくなってしまうのではないでしょうか。そのための基本的な考え方やコツを、トークショーで学んで実践する人が増えるといいなと思います。

生ゴミはコンポストで土に還す。右から順に、生ゴミと土を混ぜて発酵を促し、切り返して隣に移していき、3段階で完全な分解を進めていく

現在拡張しつつある作業小屋の中の一角。よく使う道具がパズルのように配置され、ごちゃっとしているのもおしゃれに感じる

人間にとって一見不都合に感じる虫や雑草ですが、ただ放置するのでもなく、よく観察して必要な処置をすると、その結果をまた庭や、植物たちが教えてくれます。庭仕事は、身近な自然との終わることのない対話なのだなと私は改めて感じていました。

 

「雑草も、一本の草と見れば一つの生き物です。敵と思って根こそぎ抜かずに、刈るだけで十分だったりするんです」と静かに語る義治さんの言葉が印象に残っています。

書籍の一部。韓国や台湾で翻訳されるなど、近年は東アジア圏でのファンも増え、海を超えて講演会に呼ばれることもあるそう

お二人は、7、8年前から月一回の句会に参加するようになったそうです。移りゆく自然の姿を言葉に写しとる作業。長い時間をかけて洗練されてきた季語の楽しさや奥深さ。「俳句の世界では、ありきたりの日常を、いかに思い込みを取り払って見られるか?」が重要だというお二人。生き物や自然に対する先入観や固定した考えや感情にとらわれない、自由な心でいられるのは、どうやら俳句の影響も大きいようです。

 

いのちがめぐる生き生きとした庭づくりをされている義治さんとトシさんに会うと、知らぬ間に凝り固まっていた考えがひっくり返るかもしれません。庭仕事ビギナーもプロも、それぞれに響くところがあるような、楽しいお話がきっと聞けると思います。

Information

曳地義治さん&トシさんのトークショー

「いのちがめぐる庭づくり」

2019年3月9日(土)13:00-15:00(開場12:45)

会場:青葉区役所4階会議室

定員:100人

参加費:無料

 

申込みは、イベントのタイトル、お名前、ご住所、電話番号、メールアドレスを明記し、event@morinooto.jpまでお申し込みください

Eメールをお持ちでない人は、FAXで企画調整係045-978-2410へお願いします

※保育あり:保育希望の方は、お子様のお名前、年齢、アレルギーの有無を記載し、2/28までにお申し込みください。

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この記事を書いた人
梅原昭子ライター
引き算の編集が好きです。できないこと、やりたくないことが多過ぎて消去法で生きています。徒歩半径2キロ圏内くらいでほぼ満ち足りる暮らしへの憧れと、地球上の面白い所どこでもぶらりと行ける軽さとに憧れます。人間よりも植物や動物など異種から好かれる方が格上と思っている節があります。
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