(text&photo:岡本佳代)
幼稚園に通う息子を子育て中の私は、公園愛用者の一人です。近所の桜台公園は、小高い丘もあり、広々とした緑豊かな公園です。毎年12月にはたくさんの落ち葉を燃やして、焼き芋大会が開催されることでも有名な、青葉台のランドマーク的な公園でもあります。私たち親子も毎日のように通い、遊具で遊んだり、草花や昆虫を観察したりして過ごす、大切な空間です。
今年、私は森ノオトのライターになり、青葉区との協働事業「フラワーダイアログあおば」の活動を通じて、ハマロードサポーターや公園愛護会の存在を知り、それらの団体活動を支援する青葉土木事務所を訪ねてみました。
取材に伺う前の私の「土木」という言葉の印象は、「大規模工事」という印象でした。川の土砂災害から住民を守るための堤防をつくったり、大きな道路をつくるために大量の砕石やコンクリートを積んだ作業車と現場の男性たち。男性の仕事というイメージがあったのですが、土木事務所を訪れると、想像と違いフロア内には女性も多くいました。お話を伺った方々は、みなさんお揃いの青の作業着を着て、土木について何も知らない私にとても親切に答えてくださり、予想に反して笑いの絶えない楽しい時間となりました。
土木事務所は、道路の維持・管理をする「道路係」、下水道や公園の工事や維持・管理をする「下水道・公園係」、区民からの意見や申請書関連の受付をする「管理係」の3つの部署に分かれています。
お話を伺った職員の方々の一人、堀さんは、下水道・公園係長で、横浜市に入庁してから主に下水道関連の工事に携わっています。一口に「下水道」といっても、業務内容は多岐にわたります。なかには木の根が下水道に入り込んで下水を詰まらせるため、木の根を除去することもあるそう。下水道というと、直接目に見えないだけに、工事も地下にある下水道管に潜ったりと、高度な技術を要するものなんだろうなと感じました。
―「土木事務所の駐車場前にある砂や砂利は何に使うものですか?」
堀「あれは道路や公園を修理する時の材料です。道路は砕石の上にアスファルトを平らにならしてできています。もし道路が壊れたなどの電話が入ると、早急に修理しなければならないので、土木事務所のメンバーがすぐに現場に駆けつけて道路修理する場合もありますし、業者に依頼して修理する場合もあります」
―「それであの大量の材料を保管されているのですね」
堀「そうなんです。道路だけでなく、公園の木や遊具、道路の街路樹、奈良川や早渕川などの河川、下水道の管理や維持も私たちの仕事です」
堀さんのお話から、私たちの暮らしを守る、市民の救急隊という印象を受けました。
土木事務所の駐車場の左手には、ほかにも、木材や標識が置かれています。
これらのものは、道路を管理する土木事務所の管理係に、区民から電話がかかってきて、回収したものだそうです。私が青葉区に引っ越してきて一番驚いたことは、道路に落ちているゴミの少なさでした。住民の街に対する意識も高いらしく、土木事務所への問い合わせの電話は年間4900件ほどあるそうで、住民の緑化や綺麗な街並みに対する意識が高いと感じることが多いそう。
そんな住民からの問い合わせをまとめ、道路や下水道などの土木が専門の「道路担当、下水道担当」、造園が専門の「公園担当」の各担当者に仕事を振り分けるのが国本さん、三原さんの在籍する「管理係」です。
―「土木というと夜中や早朝に工事などをしているイメージがありますが、普段どんな働き方をしているのですか?」
村松「基本的には8時30分から17時15分までの定時の時間帯に働いています。でも、地震や台風に備えて召集がかかったり、区民の方からの問い合わせで、遊具が壊れたといった緊急の場合は、時間外でも作業をします」
区民からの急な問い合わせも多いという公園担当。それは、道路・下水道担当も同様だそうで、「下水道から水があふれている」、「道路が壊れた」などの問い合わせが緊急で入ることもあるそう。そのような問い合わせの電話が入ると、住民の生活に支障が出るので、早急な対応が求められます。
「青葉区の公園は緑が多くてきれいなので、撮影での許可申請がとても多いんですよ。また、公園でなにかイベントをしようと思ったら、土木事務所に申請していただくことになります」と話すのは、区民からの意見や申請書の受付、許可の事務を担当する「管理係」の国本さん。
公園でなにかイベントをしたいと思ったら、土木事務所に問い合わせ、申請すると人が集まる大きなイベントが開催できると知り、桜台公園の焼き芋大会などのイベントを、私でももしかしたら企画できるかも!とワクワクしてきました。
土木事務所の3つの部署のそれぞれの仕事は、想像していた以上に私たちの生活に密着していました。そして、土木事務所の仕事内容と同じくらい印象に残ったことは、青葉区民の緑に対する意識の高さです。
お話を伺った公園担当の荻原さんの、仕事のやりがいを感じる時は?という質問に対する答えが、「青葉区の区民のみなさんから公園に対するいろんな意見をいただいて、日々試行錯誤して仕事を通じて区民のみなさんと対話できること」という言葉が一番印象に残りました。
<公園愛護会、ハマロードサポーターを始めるには?>
実は私自身、関西地方から夫の転勤で関東に引っ越してくる時に、青葉区を転居先に決めた決定的な理由が、公園が多いということでした。青葉区には、232カ所の公園があり、その数は横浜市18区のうちトップを誇ります。もし、自分の家の近所のよく利用する公園に花壇をつくったり、掃除や手入れをしたいと思ったら、公園愛護会に参加して、活動することができます。
実際に自分で公園愛護会を立ち上げて、活動を始めようと思ったら、愛護会コーディネーターのサポートを受けることができます。コーディネーターの永井さんは「公園愛護会は2019年5月現在で青葉区内に196あり、愛護会を始める際は届出書に記載し、土木事務所に提出しますが、その後の活動ペースはさまざまです。例えば、幼稚園のバス待ちのお母さんたちが子どもを見送った後、近所の公園の清掃活動をするだけでも、愛護会として届け出ることができますよ」と話していました。
また、プレイパークの活動をしたいと思ったら、公園愛護会を立ち上げると公園愛護会の活動の一環としてプレイパークの運営をすることも可能なのだそうです。愛護会支援には、草刈り作業の講習会や花壇作りのアドバイス、樹名板作りなどの技術の支援、軍手やゴミ袋、トングや鎌といった物の支援と、公園の面積に応じて公園愛護会費もでます。
草刈り機の使い方の講習会を開くことも土木事務所の仕事です。愛護会コーディネーターを通じて環境創造局公園緑地維持課の維持管理支援班の方々が講師として来てくれて、エンジン付き2枚刃草刈機の使い方を丁寧に教えてくれます。
愛護会活動では、小石やボール、空き缶等が刃に当たっても飛びが少ない設計になっている2枚刃の草刈機の使用を、安全性の面から推奨しています。とはいえ、使い方を間違えれば思わぬ事故に結びつくので、講習会をきちんと受けた愛護会の方々にのみ貸出してくれるそうです。青葉区には2枚刃の草刈機が5台あり、1、2台を1週間程度借りたら、きれいにして再び土木事務所に返す、というのが基本ルールとなっています。
7月に荏田猿田公園で開催された草刈機講習会では、参加者から「前に一度やったけど、いつのまにか我流でやっちゃってるから、だいぶ忘れてるね。2、3年に一度は再講習した方がいい。特にメンテナンスの仕方が全然わかっていなかったね!」といった声がありました。他の参加者のみなさんもそれぞれ、初心にかえって学び直すことの大切さに気がついたようでした。
日々の草刈りや清掃など、一見大変そうに見える愛護会活動は、実は自由度が高いことがわかりました。花や虫、自然が好きと言う趣味と、実際に公園が綺麗になったり、愛着が更にわくという実益を兼ねた楽しい野外活動ととらえて見ると、私にもやれそうな気になって来ました。困った時には、頼りになる土木事務所の方々がいます。人の力で、普段の何気ない暮らしが守られていると言う安心感に包まれて、取材を終えました。
*この記事は、青葉区区政推進課との協働事業、「フラワーダイアログあおば〜花と緑の風土づくり~」によって作成しました。
青葉土木事務所
住所: 横浜市青葉区市ケ尾町31番地1
電話番号: 045-971-2300
青葉土木事務所HP: https://www.city.yokohama.lg.jp/aoba/kurashi/machizukuri_kankyo/jimusho/annai.html
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フラワーダイアログあおば9月のプログラムでは、藤が丘公園を会場に、プロの造園家とともに公園の植物散歩をして、公園や愛護会について、再発見し、より深く楽しむ体験ができます。土木事務所の職員さんも来てくださる予定です!
日時:2019年9月8日(日)9:30-13:00 (12:00からランチ交流会)
会場:藤が丘公園 東急田園都市線「藤が丘」駅徒歩4分
集合場所:愛護会ロッカー前(園内の池の近く)
持ち物:弁当、水筒、タオル、帽子、軍手、雨の場合はカッパなどの雨具
日よけと虫除けのため長袖長ズボン推奨
参加費:無料
申し込み:参加者全員の氏名、申込者の住所、メールアドレス、電話番号を明記の上、event@morinooto.jpにへお申し込みください。
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