クラウドファンディング挑戦中! ローカルメディアコンパスカード出航へ
森ノオトでは今、情報発信を学びたい人のためのワークショップカード「ローカルメディアコンパス」を制作中です。制作資金を集めるクラウドファンディングにも挑戦しているこの取り組みの今を報告します!

「ローカルメディアコンパス」は、情報発信を学びたい人のためのワークショップカードです。

表にはタイトル、裏にはメディア関係者から寄せられた経験談が書かれています。カードは約50枚。「本名載せちゃって大丈夫?」「これで病気が治ります」「何人きたら『賑わっていた』?」など、メディアの現場での声が詰め込まれていて、取材や発信によって起こるさまざまな出来事を、楽しく学ぶことができます。

森ノオトでは今、クラウドファンディングを通じて、この「ローカルメディアコンパス」をたくさんの人に認知してもらうとともに、印刷物にまとめることを目指しています。

 

https://motion-gallery.net/projects/localmediacompass/

 

「ローカルメディアコンパス」がどんなカードなのかをまとめた動画はこちら。

 


今年2019年の1月に、横浜のデザイン会社NDCグラフィックスの協力で第一号の試作品が出来上がったことは、「地域の未来を、メディアとともに進もう あなたに届けローカルメディアの行動指針」の記事の中で紹介しました。

その試作品を元に枚数を増やしてみたらどのようになるか、自分たちの手で作った試作品第二弾が6月にできました。表がタイトル文章、裏がエピソードとコメントという試作品第1弾のスタイルを踏襲しつつ、シンプルに白地に黒文字で、53枚を作ってみました。

 

表にタイトル文章、裏にエピソードが書かれた手作りの試作品。本番では、これをもとにデザインされ完成となる


一枚一枚違う、現場の経験談を掲載していますので、読んでいるだけでも楽しいのです。

 

体験第一弾 メディアの世界を覗き見してみよう

いざこれでどうワークショップができるのかをやってみよう!ということで、森ノオトが主催する情報発信の学び合いの会「ローカルメディアミーティング(20196月開催、ゲストは伊藤大貴さん)」や、東京新聞の鈴木賀津彦さんが講師を務める関東学院大学の授業の中などで体験会を開きました。

このワークショップカードを作るときに参考にしたのは「みんなで話そう!横浜での子育てワイワイ会議」で使用している「葉っぱのカード」です。

 

横浜市に寄せられた子ども子育て支援の新制度に対するパブリックコメントをもとに作ったカード。9つの基本施策ごとに9色に色分けされている。

葉っぱのカードとは、1枚に1エピソード、子育てに関する意見や困りごとなどが書かれているカードです。まさに子育て真っ最中の人にとっては「あるある話」が書かれたカード。手にとって話し始めると、自然と自分の悩みや関心について打ち明けられるという、話を引き出す力があるカードなのです。

 

この葉っぱのカードのように自然と会話が弾むきっかけになるといいなと思い、ローカルメディアコンパスでは、次のような流れでワークショップを行ってみました。

  1. 1、 グループになって、11枚、関心のあるカードを選び、なぜそのカードを選んだのかについて話す
  2. 2、 次にカードのエピソードから自分が何を得たか、何に気をつけるべきかを考えて、グループで共有する
  3. 3、 自分も「あるある」「こんな現場のエピソードを伝えたい」と思う経験を書いて1枚のカードを作る

100人規模の教室で実施した関東学院大学での体験会など、学生からは、課題提起の方法や参加人数によるやり方の模索も含め、学ばせてもらうことが多かったです。

 

東海大学での体験会の様子。ジャーナリストを志す学生たちによるプロジェクトチームJPOTのメンバーからは、メディアの現場を知る東京新聞鈴木記者や羽生教授にもたくさんの質問が飛んだ

中でも、学生メディア活動団体の東海ジャーナリズムプロジェクト(JPOT)のワークショップとして体験会を受け入れてくださった東海大学の学生たちからは「リアルな問題点について議論できて面白かった」「取材現場などが今まではイメージだったが少し知ることができ本来の現場に近づけた気がする」「全部に目を通したい」「自分の考えに気づき、他人の考えを受け入れることができた」と感想をいただきました。


プロジェクトを担当する東海大学の羽生浩一教授から、「誰もが不特定多数に向けて情報発信が容易にできるネットメディア時代に、情報発信者が主体的に責任をもって情報を作り発信するために、どうすれば良いのか、何を意識すればいいのか、問題にどう向き合えばいいのかを、ブレインストーミング的に議論しあえるきっかけとなるツール」と評価いただき、「プロの発信者にも勉強中の学生にも、課題意識の共有や問題解決のための議論のきっかけになり活用できると感じる」と応援のコメントもいただきました。

 

メディアの現場を知ったり、互いに意見を交わし合ったりするためのきっかけとして、コンパスカードが活用できることがわかりました。

しかしまだまだ活用の方法を探る必要があります。

このあと開催したメディア関係者を中心とした体験会で「個人で考えるだけでなくチームで課題に立ち向かっていくワクワク感が欲しい」「自分が興味のあるカードだけでなく、自分が未知の分野のカードについても話してみたい」という要望の声をいただいたのです。

 

体験第二弾 あなたならどうする?

 

そこで思い出したのが、減災ラボの鈴木光さんの活動です。去年、ローカルメディアミーティングの中で鈴木さんを講師に「HUG(避難所運営ゲーム)」「クロスロード」といった、防災ワークショップの体験会を開き、どのように災害時を追体験して備える心を育むかを学びました。

 

防災のワークショップ。避難所運営を疑似体験し、次々起こるイベント(避難者の来訪や災害状況の変化など)の情報を整理している

 

HUG」は避難所の運営側に立った参加者のもとに、次々と事情を抱えた避難者やさまざまな条件のついた支援物資などが届き、それにどう対応していくのかを時間をおかずに迫っていくワークショップです。また災害対応のジレンマをカードゲームにした防災シミュレーションゲーム「クロスロード」も、災害時に決断を迫られるエピソードを紹介し、「あなたがこの立場だったらどう判断しますか」ということをYES NOで判断します。
正解のない中で答えを出していかなくてはならないゲームの状況が、メディアの現場にも当てはまる気がしました。

 

コンパスカードに書かれたエピソードの多くは現場の「失敗談」です。

この事態にどう対応するのか、個人で考えるだけでなく、チームで合意を取っていく。メディアの現場もそうですが、限られた時間の中で、自分たちの答えを考えていくようなワークショップができないか。

発信をテーマにしたワークショップなのだから、参加者はひたすら書いたり、考えを編集したり、取捨選択を迫っていくワークショップにするのもいいかもしれない。

 

そう考え、体験会の第2弾として「シナリオバージョン」を考えました。
参加者のレベル感に合わせて、

・初心者向けの「ローカルメディアの醍醐味編」

・経験者向けの「現場リスク対応編」

・団体として行動指針を作りたい人向けの「メディアの方針作成編」

の3つを考案し、森ノオトの編集会議を始め、いくつかの団体や施設で体験会を開催してきました。
いずれも、あらかじめ選んでおいた複数のカードを順番に紹介し、そのカードについてグループで考えたり意見交換したりしてもらうというスタイルで、ワークショップとしての形を整理してきました。

森ノオト編集会議での体験会

 

体験会の参加者としては、メディア関係者はもちろん、市民活動の発信を行なっていきたい人、企業や団体の広報担当者、学生、公務員など情報リテラシーを身につける必要がある方などがいて、それぞれが自分の活動に落とし込んで考えてもらえたと感じています。

1123日、東京足立区で開かれた「あだちメディフェス」でも発表の時間をいただき、メディアの業界で活動する諸先輩たちに意見と激励をいただきました。

あだちメデイフェスでの様子。メディフェスとは「市民メディア全国交流集会」。インターネットメディア、フリージャーナリスト、FM放送、ケーブルテレビ、タウン誌など、メディア活動の担い手たちが全国から集まり交流する。

クラウドファンディングに挑戦

 

ワークショップの確立とカードの文章の編集作業と並行して、クラウドファンディングに挑戦することになりました。これまでの3年、勉強会に始まり、ヒアリング、情報収集や試作品づくり、体験会と進めてきましたが、最後の最後の不足分、印刷とデザインに必要な資金100万円を目標金額とすることにしました。

デザインは最初に試作品を作っていただいたNDCグラフィックスに依頼します。神奈川県で作ったものですが、神奈川県だけでなく、さまざまな地域や個人、団体で使っていただけると思います。資金調達も大切なのですが、このクラウドファンディングの機会を生かして、多くの人にこの取り組みを知ってもらい、全国の同じ困りごとを抱えた方々に届けられたらと思っています。

 

誰もが情報を発信できる時代になり、「情報の海」のようになった社会には、正誤さまざまな情報が混在するようになっています。

「情報の海」を渡っていくため、個人個人が情報の取捨選択力をつけ、発信者には「社会をよくするために情報を発信する」意識を改めて考えてもらうきっかけとして、このカードが社会に役に立つと考えています。

 

クラウドファンディングサイトのアドレスはこちらです。もし共感していただけたら、このクラウドファンディングにご支援いただけると嬉しいです。

お披露目会への招待、成果物(コンパスカード)のプレゼント、出張ワークショップなどのリターンを考えています。

https://motion-gallery.net/projects/localmediacompass/

 

この記事を書いている私船本は、クラウドファンディングを行うのは初めてで大変ドキドキしておりますが、情報の海を安心して航海できる海にしていくために、ローカルでこの活動に取り組んできた3年の成果を出していくために頑張りたいと思っておりますので、どうぞ応援をよろしくお願いします。

 

森ノオトでは情報発信の力で社会活動を行う人たちのことを応援したいとウェブメディアでの発信だけではなく、市民団体を対象に発信力を高めてもらう「発信力アップ講座」や市民ライター向けの「ローカルライター講座」、すでに活動を始めている人たちの情報交換の場としての「ローカルメディアミーティング」といったローカルメディア事業を行なっています。
詳しくは特集「地域活動とローカルメディア」にまとまって記事がありますので、ぜひご覧ください。

 

本事業は、神奈川県の「かながわボランタリー活動推進基金21」の平成31年度ボランタリー活動補助金を得て、特定非営利活動法人森ノオトが運営しています。

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この記事を書いた人
船本由佳ライター
大阪出身の元TVアナウンサー。横浜市中区のコミュニティスペース「ライフデザインラボ」所長。2011年、同い年の夫と「私」をひらくをテーマに公開結婚式「OPEN WEDDING!!」で結婚後、自宅併設の空き地をひらく「みんなの空き地プロジェクト」開始。司会者・ワークショップデザイナー。
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