若葉台を見守っていきたい、若い人に来てほしい
——「わかば通信」の創刊経緯を教えてください。
東日本大震災のあった2011年の6月号から始めました。いつまで生きられるか分からない中で、やっておきたいことは思い切ってやってみようかなと。一般財団法人若葉台まちづくりセンターの発行している「タウンニュースわかば」で25年くらいずっと記者をしていましたが、そこではイベント情報や団体紹介が主でした。そのとき知り合った次世代の頑張っている人たちやダンスサークルに精を出す高齢者、男性向け料理教室をやっている方なども、わかば通信の紙面では紹介したいなと思ったんです。
根本的には、団地とともに年齢を重ねてきた人たちの生活を守っていきたい、寂しくないように手を取り合って暮らしていくために、たとえば自分がこういうサークルを作ってみんなとつながりたいとか、そういう人が誰でもみんなに呼びかけられるツール、掲示板のようなものを作りたかったんですね。年代的にもみんながネットを見るわけではないので。
あとは、次世代を呼び込みたい、若い人に若葉台にぜひ来てほしいと思っています。「わかば親と子の広場そらまめ」では、親御さんと赤ちゃんや幼児にくつろいでもらったり、先輩ママの話を聞いてもらったりと、子育てファミリーを応援しているんです。地元のお母さんたちからの要望で、数年前からは(横浜市親と子のつどいの広場事業の一環として)一時保育も始まったんですよ。
もう一つ、ほかの地域の団地再生の取り組みなども紹介しています。団地はどこも共通の問題を抱えていると思うので、あそこはこういうことをやっていますよとぜひ地元に紹介したいなと。神奈川県住宅供給公社でも取り組んでいますが、最近は大学と連携している団地が多いですね。大学生に、個人やシェアハウスとして団地に住んでもらって、家賃を安くする代わりに高齢者がなかなかできない自治会活動をお手伝いしてもらうんです。
地元ネットワークで広域に配布
——現在はどんな体制で制作されているんですか。
何人かの方に、署名入りで記事を書いていただいています。地元で活動しているお菓子の先生の江藤雅子さんには1号から付き合っていただいていて、毎号レシピを載せています。このコーナーをまとめたお菓子の本を作ったら素敵だなと思っているんですけど。
私が書いた記事と合わせて編集・レイアウトをして、デザイン会社に送り版下を作ってもらっています。配布は子育て中の方や退職した男性など何人かの地元の人にお願いしていて、その方たちのネットワークでほかの人にもつないでいただき、青葉台や藤が丘、長津田などにも手分けして配布しています。外の人にも若葉台が魅力ある場所だということを伝えたいので、ちょっと部数が多いんです。
まちの様子が分かるので、私も配布に行きます。最近は一戸建ての空き家も増えていて問題になっているんですね。ポストに入れようと思ったら雨戸がしっかり閉まっていて、ここは空き家だなと。そういうことを繰り返していて、あるとき取り壊されたと思ったら新しいお家が建っていたり、オフィスができたり。お店ができていたら、みんなに伝えたいですよね。
広告収入で運営していますが、印刷代とデザイン代、配布代と毎回かかるので、本当はもっと原稿料にまわして、ライターにいろんな記事を書いてもらいたいんです。
地域のみんなで“おせっかい”
——「ワイン片手に若葉台を語る会」や「若葉台まちコン」など、イベントもいろいろ開催されているんですね。
まちコンといっても団地内の廃校でやるんですが、手料理や福島・白河の地酒なんかも用意して、すごく盛り上がるんですよ。うちもそうなんですが、独身の息子さんや娘さんがいる世帯がけっこうあるので、もうひたすらおせっかいなんですけど。
こういうイベントをやろうと思ったもう一つの理由は、若葉台を発信する時に、高齢の方のためのまち、子育てファミリーが住みやすいまちというのはすごく意識しているんですが、独身の若い人たちが参加できるものが少ないんです。若葉台中央のエリアに、そういう人たちも来られる機会があるといいなと。
人と人って出会いの場がたくさんあったほうがいいなと感じています。ほかの地域のイベントに参加しても、人がつながって話して、自分は今こういうことをやりたいんです、じゃあ一緒にこういうことをやりませんか、となるのを何回か見てきたので、私はそういう場をつくりたいんです。わかば通信は、それを紙の上でやっているのかなと思います。
みんなが地元で暮らしていける場所
——今後の団地のあり方などについて見えてきたこと、考えていることはありますか。
それは本当にすごく考えすぎているくらいなんですが、やはり団塊の世代が後期高齢者になる「2025年問題」を迎えたとき、元気であってもなくても、みんなが地元で暮らしていけたらいいなと思っています。
訪問看護ステーションの「あさがお」は、自宅で過ごす人のことをすごく考えていますし、生活支援もやっています。あんまり外に行きたくなくても、誰かと話したくなったらここ(若葉台交流拠点「ひまわり」)に来ればいい。自分も歳をとったらここに助けてもらうつもりで、一人ひとりがちょっとずつできることをやって、支え合いながら年代を超えてより良い生き方を考えていきたいですね。
——ありがとうございました!
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