昔話に学ぶ?お金持ちになる方法
昔話には、心根の優しい貧しい人がお金持ちになるお話がたくさん出てきます。そんなうまくいくわけがないとはわかっていながら、読み終えると「ああよかった」とほっとするものも多いですね。このお話もその中の一つです。
『よみきかせ 日本昔話 わらしべちょうじゃ』(石崎洋司/文 西村敏雄/絵 講談社、2012年)
お金持ちになる方法といえばこれでしょうか。これは1本のわらを次々といろいろなものに交換し、最終的には大きなお屋敷を手に入れるお話です。このお話は平安時代の「今昔物語」や、鎌倉時代の「宇治拾遺物語」に載っているものが元になっているそうで、古くから語り継がれていることに驚きます。
地方によって形を変えいろいろなお話のパターンがあるようですが、この絵本では、「びんぼうなおとこ」が観音様に最初に拾ったものを持って旅に行くようにと告げられます。「びんぼうなおとこ」はたまたまわらを拾い、少しずつ価値のあるものに交換していき、最終的には大きなお屋敷を手に入れるというお話。このお話で私が好きなのは、「びんぼうなおとこ」は、金儲けをしようという気持ちでものを交換したのではなく、人助けをしているうちにお金持ちになったという点です。困っている人を助けたいという気持ちと欲のない行動が長者への道のりだったという理想的なお話です。
貧乏なのは「びんぼうこびと」が住んでいるから?
貧しいのは誰かのせいにしよういうお話は、ウクライナの昔話『びんぼうこびと』(ウクライナ民話 内田莉莎子/再話 太田大八/画 福音館書店、1998年)です。
このこびとたちが住んでいる家では、どんなに働いてもお金はたまりません。ある日、農夫は家にすむびんぼうこびとを見つけます。農夫はこびとたちを外に連れ出し……。日本にも貧乏神という神様がいますが、同じような役割でしょう。日本の貧乏神はちょっと追い出すのが可哀想な弱々しいイメージでしたが、このこびとたちはなかなかユニークで、たくましさすら感じます。
欲しいものはどうやって手に入れる?
お金を払えばほとんどのものが手に入る今の時代。そんな時代だから読んでみたいのが次の2冊です。
私たちは洋服が欲しいと思えば、よほど特別なものでない限りお金を出して手に入れることができます。これらの絵本は、お金を払うという以外の方法で洋服を手に入れていくお話です
『ペレのあたらしいふく』(エルサ・ベスコフ/作・絵 おのでらゆりこ/訳 福音館書店、1982年)。この絵本が好きな人は多いのではないでしょうか。子羊を飼っているペレは自分の服を手に入れるために羊の毛を刈ることから始めます。自分でできることは自分でやり、できないことは代わりに働くという条件付きで、できる人に頼む。子どもたちにもぜひ読んであげたい絵本です。
『アンナの赤いオーバー』(ハリエット・ジーフェルト/作 アニタ・ローベル/絵 松川真弓/訳 評論社、1990年)。こちらは第二次世界大戦後の実話が元になっています。お店にものがない中、娘にオーバーを買ってあげようと決めたお母さんは、家にある金時計と羊の毛を交換しようと考えます。家にあるものと交換にコートは作られていきます。時間をかけてやっと手に入れた赤いコートはアンナによく似合っています。この赤い色は、お母さんとアンナがつんだコケモモで染めた色です。
それは本当に欲しいものですか?
また、大切なお金を何に使うのかを考えたのが以前、図書カフェシリーズで紹介した『ほんとにほんとにほしいもの』(ベラB.ウィリアムズ/作・絵 佐野洋子/訳 あかね書房、1998年)です。私たちはクリスマスだから、お誕生日だからと理由をつけて買い物をしますが、それは本当に欲しいものでしょうか?必要なものでしょうか?と問いかけられているようです。自分の価値観を見直すきっかけにもなる一冊です。
お金を稼ぐってどういうこと?
具体的に子どもがお金を稼ぐ方法はこちらが参考になるかもしれません。
『レモネード戦争』(ジャクリーヌ・デイヴィーズ/作 日当陽子/訳 小栗麗加/絵、フレーベル館、2014年)
けんかをきっかけにして兄と妹がそれぞれレモネードを売るお店を開きます。どうやったら買ってもらえるのか、どんなことをしたらお客さんは喜ぶのか、儲けはどのくらい出るのか……。試行錯誤を繰り返す子どもたちの心の成長もみられるお話です。
『ヘンリーくんと秘密クラブ(ゆかいなヘンリーくんシリーズ6)』(クリアリー/作 松岡享子/訳 ダーリング/絵 学研、1970年)この本は新聞配達をしているヘンリー君が、仕事の大変さや達成感を教えてくれます。
どんな大雪の後でも配達は休めない。苦手な営業もしなくてはいけない。お金を稼ぐって大変なことです。でも喜んでくれる人や認めてくれる人もきっといます。
お金持ちになったら何をする?
最後はお金持ちを夢見る人のお話です。
『ひよこのかずはかぞえるな』(イングリとエドガー・バーリン・ドーレア/作 せたていじ/訳 福音館書店、1978年)
このお話はお金持ちになった自分を想像しながら卵を売りに行く「おばさん」のお話。「おばさん」の想像力がすごいです。36個の卵を売って、そのお金でめんどりを増やしてどんどんお金持ちになっていく「おばさん」。素敵な旦那さんも登場しますが、果たしてどこまで実現するのでしょうか?でも私たちもこんな想像(妄想?)をよくしているかも。楽しみながら読んでください。
いかがでしょうか。お金にまつわる絵本や、児童書。読んでみたい本はあったでしょうか。
大人も子どももこういった絵本やお話を読むことで、お金って何だろうと考えるきっかけになるのかも知れませんね。
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