暮らしの中の“ここちよい”を大切にしたい ーacutti 圷みほさんー
ー部屋の一角にあるお気に入りのかごを見るだけでうれしくなるー
ー大好きな器に盛り付けると、いつもの料理が格段においしそうに見えるー
そんな経験、きっと誰しもあるはず。
お気に入りに囲まれた暮らしを自身のInstagram や著書で紹介し、幅広い層に支持を得る圷(あくつ)みほさんに、暮らしの中の“ここちよい”の見つけ方を教えてもらいました。

はじめまして!と、ドキドキしながらお邪魔した圷さんのお宅。入った途端、SNS上で素敵だなあとなんども眺めていた、そのままのお部屋が目の前に広がり、体温があがりました。

 

圷さんは、集合住宅をリノベーションして、親子3人で暮らしています。

広々としたリビング、剥き出しのコンクリート壁にステンレスと木で統一した室内、そこに古家具やかごが絶妙なバランスで配置されていて、築40年以上という外観からは想像がつかないほど、オシャレで居心地のよい空間が広がっていました。

 

好きなものだけに囲まれる暮らし

 

引っ越しを機に本当に好きなものだけを取り入れる暮らしにシフトしたという圷さん。どんな小さなものでも新たに家に取り入れる時には、慎重に吟味し、デザインだけでなく素材や肌触り、機能性も重視しているといいます。

 

旦那さんがこだわったコンクリート壁と、圷さんがこだわったステンレスと木が調和したキッチン。好きなものが大集合するキッチンは一番のお気に入り

 

部屋に独特の空気感をもたらしている古家具は、圷さん夫婦が一つひとつ出会いやタイミングを楽しみながら迎え入れてきたもの

 

「木の経年変化や、一つひとつにストーリーがあることが古家具の魅力、そこからさらに自分が育てていくことで愛着がぐんと増す気がします」と話す圷さん。

家に入った瞬間に感じた居心地のよさ。それは、ものがないわけではないのに、あるべきところに収まっているということ。そこにあるもの全てが慈しまれ、日常の中で大切に使われているということがひしひしと感じられるからなのだと思いました。

 

Instagramで、日々の暮らしやお気に入りのものを紹介しているうちに、雑誌やメディアで取り上げられるように。Instagramがきっかけで大手家具メーカーIKEAのビジュアルにもなった(photo:圷みほさん)

 

Instagramを始めた頃、毎日の朝食を載せていた時のもの。この写真がテレビで取り上げられたことも(photo:圷みほさん)

 

自分のやりたいに正直に

 

元々は、大手通信会社で海外部署のマーケティング業務をしていたという圷さん。大学で学んでいた英語を生かせる仕事で、楽しかったものの、激務に追われる日々に疲れが溜まっていってしまいました。体にも不調が出るようになり、休職することに。

「自分が何をやりたいんだろうと考えて。子どもができて、子育てしながらでも好きなことをやりたいと思った時に、家でもできるWEBショップをやりたいと思った」という圷さん。

会社を退職し、大手の雑貨店で店員として働きながら仕入れや値付けを学ぶという準備期間を経て、2014年秋に、acuttiがスタートしました。

 

acuttiは、旦那さんの子供の頃の呼び名をヒントについた名前。名前がなかなか決まらず、旦那さんに「子どもの時なんて呼ばれてた?」と聞いたら「アクティだよって」。苗字の「あくつ」が東海道線快速アクティに似ていたことからついた呼び名だそう。「そっか、じゃあ小さい“っ”を入れておこうかな」と。まさかそこからきていたとは……。これは娘さんが書いた「acutti」。かわいいのでこのままロゴとして(photo:圷みほさん)

 

acuttiは、「毎日の暮らしを少し楽しくする衣・食・住」をコンセプトに、圷さんが、自分が使って本当によいと思うもの、お気に入りのものだけを紹介するオンラインセレクトショップです。

お店で最初に取り扱ったものは?と聞くと、台所に干してあったものからヒョイっと取り出された刺し子の布巾。使い込んでいい感じにくたくたに。

 

布巾が欲しかった時に、ハンドメイドの通販サイトでたまたま購入して気に入ったもの。今では作家さんが海外に移住してしまったので、海外から送ってもらっているそう

 

町田裕也さんは最初にお取り扱いした陶芸作家さん。町田さんの貫入(器の釉に細かいひびが入る状態)が大好きで、なかでも「ひび」シリーズがお気に入り

 

圷さんが日々使う食器棚には、町田さんの作品がまるで商品のように並ぶ(photo:圷みほさん)

 

取り扱っている作家さんは、陶器市に出向いて自分が気に入ったものを購入し、実際に使ってみてからお声がけしています。

 

町田さんや、木工作家のうだまさしさんの作品に出会える益子の陶器市は毎年必ず家族で訪れる(photo:圷みほさん)

 

もともと自分が好きで使っていた作家さんと、陶器市を通して親交が深まることで、お取り扱いが始まる過程も楽しいという、圷さん。

自宅で使うものと同じように、デザインがかわいいだけではなく、素材や肌触り、機能性なども商品を選ぶ上で大事にしているポイントです。

 

「お気に入りのものを使うだけでものの見方が変化することもあると思います。たのしいスイッチが入るような。日々使う道具や小物などをお気に入りのものにすることで、心も暮らしも豊かになることをお伝えしたい」と話す圷さん。単にいいモノを紹介する、ということにとどまらず、モノを暮らしに招き入れた先の心の豊かさを教えてもらったような気がします。

 

acuttiでつなぐ、つながる場へ

 

今回、展示販売にもお持ちいただくconoconeさんは、アンティークリネンやコットンなど古い布を新しい作品に生まれ変わらせて次の人へ繋いでいくことをコンセプトに、2020年に制作活動をスタート。conocone(コノコネ)はconomi connectの略称。「この子ね」と愛着を持ってもらえたらという想いも込められている(photo:圷みほさん)

 

圷さんの次のステップは、緑の多さ、自然の豊かさが気に入って住み続ける青葉区で、新たに実店舗を持つことです。人が集まれる箱のようなもの。モノの紹介をしてもいいし、イベントをしてもいいし、いろいろ使える、出会える「箱」が理想、と。

 

お話をしているうちに、ふわっとした柔らかい印象でありながら、好きなもの、自分が心地よいと感じる部分にブレがない、そんな芯の強さを感じました。

 

Information

圷(あくつ)みほさん

毎日の暮らしを少し楽しくする衣・食・住をコンセプトに 2014年よりacuttiをスタート。

フルリノベーションした自宅で暮らし、 2019年に書籍「かごと木箱と古道具と。」(ワニブックス)出版。

acutti  https://www.acutti.com/

Instagram acutti_

3/15-22 「春をことほぐ めぐる布市」でacuttiの商品を展示販売しています。

圷さん在廊日は3/20(土)11:00-14:00です。

めぐる布市

https://morinooto.jp/2021/03/01/nunoichi2103/

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この記事を書いた人
齋藤由美子ファクトリー事業部マネージャー/ライター
森ノオトの事務局スタッフとして、主にAppliQuéのディレクションを担当。神々が集う島根県出雲市の田舎町で育ったせいか、土がないところは落ち着かない。家では「シンプルな暮らし」関連本が十数年にわたり増殖中。元アナウンサーで、ナレーターやMCとしての顔も持つ。小6女子の母。
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