海にゴミは行かせない!横浜ビー・コルセアーズと取り組む海の環境問題
横浜市都筑区の横浜国際プールをホームアリーナとするプロバスケットボールチーム、横浜ビー・コルセアーズ。いちバスケファンとして試合を見に行っていたところ、環境問題を考えるきっかけになるような、親子で気軽に参加できる取り組みが始まったと知り、横浜ビー・コルセアーズ企画運営部広報室の斎藤義家さんにお話を伺ってきました。(2021年ライター養成講座修了レポート:醤野宏美)

大事なことだとわかっていても、実際自分が行動に移せるかというと別問題。そんなことってありませんか?私にとってはそれが「環境問題」です。

今や地球の環境問題は待ったなし。身の回りでもプラスチック製のストローが紙製品になったり、レジ袋が有料になったりと具体的な動きが出てきました。

 

一児の母である私も、自分の子どもに環境問題をしっかり伝えていきたいという思いはありますが、なんだか問題が大きすぎてどこから伝えればいいのやら、と途方に暮れる感覚がありました。

 

そんな私は、自分自身が中学高校とバスケットボール部だったこともあり、ダムダム響くドリブルの音やキュッキュと鳴るバスケットシューズの音を聞くといまだに胸が高鳴ります。そして横浜市都筑区に引っ越して来た際、近所の横浜国際プールをホームアリーナとするプロバスケットボールチーム、横浜ビー・コルセアーズがあると知り、何度も試合を見に行くようになりました。

 

取材場所は横浜市営地下鉄・センター北駅すぐのビーコルセンター。オフィシャルショップが併設されています(取材当時。現在は事務所のみとなっています)

 

その試合会場で知ったのが、「海にゴミは行かせない!」を合言葉として取り組むLTO活動(LEADS TO THE OCEAN)です。LTO活動とは、ホームゲームが開催される日に、試合の前か後に30分ほどホームアリーナ周辺でするゴミ拾い活動。チーム結成10周年である今シーズンから始まったというこの取り組みについて、横浜ビー・コルセアーズ企画運営部広報室の斎藤義家さんにお話を伺ってきました。

 

LTO活動を担当している斎藤さん。気さくな雰囲気を身にまとい、ゆっくり丁寧な言葉でこの取り組みについて教えてくれました。なお、ポーズはLTO活動の決めポーズだそうです

 

「横浜ビー・コルセアーズはまだ小さいチームであり、関わってくれる人をどんどん増やしていこうとしています。これまでバスケットボールに興味がなかった方にもバスケのことを知っていただくため、地域の方をつなぐこと、本拠地である横浜市都筑区のためにできることを模索しています」と斎藤さん。そんな思いから地域の方と一緒にできる活動を探していたところ、日本財団とNPO法人海さくらがプロスポーツチームと共に行なっているホームアリーナ周辺のゴミ拾い活動のことを知ったそうです。

 

横浜ビー・コルセアーズは海賊をモチーフに掲げていますが、横浜市都筑区は横浜の中でも内陸側にあり、海を感じにくいエリアでもあります。ただ、大昔は都筑区周辺は海だったということで、海賊として海の環境を守るという取り組みを通して、海を感じられるのではないかと考えたそう。

 

202010月から始まったLTO活動は、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言発令の間は中止になっているものの、発令前までに13回開催されており、子ども連れの参加者も多いそうです。手ぶらで参加できるようオリジナルゴミ袋やチームカラーである濃紺のトングも用意されているのが特徴で、試合のチケットを持っていなくても自由に参加することができます。スタンプを集めると「ゴミ拾いマスター」に認定、表彰されるため、スタンプ集めも参加者の楽しみのひとつになっています。

 

ゴミ拾い場所の山田富士公園に行くまでの道にもゴミが落ちているため、拾いながら移動します(写真提供:横浜ビー・コルセアーズ)

 

人が集まることが難しいコロナ禍の中始まったこの取り組みは、横浜市の中でも人口増加率が高く、転勤されてきた方など転入者が多いと言われる都筑区で、新たなコミュニティづくりをしたいという思いも込められているそうです。「地域の方をつなぐ接着剤のような役割が果たせたらうれしい」と斎藤さんは笑顔で教えてくれました。

 

また、あまり知られていませんが、海のゴミの約8割は街からやってきているそうです。継続して毎回参加する人を増やすことも大事ですが、一度でもいいから参加してみようと思う人を増やすことも更に大事だと話す斎藤さん。一度参加してみると、街を歩いていても、実はゴミがあちこちに落ちていると気づくようになるとのことでした。一人ひとりのそういった気づきが、待ったなしの環境問題と向き合っていく中で大切なことではないかと私は感じました。

 

一見するときれいな場所でも、花壇の中にゴミが落ちているということもしばしば(写真提供:横浜ビー・コルセアーズ)

 

試合観戦のついでにゴミ拾いという、自分の「好きなこと」からつながっていく環境問題への取り組みは、肩肘張らずにスタートできるところが魅力です。また、LTO活動はバスケットボール以外にもサッカー、野球、ラグビー、アイスホッケーといったプロスポーツチームが実施しているため、お子さんが興味のあるスポーツから入るのもアリかもしれません。

 

取材後半の写真撮影の最中、「ゴミ袋とスタンプカード、よければ持って帰ってください。トングもぜひ!」と斎藤さんは茶目っ気たっぷりな笑顔で勧めてくれました。トングは次回LTO活動に参加するときに返すことを約束して、取材を終えました。LTO活動が再開したとき、子どもを連れて参加するという小さな約束と楽しみができました。

 

そして取材から約3週間後、緊急事態宣言が解除されて無事再開した横浜ビー・コルセアーズのLTO活動に初めて参加することができました。印象的だったのは、待ちに待っていたと言わんばかりの子どもたちの姿。未就学児から小学生ぐらいの子どもたちがワクワクした顔で集合場所に集まっていました。斎藤さんの「海にゴミは?」の問いかけに「行かせな~い!」と大きな声で返し、活動が始まると慣れた様子でゴミを探しに思い思いの方角に散って行きました。LTO活動を通して環境問題をすっかり自分ごととして捉えている姿がなんとも頼もしく感じました。

 

再開後からは、参加するとLTO活動の決めポーズをした選手カードがもらえるなど新しい仕掛けも登場し、カードを手に子どもたちも嬉しそう

 

また、参加されている方も徐々に顔見知りになっていくようで、スタッフの方と参加者はもちろん、参加者同士あいさつしたり会話を交わしたりする姿も見かけ、新たなコミュニティを作りたいという斎藤さんたちの思いが少しずつ形になっている様子を垣間見ることができました。

斎藤さんの茶目っ気により、初参加なのにトングを持参していた子ども連れの私にも話しかけてくれる方もいて、こうやってつながっていく世界も素敵なものだなと思いながら活動を終えました。

今シーズン、横浜国際プールでのホームゲームは終了しましたが、残りのホームゲーム(トッケイセキュリティ平塚総合体育館、横浜武道館)でもLTO活動が行われるそう。51日の最終日まで4回チャンスがありますので、お天気のいい日に参加してみるのはいかがでしょうか。

Information

LTO活動

プロジェクトHP

https://blueshipjapan.com/crew/b-corsairs

横浜ビー・コルセアーズプレスリリース

https://b-corsairs.com/news/other_20200807_1/

横浜ビー・コルセアーズ

住所:〒224-0003 横浜市都筑区中川中央1丁目1-6

TEL045-507-4544

E-mailcontact@b-corsairs.com

公式HP

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この記事を書いた人
醤野宏美ライター
三重県出身。長く神戸で社会人生活を送っていたが、転勤や出産が重なり2019年から横浜市都筑区で生活中。自分が暮らすまちをもっと知りたい、もっと好きになりたいと森ノオトに参加。子どもと過ごす日々を大切にしながら生活したいと思っている。
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