助け合いで送迎の負担を和らげたい!子育てタクシーシェアリング「タクアス」が始まります
雨の日も風の日も、私の体調がしんどい日も、毎日続く保育園への子どもの送迎。気軽に助け合える仲間ができたら、負担感が和らぐのではないでしょうか。 子育ての共助を目指すタクシーシェアリングのアプリ「タクアス」を開発した株式会社オージス総研が、横浜市内でのテストサービスを始めました。開発者の早苗朋宏さんに目指す未来について伺いました。(撮影:齋藤由美子)

森ノオトの編集長の私は、小学1年生と年少の2人を子育て中です。保育園までの送迎は、夫と協力しながら続けて7年目になります。大雨の日の憂鬱感や、下の子が赤ちゃんだったころ、自分の体調が悪い時など、思い返せば送迎のピンチは数知れず。送迎時間は親子のコミュニケーションの貴重な時間でもある一方、時にはしんどさも感じます。

 

 

送迎プレッシャーをときほぐす

子育てタクシーシェアリングアプリの開発者、早苗朋宏さんもまた、子育てまっただ中のお父さんです。小学3年生から年少児までの3人のお子さんを夫婦共働きで育てています。保育園、幼稚園、学童保育と3カ所への送迎が重なった時期もあり、朝夕と、送迎には合計2時間くらいかかっていたそうです。

子どもの送迎は、おもに朝担当の早苗さん。子どもを園に送った後、駅から電車に乗って通勤します

「ママさんたちのインタビューをしていく中で、送迎プレッシャーっていう言葉に出会ったんです。自分一人でやりきらなきゃと知らず知らずのうちに思い込んでいる方が多いと思うんです。そのプレッシャーって、『ちょっとごめん!今日はお願い』で頼める関係性があれば、全然変わるんじゃないでしょうか。子育ては、選べる選択肢の数が多ければ多いほどいいと思っているんです」と早苗さん。

 

そうそう、私自身も「自分でなんとかせねば!」と思い込んでいた時に、「家まで送っていくよ」と保育園の先輩母さんにさらっと声をかけてもらって、心身ともにどれだけ救われたことか。コロナ禍が長引き、園での父母の接点が減り、以前よりもゆるやかな関係性を築きにくくなっているのも感じます。

 

 

勤務先のオージス総研では、ITの専門家として社外のクライアントのシステム構築に携わってきた早苗さん。2年前に新規事業を手がける部署の所属となりました。自分事として捉えている課題を新規事業として立ち上げられる社内起業のチャンスを生かし、仲間内で話題にしていた園送迎にまつわる課題解決のサービスの事業化へと動き出します。

青葉区在住の早苗さん。家族みんなで楽しめるキャンプやスキーが趣味だそう

早苗さんのリサーチで、だれにも頼らず一人でこなす「ワンオペ送迎」している割合は、40%にのぼるそうです(※)。「子育てのいろんな場面で、“自分で頑張ろう”っていう雰囲気を感じるんですよね。私自身、友人に、行ける日は行くよ!と言ってもらっても、なかなかお願いできなくて。その敷居が課題だと思っています。だれかと何かを一緒にやることへの敷居をどうにか下げられないかなというのが、このサービスの出発点にあります」と早苗さん。

 

「システムを介在させることで、助け合える関係性をつくり出し、共助を社会実現できないかと考えています。都会は自助ばかりですよね。困りごとはお金でサービスを買って解決するものになってしまっています。現金を払って終わりではなく、連帯を生むようなサービスを目指しています」

 

(※)オージス総研調べ。

 

 

送迎シェアからはじまる関係性

送迎は、「玄関先までの関係」と早苗さんは表現します。

 

家の中に入らずとも、家の外で完結して、限られた時間で済みます。その時間だけの関係性でいることもできるし、ひょっとすると送迎がきっかけで週末の約束を交わし合う関係になるかも……。送迎がきっかけとなって、親同士、子ども同士の関係性が楽しい方向に変わっていくかもしれない。子育ての数ある「タスク」の中で、だれかと分かちあいをしやすく、関係性が発展していくワクワクもはらんでいる。早苗さんはそんなふうに「送迎」を見ています。

 

社内起業の形での事業化にあたり、サービスの具体化に向けて社内外での協力体制を築いてきました。外部の協力者を求めて、まずは全国子育てタクシー協会を訪ねたそうです。子育てタクシーは、子連れの外出や妊婦さんの移動、子どもの送迎などをサポートするサービスを実施しており、私も第二子の陣痛時にはお世話になりました。いざというときに頼れる先をもっておくだけで、安心を得たような気持ちで過ごせたことを思い出します。

 

今回立ち上げたサービスでは、子育てタクシー協会に加盟するタクシー会社が参加しています。青葉区では神奈川都市交通、港北区ではサンタクシー、鶴見区では東宝タクシーを利用することになります。

 

認定NPO法人びーのびーのが運営する、港北区地域子育て支援拠点どろっぷ(港北区大倉山)での打ち合わせ。早苗さん(中)と、びーのびーのの石原里美さん(右)、森ノオト編集長の私。「事業化に向けて熱い思いを持ち続けていらっしゃる。一緒に達成できるように力になりたい」と、石原さん

全国子育てタクシー協会とのやりとりを通じて、同協会の事務局でもあり、港北区での子育て支援事業をおこなっている認定NPO法人びーのびーの(港北区)とつながり、青葉区でのテストサービス実施にあたっては森ノオトにも声をかけていただきました。

 

想定するユーザーへのインタビューを重ねたり、ビジネスモデルを組み立てて、10月26日にいよいよ、横浜市の青葉区、港北区、鶴見区でテストサービスがスタートしました。

 

 

アプリを通して関係性づくりの最初の一歩を後押し

さて、「タクアス」は実際にどんな使い方をするかお聞きしました。

まずは、スマホで「タクアス」の利用登録から。自宅や園など、送迎スポットを登録する。友人をLINEで招待したり、登録している同じ園を利用する知人を探すこともできる

LINEで登録する「タクアス」のウェブアプリは、2組家族でタクシーの配車予約をするサービスです。前日までに、利用したい家族がそれぞれで予約操作をし、利用の際には、片方の親が自分の子とお友だちの家庭の子どもと一緒に使ったり、2組の親子が一緒にタクシーに乗ったりします。料金はそれぞれのルートから算出されて、家庭ごとに支払う仕組みで、1家族で1台タクシーを利用するよりも最大で3割ほど安くなります。

 

「このサービスを使い続けてもらうためには、なるべく遠慮や気兼ねなく使ってもらうことが大事だと思っています」と早苗さん。どちらが払う?お礼はどうしよう?といった迷いを、システムが間に立って省くことで、利用料の部分は割り切って使えるような計らいです。

 

具体的に想定している場面としては、まずは保育園や幼稚園への送迎が中心です。園にタクシーを配車予約して同じ方面の家庭同士で一緒に乗ったり、家に配車して近くに住む知人の子どもと一緒に乗って登園したり。普段は、徒歩や自転車、バスなどを利用している人も、雨の日や荷物の多い日、あるいは金曜の夕方にイベントとして遊ぶ約束を兼ねて一緒に乗ったり……。

 

他の家庭と保育園や幼稚園の送迎の時間を合わせて、一緒にタクシーに乗る約束をする。それって、関係性が深くない知人同士にとっては、最初の一歩は手間だなと感じるかもしれません。早苗さんは、その先にどんなことを描いているのでしょうか。

 

タクアスのテーマは「ひとりでがんばらない送迎」。タクシーシェアリングの約束を通じて、子育ての日常がひとつ変わっていきそう

「一緒に乗ることをまずは楽しんでもらえたら。週に1度、あるいは2週に1度くらいタクシーシェアリングをすることで、親にとっては負担が減り、子どもにとってはイベント感がある。5年後、10年後の思い出になったらいいなと思っています。送迎がきっかけになって、子どもたちは何かあった時に頼れる大人が地域に増えますよね」と早苗さん。

 

サービスの利用に終わらない、リアルの関係性の彩りが豊かになっていく。早苗さんのお話を聞きながら、現代の子育て環境をほぐしていくITの可能性を感じました。「タクアス」ってどんな意味?とお聞きすると、「明日タクシーに乗る」と「明日を託す」をかけていると、早苗さんはにっこり。子育て当事者の思いを載せた、ウェブアプリがどんな未来をつくっていくのでしょうか。私も実際に使いながら、新しい関係性づくりにチャレンジしてみたいと思います。

 

全国子育てタクシー協会事務局長の畑中祐美子さん(左)と早苗さん。“チームタクアス”として社内外の仲間たちとパワフルに前に進めています

 

青葉区、港北区、鶴見区でテストサービス中のタクアス。実際にサービスを使ってもらって、使い手の視点にたったサービスへと改良を進めていくそうです。登録時に、タクシー利用の際に使える1,000円分のクーポンがもらえます。また、お友だちを招待すると、さらに1,000円分のクーポン(紹介した人に付与。最大10名まで)がプラスされます。どんどん使ってみてくださいね。

Information

<タクアス>

横浜市青葉区、港北区、鶴見区でテストサービススタート! 

 ウェブアプリはこちらのウェブサイトから登録できます。 

https://www.takuasu.com/ 

 

新規登録で1,000円分のクーポンさらにお友だちを紹介すると1人につき1,000円分のクーポンは発行されます(最大10名まで)。 

  

この記事を書いた人
梶田亜由美編集長/ライター
2016年から森ノオト事務局に加わり、AppliQuéの立ち上げに携わる。産休、育休を経て復帰し、森ノオトやAppliQuéの広報、編集業務を担当。富山出身の元新聞記者。素朴な自然と本のある場所が好き。一男一女の母。
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