冬になると、コンビニエンスストアやドラッグストアの店頭にずらりと並ぶ使い捨てカイロ。たいていは赤いビニール袋に包まれており、開封するだけですぐに温かくなり、半日は熱が持続する優れものです。寒い日の外出や、子どもを外遊びさせるときのお供に欠かせません。使用後はごみ箱に入れてポイッ。便利です。そういえば、使用前も外袋をプラスチックのごみ箱に入れます。そう、カイロは使うたびにごみになってしまいます。
そんなわけで、ごみにならないカイロはないものかと、いろいろ調べてみました。
7年ほど前、アウトドアに関心を持ったころに購入したのが、木炭カイロです。断熱材のグラスウールが詰まった金属ケース、表側はベルベット風の赤い布があしらわれており、なんともオシャレです。木炭をライターで燃やして赤く燃焼した状態でケースに入れ、蓋を閉めます。その間、ケースの中で木炭がゆっくりと燃えて、灰になるまでの間、約6時間、温かさが持続します。
スティック状の木炭は1本50円ほど。カイロの重さは130gです。焚き火のような匂いがするので、電車移動の時などは向きません。本当にアウトドア、外遊びのときに使うのがベストですね。
私の今のところのお気に入りは、オイル式カイロです。日本では、ライターのブランドZippoのものと、ハクキンカイロというブランドが知られています。私は、おじさんのロゴがトレードマークのハクキンカイロになんだかレトロな可愛さを感じて購入しました。燃料にはベンジンを使い、こちらも別途購入します。
ハクキンカイロは金属製のケースの中に脱脂綿が詰まっており、付属の漏斗にベンジンを入れてケースの中の脱脂綿に充填し、火口をセットします。火口には、プラチナ(白金)の粒子がガラス繊維に付着しており、火口に点火するとプラチナが触媒となってベンジンを燃焼させ、ベンジンが炭酸ガスと水に分解される時の気化熱によってカイロが温まる、というわけです。
ハクキンカイロの発熱の持続時間は、25ccのベンジンを入れれば最大で24時間。ベンジンの取り扱いと着火時の独特の匂いがありますが、いったん燃焼してしまえば匂いも気にならず、何より薄くて軽い(70g)ので、重宝します。孔雀をモチーフにしたケースのデザインも可愛くて、繰り返し使えて、温かさが持続するのが何より。持っていて楽しい気持ちになる、おすすめカイロです。
この実験のために電気式のカイロも買ってみました。大手ネット通販で検索するだけで、実にたくさんの種類が出てきます。だいたいはUSBで充電し、温度を調節できる機能があります。私が選んだものは、40℃、50℃、60℃と3段階に温度調節でき、マッサージするのか?バイブレーションやLEDライトの機能まであります。本体がリチウムイオンバッテリーなので、携帯電話のポータブル充電器としても使える優れもの!
重さはバッテリーの容量によって異なりますが、150~200gほどの重さが主流です。1回あたりの充電にかかる電気代は2円ほどで、外気温が低いとバッテリーの消耗が早まります。私にとっては単機能の方が使いやすいのと、それなりの厚みと重さがあるので、持て余していたところ、中学生の娘が「私が使う!」と言って持っていってしまいました。
最後にご紹介するのが、手前味噌ではありますが、AppliQuéの冬の定番商品「ぬか袋カイロ」です。全国の手芸好きな方から寄付された素敵な布を使い、はやし農園の米ぬかとくず玄米、塩とローリエ、鷹の爪といったシンプルな材料でできたぬか袋カイロ。電子レンジでや蒸し器で温めて使います。ほどよい温もりと重み、しっとり感がカラダをじんわりほぐしてくれます。重さは400gと持ち運びには適さないので、もっぱら自宅用に。低温やけどの心配が少ないので、湯たんぽがわりに寝床に持ち込むのもいいですね。布が色とりどりで選ぶ楽しみもあり、贈り物にも喜ばれます。「ごみになるはずだったもの」でできていて、使い捨てずに長く使え、万が一使えなくなって廃棄する場合でも、表布を割けば土に還るものばかり。究極のゼロエミッション・カイロですね!
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さて、私の「使い捨てないカイロ」実験をいろいろと綴りましたが、それでもやっぱり使い捨てカイロは必需品です。小学校1年生の次女はまだ、モノを落としたり、高温になるハクキンカイロや木炭カイロを扱うのが難しく、安心して持たせられるのは安定の「赤いパッケージのカイロ」なのです。使い捨てカイロの原料は、鉄粉、水、活性炭、保湿剤、塩分で、パッケージの袋を開けて、不織布にくるまれたカイロを振るだけで、鉄の酸化熱によって温まります。この手軽さ、薄さ、軽さ。やっぱり便利だな、と思います。
親の心子知らず、ではありますが、使い捨てないカイロを娘がいずれ選択肢として持ってくれるまで、「赤い袋はプラだよ!分けて捨てるんだよ!」と伝えて、ありがたく使いたいと思います。
この記事は、生活クラブ生協の機関紙『生活と自治』での連載「みんなでやってみよう!#エコライフ実験室」の記事を森ノオト用にリライトしたものです。
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