おふろが大好き!という人も多いと思いますが、家に小さな子どもがいるとおふろにゆっくり入れない場合も多いですよね。私も、子どもたちが小さい頃は、毎日のおふろの時間が憂鬱でした。子どもの体を洗って、湯船で温まらせて、それから急いで体を拭いて湯冷めしないように……と大忙しで、自分がゆっくり温まる時間なんて全くありませんでした。正直なところ、子どもをおふろに入れる夕方は「ああ、大変!」という気持ちが強く、楽しくおふろに入った記憶はあまりありません。
そんな私が言うのもなんですが、おふろの時間というのは、スマホもないテレビもない、貴重な親子の対話の時間。絵本の力を借りて少しでも楽しいおふろ時間にしてもらえたらいいなと思います。
まずは、おふろ初心者のお子さんにはこちら。
『もりのおふろ』(西村敏雄 作、福音館書店)
もりの中にあるおふろを最初に見つけたのはライオン。ライオンは体をきれいに洗います。あしもおなかもかおも洗いました。そこにぞうがやってきて、ライオンのせなかを洗ってあげます。もりのおふろには次々と動物たちがやってきて、せなかを洗いっこが始まります。「ごしごし しゅっしゅ ごしごし しゅっしゅ」と楽しいリズムに合わせてせなかを洗う動物たち。あったかな時間が流れます。この絵本を読んでからおふろに入ったら、体を洗うことが楽しくなるかもしれませんね。おふろ用のおもちゃを動物に見立てて洗ってみても楽しそう。
次は、よくいえば元気いっぱい、やんちゃなお子さんにもおすすめです。
『ぼくのおふろ』(鈴木のりたけ 作、PHP研究所)
いつものおふろに飽きてしまったぼくが、ユニークなおふろを次々と想像します。なが〜いおふろに迷路になったおふろ。他にもたくさんのおふろを考え出します。こんなおかしな想像ができるのは子どもの特権ではないでしょうか。
探し物ゲーム(視覚探索)も取り入れられていて、いろいろな楽しみ方のできる絵本です。
銭湯や温泉に行こうと思ったら、こちらをどうぞ。おふろのマナーが学べます。
『おふろやさん』(西村繁男 作、福音館書店)
最近はスーパー銭湯が人気ですが、私は昔からある普通の銭湯が好きです。旅先で、街中にある銭湯に入ることもありますが、地元の常連さんたちが通う銭湯は、初めて利用する者にとってはちょっと緊張します。でも、それもまた姿勢を正されるようで気持ちがいいなと感じます。
『おふろやさん』では、常連のおじいちゃん、友だちと一緒に来ている男の子たち、父親をおんぶしてくる男性など様々な登場人物が現れます。銭湯の中でのコミュニケーション。文章がない分、どんな関係性なのかな、どんな会話をしているのだろうと、人柄や暮らしぶりを想像してしまいます。
また、絵をよく見てみると、おふろの入りかたなどが書かれています。さりげなくマナーも習得できる仕組みになっています。
銭湯や温泉に行く前に、子どもと一緒に読んでおくのがおすすめです。
最後に、おふろといえばこちらの昔話。子どもたちにも知っていてほしいお話です。
『にんじん だいこん ごぼう〜日本の昔話より〜』(植垣歩子 再話・絵、福音館書店)
温まりすぎて真っ赤になったにんじん、体をきれいに洗って真っ白になっただいこん、おふろ嫌いで泥がついたままのごぼう。それぞれ個性がはっきりしていて楽しいです。こういった昔話は子どもに話したつもりでも意外と抜け落ちていたりして、実はうちの子どもたちも知らなかったということが判明。ストーリーをざっくりと覚えて、おふろの中や、寝る前に語ってあげるのも子どもたちにとってはうれしい時間になりそうです。
さて、おふろにまつわる絵本はいかがでしたでしょうか。子どもとおふろに入れるのは、時間や心に余裕がないという悪条件つきではありますが、人生の中では短い期間限定の仕事ともいえます。手が離れればゆっくり一人で入れるようになりますから、その時まではかわいいお子さんとのおふろ時間を満喫できるといいですね。
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