はじめてのクラシックは公園で 「えころん」森のコンサート
遊びながら、寝っ転がりながら、コーヒー飲みながら……。緑に囲まれた公園でのコンサートは思い思いのスタイルで。横浜市青葉区にある荏子田太陽公園で、子育てサロン「えころん」が「はじめてのクラシック」コンサートを開催しましたよ。

6月4日土曜日。お天気に恵まれたこの日、地域のみんなが「バラ公園」と親しみを込めて呼んでいる荏子田太陽公園では、赤ちゃんから楽しめる屋外でのクラシックミニコンサートが開催されました。主催したのは荏子田子育てサロン「えころん」です。

 

「えころん」はこの公園内にあるローズハウスという建物の中で、月に一度、第2火曜日に開かれている子育てサロンです。3年ほど前から私もスタッフとしてお手伝いさせてもらっていますが、毎月途切れることなく赤ちゃん連れのママたちがやってきます。みなさん、月替わりの講座やワークショップに参加するだけでなく、そのあともママ同士のおしゃべりをしたり、スタッフに子育て相談をして時間を過ごします。また、ローズハウスにある文庫「ちいさいおうち」で絵本を借りることもできるので、 図書館がわりに使っているママたちも多いようです。

こんなふうにいつもは室内で活動している「えころん」ですが、今回はお外に飛び出してみました。

2016年に立ち上げられた「えころん」。ローズハウスが建てられた2019年までは自治会館で行われていたそう

このコンサートは小さい子や赤ちゃんたち、そしてママやパパたちに気兼ねなく音楽を楽しんでもらおうということで企画されました。「えころん」代表の城所律子さんの息子さんはプロのバイオリニスト城所素雅(そが)さんです。こんなにも身近にプロの演奏家がいるというありがたい環境。おちびちゃんたちに本物の演奏を聴いてもらいたい(自分たちも聴きたい!という下心も)という願いが叶って、今回この素敵なコンサートを実現できることとなったのです。

 

コンサート当日は、日差しも強く、日除け用に自治会から借りたタープを張りました。そして、その下にブルーシートとキルティングのマットを敷き、赤ちゃん連れの家族用に 座席を作りました。

こちらが赤ちゃんたちのためのお席。下に敷いたキルティングマットは荏子田の手作りサークルの方たちからの贈り物。「えころん」は自治会や地域の人たちにとても大切にされ、支えられている

当日協力してくれた演奏家さんたちは、城所素雅さんとその友人である権田晃朗(てるあき)さん(ピアニスト)、そして地域で活動されている「tetoteto」というバンドのメンバーの一人、廣瀬裕美さんの3人です。

「ステージはここ」と一瞬の迷いもなく竹林の前に決めた城所素雅さん。代表を務める「コロンスタジオ」のYouTubeチャンネルは登録者数7万人を超え、この数字はクラシックジャンルでは国内唯一という。 また、素雅さんは今年5月に300人以上のアマチュアとプロが一体となって運営するオーケストラ 「アンサンブルフリーJapan」のコンサートマスターに就任した

 

プロのピアニストにレジャーシートの上においた電子ピアノ。「こんな環境での演奏を頼んでいいのだろうか」と心配したが、嫌な顔一つせずに素敵な音楽を奏でてくれた権田晃朗さん。権田さんは、数多くのコンクールで入賞しソリストとして定期的にリサイタルも開いている。権田さんの演奏はYouTubeでも聴くことができる

 

様々な手作り楽器を創作し使いこなす魔女みたいな廣瀬裕美さんは、保育士さんでもある。多種多様な手作り楽器に大人も子どもも目が釘付け。準備中も遊びに来ていた小学生が「なに、この楽器?」と興味津々に寄ってきていた。「tetotetoさんのコンサートは9月に「えころん」で楽しむことができる

演奏家3人が揃い、チューニングが始まると、いつもの公園とは違う特別な音楽会の空気が漂います。赤ちゃん連れのパパやママたちがやってきて、それぞれ好きな場所に座ります。

3人の打ち合わせも済んだ午前10時半、演奏の時間になりました。

 

プログラムは「G線上のアリア」や、「トルコ行進曲」などの有名なクラシック曲や、「ニューシネマパラダイス」、「もののけ姫」、「アンダー・ザ・シー」など映画好きにもうれしい曲で構成されていました。演奏が始まると、不思議なもので、いつもはじっとしていられなかったり、ぐずりだす子どもたちもよく耳を傾けて聴いていました。

 

コンサート後半、「アンダー・ザ・シー」「トルコ行進曲」では廣瀬さんにリズムの取り方を教えてもらいながら、観客も配られたカスタネットで演奏に参加しました。

この日は園内のバラを育てる市民団体「JOR」(バラの会)の方たちの協力で美味しいコーヒーも楽しめた

 

竹林を通り抜けて届く風が心地よい

 

最前列でクラシックコンサートをしっかり堪能している女の子

 

音楽が流れる中、滑り台やお砂場で遊びだす子どもも

 

演奏に加わる楽しさも味わった。カスタネットは神奈川県の木を伐採して作った「森のカケラ」

コンサート時間は約30分。公園内にいたみんながそれぞれにその時間を楽しんだように思います。緑の風がそよぎ、美しい音楽がただよう公園で、私自身、ここにいるだけで幸せな満ち足りた気持ちになりました。

 

小さな子どもたちはどんなふうに楽しんだのでしょうか。じっと音楽に耳を傾けている子、トルコ行進曲でねんねしちゃう赤ちゃん、駆け出して滑り台で遊ぶ子。もしかしたら、子どもたちには、風や葉っぱの音、滑り台のシュルシュルシュル〜という音までも、音楽の一部となって聴こえていたのかもしれませんね。

竹林から抜ける風を頬に感じながら聴くコンサートは、子どもだけでなく大人である私たちにも「音楽ってもっと自由に楽しんでもいいんだよ」と教えてくれたようでした。

 

さて、次回の森のコンサートは一体いつ頃になりそうでしょうか。代表の城所さんに伺ったところ、「まだ来年度のえころんの予定は決まっていませんが」と前置きした上で、「バラの花がきれいに咲いている季節や、外で過ごしやすい季節にやりたいと思っています」と教えてくれましたよ。森のコンサートに行ってみたい!と思った方は、えころんの来年度の予定もしっかりチェックしてくださいね。

Information

・荏子田子育てサロン「えころん」

毎月第2火曜日10時〜11時半ごろ

・荏子田太陽公園(青葉区荏子田三丁目21-5)

東急田園都市線・あざみ野駅から東急バスたまプラーザ駅北口行き、または、たまプラーザ駅からあざみ野駅行きに乗り、どちらも「荏子田二丁目」もしくは「荏子田三丁目」下車。そこから徒歩5分程度。ローズハウスは荏子田太陽公園の上の部分、滑り台などの遊具のある平地にあります。

・コロンスタジオ

https://www.youtube.com/channel/

UCINbglb7zvqatizPDqBQfUA

・権田さんのピアノ演奏動画

https://www.youtube.com/channel/

UCGbW2KCOqbJDLu7ex8aVppQ

・荏子田太陽公園ローズハウス

https://www.facebook.com/太陽公園ローズハウス-788000817991517

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この記事を書いた人
山田麻子ライター
横浜市青葉区在住。中学生女子、小学生男子の母。料理の仕事歴25年以上。管理栄養士。森ノオトでの初めての取材をきっかけに、絵本、詩、素話に出会い、その世界の虜に。以来、絵本と飲み物やお菓子の相性を考えるのが楽しみに。図書ボランティア活動、おはなし会のお菓子作りなどに心ときめく。現在の夢は「語り手」になること。 ブログ:スマイル*ごはんを始めよう
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