収穫祭でも人気だったコンポスト
最近話題のLFCコンポスト、ご存知ですか?名前は知らなくても写真のグレーのトートバッグを見たことがある人はいるかもしれませんね。
2022年11月23日に3年ぶりに行われた「あおばを食べる収穫祭(以下、収穫祭)」のエコブースでは、LFCコンポストアドバイザーの勝浦さんに販売と食べ残しをコンポストに入れて混ぜる体験コーナーをお願いしました。
LFCコンポストアドバイザーとは、SDGsなどのイベントでLFCコンポストの出店をしたり、購入してくれた人や購入を検討している人に、サポートやアドバイスをするお仕事だそうです。
収穫祭の日は、このコンポストを目指して来てくれたお客さまもいました。私もエコブースでリユース食器を引き取るお手伝いをしていたところ、隣のLFCコンポストが気になって、時間を見つけては、勝浦さんにいろいろ教えてもらっていました。お話ししているうちに、ぜひ記事にしたいなと取材をお願いすることにしました。
1日1分の作業が生ごみを減らす?
11月の収穫祭も雨模様でしたが、約1カ月後、勝浦さんのご自宅へ取材に訪れた日も朝から雨でした。「収穫には雨も大切ですよ」という神様からのメッセージなのかなと思いながらの取材スタートです。
雨音を聞きながらベランダでレクチャーを受けます。「このコンポストのバッグは晴れていればベランダのあたたかいところへ、雨の日は濡らさないように玄関などに置くほうがいいですよ」と勝浦さん。持ち運びがしやすいこともこのコンポストの大きな魅力です。
作業は「混ぜるだけ」なので説明はあっという間に終わりです。手も汚れることなく、作業は確かに1分程度でした。
LFCコンポストは微生物の力で生ごみを分解し、堆肥を作っています。4人家族で2〜3カ月毎日生ごみを入れることができます(1日に出す生ごみは400グラムの計算です)。袋がいっぱいになったら水分などに気をつけながら3週間熟成させると堆肥の出来上がりです。そのあとは土と混ぜて野菜などを育てることができます。
LFCコンポストは定期便購入と単品購入があり、どちらもLIN
子どもたちが安心して暮らせる未来を作りたい
生ごみは可燃ごみとして出せば、横浜市の場合はお金はかかりません。それを、お金を払って、さらに手間をかけて、堆肥にするということに疑問を持つ人もいるかも知れませんね。私は、子どもたちが将来安心して暮らせる環境を残すための投資ではないかと考えています。
勝浦さんが LFCコンポストを始めたのも、そしてアドバイザーになったのも2人の息子さん(現在24歳、20歳)の将来のことを考えたのがきっかけだと言います。
コロナ禍で、家で過ごすことが多かった2020〜2021年、勝浦さんは長男さんと自然災害や環境のことを話すことが何度かあったそうです。そのときに息子さんは心の中の不安をこう打ち明けてくれました。
「自分たちはもう子どもを作れないのではないか?」(コロナの件も含め、産まれてもこんな環境の中ではかわいそうではないかという意味だそう)
この言葉を聞いた勝浦さんは、それまで以上に環境問題に真剣に取り組んでいかなくてはならないと思ったそうです。
勝浦さんは、コンポスト生活を通して、まずは自分が脱炭素や食循環への理解を深め実践しよう、そしてさらにその活動を広めるお手伝いをしようと LFCコンポストアドバイザーの資格を取ることにしたのだそうです。
コンポストに失敗はないということ
コンポストをやったことのある人は微生物以外の虫やコナダニなどに悩まされたという人も少なくないでしょう。勝浦さんも例外ではなかったようですが、「コンポストには失敗はないんですよ」とも教えてくれました。
私たちは、虫やダニがコンポストに現れると、失敗したと考えがちですが、そこにやってきた小さな生き物たちは、分解をより早く進めてくれる「助っ人」だと勝浦さんは言います。
私も今まで何度かコンポストに挑戦していますが、やはりミズアブやコバエなどが住みついてしまった経験があります。そのときはいやだなあと思ってコンポストをやめてしまったのですが、今回この「助っ人」という言葉を教えてもらったことで、私の中で虫たちに対する気持ちが180度変わってしまいました。厄介者だと思っていた虫たちは、うまく分解できていない私のコンポストに手伝いに来てくれた「助っ人」。協力者だったのです。そう思うと、感謝の気持ちすら湧いてきます。自然界に無駄なものは一つもないのだと気づくきっかけにもなりました。
自然とつながり、人とつながる暮らし
さて、取材も後半戦。朝から降り続いた雨もようやく上がり、勝浦さんの車で畑に連れて行ってもらいました。
勝浦さんは、LFCコンポストを始めた当初は、出来上がった堆肥をベランダで野菜を育てるために使っていましたが、もっと有効利用しようと昨年5月からは畑を借りて本格的に野菜作りを始めたそうです。
LFCコンポストのLFCは、社名でもあるローカルフードサイクリング(Local Food Cycling)の頭文字をとったものです。福岡市に拠点を置くローカルフードサイクリングは、半径2キロ以内の小さな循環をめざしていると言います。2020年から販売を始めた LFCコンポストは「都会でもできる簡単、便利でシンプルなコンポスト」なのです。また、出来上がった堆肥は勝浦さんのように野菜づくりなどに利用することが理想ですが、 LFCコンポストでは使いきれないという人のために堆肥の回収イベントも行っているそうです。
畑のご近所さんとの情報交換や野菜のお裾分け、ぬかるみから助けてもらったことなどまさに半径2キロの交流、そして循環の一部なのだなと思いました。私たちは家族以外の人たちとほとんど話をしなくても生きていくことができます。けれど、近くの人とおしゃべりをしたり、手伝ったり、助けてもらったりしながら暮らしていくのはとても豊かなことだと感じます。
LFCコンポストは勝浦さんと自然をつなぎ、畑を通して人ともつないでくれているのでしょう。勝浦さんは、「子育て中の人は、ぜひ子どもが小さいうちからコンポストや畑を始めてほしい」と言います。小さなうちからこの循環に入る体験をするのはその後の人生に大きな影響を与えるかもしれませんね。
コンポストを始めるということは、生ごみを堆肥にするということだけでなく、自然とつながること、そして人ともつながるということ、その結果、自分の世界を広げるいうことでもあるのかなと、取材を通して感じました。
最後に
生ごみを減らすということは、今誰もが取り組むべき問題だと思っています。
横浜市では燃やすごみの3分の1が生ごみ(※)です。そしてその生ゴミの80パーセント程度が水分だといいます。ほとんどが水分である生ごみを、私たちは税金を使って燃やし、さらに温室効果ガスであるCO2を排出させ、地球温暖化を加速させています。それはとても残念なサイクルですね。
その残念なサイクルから抜け出す方法を、私たちは選ぶことができます。可燃ごみとして出す場合は、生ごみの水分をしっかり絞る、可能ならば干してから捨てるということも環境への負荷を減らせます。(茶がらやコーヒー殻は干しても臭くならないのでおすすめです。さらに下駄箱に入れれば脱臭剤として役立ちます)
また、スペースがあれば庭に直接埋めてしまうのも楽ですね。コンポストに興味がある人は、コンポストにもいろいろな種類があるので暮らし方や家族構成に合わせて探してみるといいと思います。気軽に始めてみたいという人は、このLFCコンポスト、おすすめですよ。
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