おもちゃと子育て 第2回〜積み木で遊ぶって?〜
「あおばおもちゃのひろば」は、おもちゃ遊びを通して親子やひろばに集う人々が心豊かな時間を過ごすことを願って活動しています。ひろばで出会った親子、おもちゃ遊びの様子を、ひろばのおもちゃのご紹介をしながらお伝えします。

文=あおばおもちゃのひろば代表・池上信江/写真=あおばおもちゃのひろば

*このシリーズでは、「子どもを育てる」現場の専門家の声を、毎月リレー方式でお送りしていきます。

 

「子どもに買ってあげたい!」とイメージするおもちゃは?とアンケートを取ったことはありませんが、きっと一度は「積み木」を検討している家族が多いのではないでしょうか?

一方で、「買ったけど子どもが興味を持ってくれない」「どうやって遊んだらいいかわからない」「もう使わないからあげちゃった!」という声も多く聞くおもちゃです。

 

あおばおもちゃのひろばに来られる親子でも、リクエストが多いのが木の積み木。ひろばにもいろいろな種類の積み木があります。

 

1.積み木は積むもの?

ひろばでは積み木を手に取られたお母さんが、まずはお子さんにハイと手渡しながら「この上に積んでごらん」と積むことを勧める姿をよく見かけます。

特にシンプルな積み木だと、お子さんとしては???ぽかーんとしていることもあります。子どもにとってみれば結構唐突ですよね。

お母さんのリクエストに応えて?さあ積み木を重ねてみよう!と笑顔で積み木を持ってみるものの、上手にのせることができず積み木がころん。ママとのやりとりもなんとなく暗ーくなってきます。

 

でも積み木って積むことばかりが目的でもないんですよ。そんな親子のシーンを見かけると、ついつい崩れたことを私も楽しんでみせちゃいます。子どもってなんだか上から落ちるものを見るとケラケラ笑いませんか?音も鳴りますしね。

そうなると大変!壊すこわす!それも誇らしげに!うれしそうに!

でも積んだ積み木を壊す子は必ず積む子になるんですよ。それはひろばのカプラ遊び(1:3:15の魔法の板といわれるすべて同じ形の積み木。ひろばには現在約6000枚あります)で実証済みです。

 

さて積み木を積む話に戻ります。

積むって結構子どもにとっては難しいことなんです。指先の発達があったり、目と手の感覚統合が必要だったりするんです。

そして何よりも積みたい!積むことが面白いって思う心の成長があってです。

子どもからしたら「なんで難しい思いをして積むのがいいのかわからない」でしょ?

でも横にいるママがなんだか真剣に積み上げている!パパが何かわからないけど作ってくれているというのはお子さんにしっかり伝わるものです。

そうなったらお子さんだって「自分で積みたい!」積み木の遊び手です。

 

ここで積み木の紹介です。

まだ自分で安定して積むことが難しいお子さんに、積むことの楽しさがわかるおもちゃです。

突起があるので、ちょっとのお手伝いで上手に重なります。手で押してみると連結して動き出すのでほんわかしたお楽しみができます。

 

 

フィッシャープライス(アメリカ)「ぴょっこりブロック」:プラスチック製で軽いので、小さいお子さんの手でも、わしづかみでつかめる大きなブロックです。 デザインはいろいろあります

2.積み木で造形?

積むことが上手になると今度は……親心……造形を期待しちゃいます!

何か意味のあるものが出来上がることを期待しませんか?

 

あらあら遊び方が違う!なんて言わないでくださいね。

少しだけお子さんを観察してみてください。お子さんが主体性をもって積み木で遊んでいるその様子を!

夢中になっているお子さんはどんな表情しているのかしら? ちょっぴりこだわりが強くても大丈夫。

自分が思うように積んだり並べたり、何かに見立てたり……。

思い通りにならなくってイライラすることだって、よく観察してみるとどうしたいのか……ちょっぴり寄り添ってみると……お手伝いして欲しいことがわかってきます。

 

私たちスタッフは、ひろばで夢中になっておもちゃ遊びをしているお子さんの表情を見るのが楽しくって、そっと見守っています。

 

出来た作品の良し悪しじゃなくって、積み木遊びをしているそのプロセスが、積み木遊びの目的なのだと思います。

 

 

3.主体性をもって遊ぶって?

「自分から遊ぼうとしないんです!」よくお母さんから聞く言葉です。

主体性をもって遊ぶって、なんだか難しいことのように思いますよね。

でも当たり前のことなのかもしれません……子どもがその遊びをしていると楽しいと思っているかということ。積み木だったら自分で積めたという満足感だったり、自分が思っていることを表現できた!一緒に作ったらこんなことができた!とワクワク感やその感覚の共有ができた時に得られることです。

目の前の積み木が、無機質な積み木であればあるほど、はじめは興味が持てないと思います。だからこそ、積み木を介しての人と人とのやり取りがあってたどり着ける楽しさなのかもしれません。

 

 

4.積み木遊びのいろいろ

積むためでもなく、造形遊びをすることだけでもない積み木遊び……。ひたすら並べてみるって面白いんですよ。

お人形さんのベッドにしてごっこ遊びにしたり、電車や車の通り道にしたり、なんでもありです。

 

 

ひろばのシンプル積み木。一辺が40㎜の立方体を基本とした積み木のセット

 

 

セレクタ社(ドイツ)「エックスブロック」:一辺40mmのX字型の積み木。ちょこんと重ねると安定して積み上がっていきます。横向きにしたり縦に置いたりと大人だってハマるきれいな柄が出来上がります

 

 

童具館「森のつみ樹」:ただの切れっ端なんて思ったら大間違い。しっかり規格があって、重ねていくとしっかり高さが合います

もし奮発して積み木を買おう!と検討されている方へ

積み木は小さいお子さんだけが楽しむものではありません。小学生だって大人だって楽しめます。

そのためにも拡張して遊べるように「基尺(きじゃく)」を意識して選ばれることをお勧めします。

 

 

KAPLA社(フランス)「カプラ」:1:3:15のすべて同じ形の積み木。カプラは「ねる」「おきる」「たつ」の3つの積み方でさまざまな形を表現できます

基尺とは、その積木の基本となる寸法のことで、多くの場合立方体の1辺の長さで示されています。直方体の積み木の多くが、基尺を1と考えると、辺の長さを0.5倍(半分)、2倍、4倍、6倍などの長さをもち重ねるとちょうど同じ高さになります。

またひろばの人気積み木のカプラは、

1(縦):3(横):15(高さ)という比率になっているので、平積みにすると3枚で横と同じ長さになり、15枚で高さと同じ長さになっています。

子どもたちに基尺を教えてあげることもできますが、遊んでいる中でピッタリ合った!みたいな何気ない気づきも子どもたちにはあると思います。

違うシリーズの積み木でも合わせて遊ぶことができるのも、基尺をそろえてできることです。

先ほどご紹介した、ひろばのシンプル積み木(基尺40㎜)とエックスブロック(基尺40㎜)も合わせて遊ぶとダイナミックな遊びに発展します。

 

積み木遊びは「子どもがおもちゃで遊ぶ」ということを、大人がイメージする代表的な遊びなんだと思います。でもイメージするだけでなく大人も実際に触ってみて遊んでみて、お子さんの様子を観察してみて、お子さんと一緒に感じてみてください。

「子どものため」という視点から、「子どもとコミュニケーション」できる共有アイテムとしての積み木と考えると、お子さんの成長も感じることができるのではないでしょうか。

Information

<ボランティアグループ あおばおもちゃのひろば>

活動拠点:横浜市青葉区市ヶ尾町1169-22 、青葉区福祉保健活動拠点「ふれあい青葉」内

開催日時:毎月第1金・土 第3金・土

金曜日 午前10:30~12:00 午後13:00~15:00

土曜日 午前10:00~12:00 午後13:00~14:30

 

HP:https://sites.google.com/site/aobatoy/

Facebook:https://www.facebook.com/aobatoy

Instagram:https://www.instagram.com/aobatoy/

ひろばブログ:あおばおもちゃのひろば日記 (exblog.jp)

 

*おもちゃの貸し出しをしています。

「ひろばカード(500円/半年・1家族)」で1家族2点1カ月間、おうちでゆっくり遊べます。

 

・5月5日(金・こどもの日)予定

「カプラで遊ぼう!」AM10-:30~12:00 カプラだけで遊ぶお部屋を作ります。

「工作縁日」PM1:30~3:00 簡単おもちゃが作れます。

通常ひろばも開催します。

 

森ノオト記事

「おもちゃがくれる豊かな時間。ともに育ち、ともに育てる場 20年|あおばおもちゃのひろば」

https://morinooto.jp/2020/07/30/omochanohiroba/

コラム第1回
おもちゃと子育て 第1回〜いいおもちゃってどんなおもちゃ?〜
https://morinooto.jp/2021/12/06/omochacolum01/

 

<プロフィール>

池上信江

————

 

次女が2歳の時、東京都大田区から横浜市に引っ越してくる。東京都の児童館のように子育て支援ひろばが横浜市にまだない時代、親子で遊び場を求めていたときに出会った親子サークル「青葉子育てのびのび広場」の仲間たちと2001年に「あおばおもちゃのひろば」を立ち上げる。障がいの有無を超えてさまざまな親子とふれあいながら、おもちゃの魅力と奥深さを知る。

 

夫の海外転勤先で長女と経験した子育てひろば、帰国後誕生した障がいのある次女を育てることがきっかけで「さまざまな課題をもつ子どもたちとマンツーマンで学ぶ」、「障がいのある方たちの自立生活を考えるセミナー(障がい当事者セミナー)、就労を支える」など、子育てを通して経験し学び考えてきたことを、仕事や市民活動として行っている。

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