森ノオト、フジロックへ行く。日本最大の野外フェスから感じたサステナビリティ
新潟県湯沢町の苗場スキー場で、7月28日〜30日に開催された「フジロックフェスティバル’23」。NPO法人森ノオトは同フェスのNGOヴィレッジに出展してきました!日本が世界に誇る野外音楽イベントの体験記をレポートします。

私たちは、つい数カ月前まで全く想像もしていなかった大舞台にこの夏、上っていました。

きっかけは、取材などを通して親しくさせてもらっているNPO法人パノラマ(青葉区)の代表である石井正宏さんからのお声かけでした。

「森ノオトさん、フジロックに出てみませんか?」

石井さんが長年幹事として携わっているフジロック内のNGOヴィレッジに出展団体として出てみないかとのこと。NGOヴィレッジは、フジロック来場者に社会問題をわかりやすく伝え、社会変革を目指すことを目的に2000年から有志の幹事グループによって運営され、全国からさまざまな団体や企業が出展しています。今年は、パノラマさんも団体として初出展するということにも背中を押されて、半ば勢いで申込みをしました。

搬入日の設営後、パノラマの皆さんとの1枚。4日間を通して、団体同士の交流も深まりました!

出展が決まってからは、さまざまある森ノオトの活動の中で、何をPRしてきたら良いか相談し、資源循環事業である「めぐる布市」の活動紹介を軸にワークショップの練習や、展示物、会場で流れるという画像や動画などの準備を進めてきました。森ノオトスタッフのほとんどがフジロック初参戦。毎年のように雨に降られるため過酷らしい……というイメージ先行のため、雨対策やそもそものフル参加する体力が持つのか……。イベント出展も主催することもそれなりに経験がありますが、日本を代表する野外イベントへの出展に不安と期待が入り混じっていました。

この出展に間に合わせて用意した店頭幕。森ノオトブースでは資源循環事業「めぐる布市」の商品のマルチクロスやエコバッグ、マクラメホルダーを並べました

今年のNGOヴィレッジは過去最大の17団体が出展。出展団体はフジロック開催前日の7月27日の朝から会場入りのため、青葉区を早朝5時に出発して苗場へと向かいました。会場へは関係者専用通路から車で搬入。窓から「おお、これがフジロック会場なのかー!」と目の前にそびえる苗場スキー場に声を上げつつも、入場ゲートからNGOヴィレッジまでの距離感に、まずちょっとひるみました。NGOヴィレッジはフジロック会場内でも最果ての地、アヴァロンステージの隣に位置します。会場ゲートからは大人の足で30分ほど。この距離を4日間往復して歩いた全参加スタッフの走行距離は50km以上にもなっていたのは驚きました。

NGOヴィレッジ出展団体。今年は森ノオト同様に初出店の団体も多かった。各ブースをめぐり、団体同士の情報交換の場となった

NGOヴィレッジに出展している団体は、難民支援、ジェンダー、林業、脱原発、移住支援、途上国支援…など、いろんな角度から社会の課題に向き合う団体が出展。写真展示や物販、ワークショップなど、あの手この手で来場者に訴求していました。森ノオトのブースはNPO法人パノラマさんと大きなテントをシェアしましたが、前日の設営時から、間にあった仕切りをとって、床板も横に並べて、一体感を演出。横浜市青葉区で活動する2団体がこの場で肩を並べているなんて……。

NGOヴィレッジに出展している「フジロックの森プロジェクト」が手がけたボードウォークを歩く参加者。毎年300人を越えるボランティアによって、車いすでの自然散策を可能にするボードウォークを作っているそう

搬入日を含めた4日間、少量の雨が降ったのみで、ほぼ快晴。こんなに晴れたフジロックは珍しいとのこと。熱中症も心配になるほどの暑さでしたが、山の中の会場はいたるところに木陰があったり、川遊びができたり、給水スポットもあり、涼がとれる配慮を随所に感じました。何より、行き交うフジロッカーたちの服装や装備からは、この暑さを楽しんで乗り切るサバイバル術が見てとれて、学びが多かったです。

ホワイトステージのスクリーンに森ノオトのロゴが!会場内の各ステージのスクリーンでランダムにNGOヴィレッジの出演団体が紹介されていた。映し出されたロゴにスタッフも大興奮!

期間中は、森ノオトスタッフとその家族が入れ替わり参加しました。私も家族が途中で合流。この暑さの中での会場内での移動など、子どもたちが楽しめるだろうかという不安もあったのですが、巨大なプレイパークのようなキッズランド、ところ天国という川遊びスポットに立ち寄りながら、好きなアーティストのステージを一緒に踊って楽しみ、親の不安をよそに子どもたちはフジロックを大満喫。他のスタッフの子どもたちも同じく、会場内をめぐり、NGOヴィレッジ内では大人以上に他団体さんと交流しながら、全力でフジロックを楽しんでいる様子に頼もしさを覚えました。

子どものための遊び場「キッズランド」。ホワイトステージとグリーンステージの間に位置し、山の中でのびのび遊べる工夫が詰まっている子ども天国のようなエリア

公式発表によると、前夜祭を含む4日間のべ来場者数114,000人とのこと。人で溢れる会場内でもNGOビレッジは初日から最終日までのんびりと来場者が訪れ、終始おだやかな穴場でした。「毎年NGOヴィレッジに来ている」という人から、うっかり迷い混んだ人まで、私たちも一期一会の出会いを楽しみながら、森ノオトの紹介を重ねました。そして、森ノオトの出展を聞いて、訪ねて来てくれたスタッフの旧知の知人たちも訪ねてくれて、疲れも吹き飛ぶようなエネルギーをもらったり。

森ノオトオリジナルエコカップとマクラメカップホルダーのセットを購入してくれたお客さま。マクラメカップホルダーは「こういうの欲しかったの!」と人気の高い商品でした

29日には、NGOヴィレッジ内にあるトークステージで森ノオトの活動紹介のフリートークを30分。加えて、なんとなんとミュージシャンたちがのぼるアヴァロンステージにも上がらせてもらい、PRタイム5分まで用意されていました。

アヴァロンステージでのPRタイム。中央でめぐる布市の商品のマルチクロスを紹介しているのは、事業担当スタッフの齋藤由美子。左端に写っている娘、葉月ちゃんとの親子共演ステージになった(撮影:小幡崇)

ステージに上がる前はとても緊張していたものの、ステージ下で聞いてくれている来場者のあたたかな反応、そこに流れているピースフルな空気感に、自分たちの言葉で森ノオトを紹介することができました。

ヴィレッジトークでは、森ノオトの回のゲストとして、NPO法人パノラマの石井正宏さん(右)に登場してもらいました。私、事務局長の宇都宮(左)とスタッフの梅原とのクロストークで、森ノオトに取材された経験から見える、ローカルメディアの価値をお話ししてもらいました(撮影:小幡崇)

スタッフはシフトを組んで、ブース担当とフリータイムを設けたのですが、会場をまわった森ノオトスタッフが共通して話題にしたのが、会場の清潔さ。会場ゲートでは来場者全員にゴミ袋が配布(米を原料に作られているゴミ袋はデザインもおしゃれ!)。また会場内にはゴミ回収所が各所に設けられ、細かく分別されていました。来場者のマナーの良さもあって、会場内にはほとんどゴミが落ちていなかったです。

ごみゼロステーションが各所にあり、分別の案内がイラスト付き、多言語で表記されていた。海外からの来場者の姿も多く見られたことも、コロナ禍が明けたことを感じた

会場の飲食や販売ブースでは完全キャッシュレス決済と知らされていましたが、通信トラブルによって、レジ待ちのの長蛇の列もできていたのですが、文句をいうお客さんを見ることがなかったことも驚きました。

一番大きなステージを抜ける道の横に積まれたゴミ袋。日に日に積まれていく様子を見ていると、「ゴミを出さないようにしよう」と自然と思える。来場者への静かなるメッセージを感じた

私たちも、規模は違えど、「あおばを食べる収穫祭」などでエコなマルシェを通して、参加者の日常に、意識の変化を起こしたいと活動してきました。だからこそ、フジロックの参加者のこのイベントへの主体的な意識と、運営側が積み重ねてきた工夫と経験と器の大きさを随所でビリビリと感じました。

エコでクリーン、キッズフレンドリーでピースフル。この夏、私たちが経験した大きな舞台は、人々が楽しみながらも、持続可能な場をつくっていけることを教えてくれました。

最終日のブース撤収を終えての1枚。この後の横浜までの長距離ドライブを控えた表情…も充実感でいっぱい!(撮影:小幡崇)

Information

FUJI ROCK FESTIVAL’23
https://www.fujirockfestival.com/

NGO ヴィレッジ
https://ngovillage.net/

森ノオト紹介動画@フジロック’23
https://youtu.be/Ji-FPQJD9JY

Avatar photo
この記事を書いた人
宇都宮南海子事務局長/ライター
元地域新聞記者。エコツーリズムの先進地域である沖縄本島のやんばるエリア出身で、総勢14人の大家族の中で育つ。田園風景が残る横浜市青葉区寺家町へ都会移住し、森ノオトの事務局スタッフとして主に編集部と子育て事業を担当。ワークショップデザイナー、2児の母。
未来をはぐくむ人の
生活マガジン
「森ノオト」

月額500円の寄付で、
あなたのローカルライフが豊かになる

森のなかま募集中!

寄付についてもっと知る

カテゴリー

森ノオトのつくり方

森ノオトは寄付で運営する
メディアを目指しています。
発信を続けていくために、
応援よろしくお願いします。

もっと詳しく