「お母さんって何もしてないよね?」をきっかけに出会った「Lavori」の働き方
「Lavori(ラヴォリ)」は、主に生活クラブ神奈川の組合員向けに家事代行サービスを行っている労働者協同組合です。私はここで2021年から働き始め、心に「ポッ」とあかりが灯るような温かい働き方を知りました。

「お母さんって何もしてないよね?」をきっかけに「Lavori」に出会う

私が「労働者協同組合ワーカーズ・コレクティブLavori」と出会ったきっかけは当時小学1年生だった息子が言い放った「お母さんって何もしてないよね?」という一言でした。「いやいや、毎日家事や育児がんばってますけど!!」と内心で思いつつ、「これは外で働いてないって意味だな」と思った私は「じゃあお母さん働いてもいいの?」と聞き返しました。

 

そこから私と子どもたちとの話し合いが始まり、子どもたちが帰宅する時間には家に戻っていることを条件とし、外で働く了解を得たのです。新型コロナウイルス感染症の影響で一旦仕事を辞めた経緯があった私は、まだ感染拡大が収まる様子もなかった当時の状況を踏まえ「月1回~OK」の職場を探し出会ったのがLavoriでした。

 

Lavoriは、生活クラブ神奈川のF(食料)E(エネルギー)C(ケア)の自給圏+W(働く)をテーマとして、ケア(たすけあい)と働く(ワーク)を結ぶ新しい事業「くらしサポート」として2017年1月に設立・事業開始しました。

横浜北・横浜みなみ・かわさき・湘南・さがみエリアで活動しており、立ち上げ当初6名だったメンバーも、設立から丸6年経った現在は49名前後まで増えました。40代が中心となり、定年は75歳としています。

利用者は高齢者が多いですが、新型コロナウイルス感染症の影響で在宅ワークが増え、子育て世代の利用も高まっているのだとか。

サービス内容は掃除と料理が中心で、時々家の整理依頼もあります。

利用者宅で料理サービスを行う筆者

「ワーカーズ・コレクティブ」という新しい働き方

働き始めて驚いたのは「ワーカーズ・コレクティブ」という、経営も働き方も、みんなが意見を出し合って決めるのが特徴の「働き方」に対してでした。

Lavoriで1時間あたりの労働に対し分配される分配金の引き上げ検討をしていた時のこと。賛成だけでなく反対意見もありました。なぜなら事業資金は自分たちが出し合っている出資金で賄う仕組みでしたから、それでは事業が成り立たなくなるのでは?と考えた人もいて、私もその一人でした。

 

そのような「経営的立場」に立って「職場」を捉えたことがなく、私にとってはとても新鮮でしたし「積極的に働いている」という実感が湧きました。まさに「サービスなど同じ思いを持った仲間が一緒に非営利・市民事業を起こし、全員で事業資金を出資し、全員が経営者として協同で働く(神奈川ワーカーズ・コレクティブ連合会冊子より一部抜粋)」という「ワーカーズ・コレクティブ」の働き方の実体験だったと思います。

また、Lavoriの理事長である五十嵐仁美さんは、メンバーに対し労働者協同組合の法人格取得を提案。メンバーもそれに賛同し、2022年12月に労働者協同組合の法人格を取得しました。

「労働者協同組合」とは、そのようなワーカーズコレクティブの働き方を3つの基本原理とし、持続可能で活力ある地域社会に資する事業を行うことを目的とするものでなければならず、その他の基準および運営の原則があります。(厚生労働省HPより一部抜粋)

 

五十嵐さんに取得の提案理由を伺うと、「ワーカーズ・コレクティブの働き方は、その働き方に見合った法人格がずっとありませんでした。ワーカーズ・コレクティブの社会化が労働者協同組合法(2022年10月1日に施行)で位置づけられたと考えています」と教えてくれました。

穏やかで優しく話される一方、胸には静かな青い炎を感じさせる情熱を抱えた方のように感じました。

写真右手が労働者協同組合ワーカーズ・コレクティブLavori理事長の五十嵐仁美さん。左手が理事で事務局担当でもある長田薫さん

独り立ちもこわくない!

座学と同行研修を含む新人研修を経て、初めて一人で利用者宅へ伺った時はやはりドキドキしました。

けれど、同行研修で先輩たちの姿を見ていましたから、同じように挨拶すると「待っていましたよ」と笑顔で出迎えてもらえました。掃除や料理の仕方に迷った時は、ご利用者に何でも聞きました。技術的なことはもちろん職場にですが、掃除や料理の仕方は本当にその家庭ごとに違いがあり、ご利用者へ聞くのが一番なのです。作業をしていると2時間があっという間に過ぎていきました。

新人研修~加入までの流れ

「ありがとう」が循環した働き方

「『ありがとう』言うのはこっちのセリフや」。いつものように利用者宅でサービスを終え「ありがとうございました」と言う私に返ってきた言葉。「えっ?」と驚いていると「貴方が来て下さるから自宅で生活を続けられているのよ」と話は続きます。私はただ料理を作ったり掃除したり当たり前の事をしているだけなのに、たくさんの「ありがとう」を、仕事を通して受け取ります。

そして私もまた「ありがとうございます」の気持ちを込め仕事でお返しする。まるで心に「ポッ」とあかりが灯るような「ありがとう」が循環した働き方を、私はLavoriと出会ったおかげで知ることができました。

 

 

「家事」は縁の下の力持ち 

私生活にも変化が起き始めました。今まで退屈で前向きになれなかった自宅での家事にも彩りが出てきたのです。掃除する、料理を作る、お皿を洗う、洗濯物を干す、畳むなど「やって当たり前」と家族から思われている節があったり、感謝すらされない「家事」が、どれだけ家族を支えてきたのか。Lavoriを通してその価値の大きさに気付くことができたからだと思います。

Lavoriで働き始めてからは、窓拭きやお風呂掃除をした後はその仕上がりを家族に見せ「どうだ、これが家事プロの掃除だ」と言わんばかりにドヤ顔をします。家族もその仕上がりを見て、嫌味なく「さすが!!」と褒めてくれるので大掃除も以前より大変に感じなくなりました。

 

日ごろの世間話から、昔の私と同じように、家事に価値を見出せず、あまり前向きに捉えられない人がまだまだ多いなぁ、と感じています。

それはちょっとモッタイナイ。この記事を通して、家事に関わる色んな方に、Lavoriでの「ありがとう」が循環した働き方を知ってもらい、「家事って大切で縁の下の力持ちだよね」と前向きに思ってもらえたらうれしいです。

Information

労働者協同組合ワーカーズ・コレクティブLavori

横浜市港北区新横浜2-2-15パレアナビル6F生活クラブ生協内

045-620-0734(月曜~金曜の9:00~18:00)

https://kanagawa.seikatsuclub.coop/02ex/kurashi_support/

kurashi.support@s-club.coop

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この記事を書いた人
福田友美ライター卒業生
神奈川県出身。栄養士として会社勤めし、結婚とともに退職。息子の食物アレルギーをきっかけに食や暮らしを丁寧に日々重ねていきたいと思うように。娘から昆虫のかわいさを教わっている。家族と47都道府県旅行することが夢。
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