「コーヒーのある風景」をつくる。OHAYOGOZAIMASUCOFFEE
横浜市青葉区鴨志田町に新しくできたコーヒースタンド、OHAYOGOZAIMASUCOFFEE。
「コーヒーのある風景」が好きだという梶原大史 (かじわらたいし) さんが大切にするコーヒーが結ぶ「人のつながり」と地域への思いを聞いてきました。

珈琲を初めて飲んだのはいつだろう。

珈琲は暮らしの中にいつもあり、その時代ごとに流れていた音楽のように、人生をともに過ごした友人のように、親しくなじんだ心温めてくれるものでした。

今となってはもう思い出せない最初の一口ですが、珈琲は一人でゆっくり時間を過ごす楽しみだけでなく、ふりかえると誰かとともに過ごした楽しい時間や笑い声、懐かしい記憶をよみがえらせてくれます。

 

そんな珈琲を楽しめるコーヒースタンドが私の住む街にできたと、耳にしたのはこの春のことです。

聞けば住宅街の一角。どこにできたのだろう??お店を開けるようなスペースあったかな?と不思議に思っていたのですが、のぞいてみると確かに、お庭の緑にかこまれた一角に小さなお店がありました。

そばには控えめに置かれた小さな看板とベンチ。どこか安心する懐かしさを感じるような雰囲気のあるたたずまいに、私は心惹かれました。

 

「OHAYOGOZAIMASUCOFFEE」の店主、梶原大史さんは広告プロダクションやアパレル業界でグラフィックデザイナーとして20年ほど働き、2022年8月に退職されてコーヒースタンドを鴨志田に開きました。

 

いつかはコーヒーにまつわる仕事がしたい、と思っていた梶原さん。

もともとコーヒーがずっと好きだったそうです。家族や友人など、仲良くしている好きな人たちと一緒にコーヒーを飲む、コーヒーを介してつながるその時間を心豊かに感じていました。

「コーヒー飲みに行こうよ」と言う言葉は、「もっと話そうよ」という意思の表れ、コミュニケーションツールとしてのコーヒーをいいな、と思い、「コーヒーそのものが好きなのもあるけど、コーヒーのある風景が好き。おいしいコーヒーがそばにあることで会話がはずむ、そんな時間や空間をつくりたい」と思ったそうです。

2023年3月21日の開店日は「3、2、1でオープン!!」という遊び心ある理由から

OHAYOGOZAIMASUCOFFEEはテイクアウトのコーヒーと、豆やコーヒー関連のグッズを扱うお店です。

コーヒーは「おはようございます珈琲」と「ハンドドリップ」「アイスコーヒー」の3種類から選べ、「おはようございます珈琲」は梶原さんのその時の気分で豆が決まります。お店はバス停に続く遊歩道にあり、オープンは朝8時から。通勤時にコーヒーを購入される方も多く、朝の時間にさっと出せるように、また多くの方に飲んでもらえるように工夫しているとのことです。

夏に人気だったアイスコーヒー。この日は地元のマルシェ森ノオトの「いいかも市」に出店。大人気で行列ができていました

「ハンドドリップ」は好きな豆を選ぶことができます。基本的にはコーヒーはどの豆もシングルオリジンと呼ばれる単一品種のコーヒーで産地、生産者、生産方法が明確に示されるスペシャルティコーヒーです。

「思っている以上に、おいしいブラックコーヒーがあることを知ってほしい」と、梶原さんは話します。お餅も何もつけないで食べると言う梶原さん。焙煎する時も、豆の持つそのままの魅力を引き出す焙煎を心がけているそうです。

時にはご要望に応じてブレンドオーダーをすることも可能だそうです。贈り物や記念品などにもいいですね。

OHAYOGOZAIMASUCOFFEEのコックピット。鋳鉄でできたフジローヤルの焙煎機。消しても温度を保てる、蓄熱できることが大切だそうです

コーヒーを待つ間に梶原さんと交わす会話もまたユーモアにとんでいて、このコーヒースタンドが醸す雰囲気をつくっています。

「カッコつけても仕方ないんでおもしろい方がいいかな」と、イケメン顔で真面目に、冗談か本気かわからない会話が続き、気がついたら私も笑って楽しい気分になっています。

「コーヒーの味に自信もあるし、おいしいものを届けているけどおいしいかどうかはお客様が評価すること」と、梶原さん。

それよりも大切にしたいのは、その向こうにあるコーヒーを飲む人とのつながりと話してくれました。

 

OHAYOGOZAIMASUCOFFEEや森ノオトがある鴨志田町は東急田園都市線・青葉台駅の郊外にある人口8000人あまりののどかで小さな街です。

梶原さんに「どうして鴨志田を選ばれたのですか?」と聞いてみました。

鴨志田にある友達の家に遊びに来るたびに、この家をいいなと思って見ていて、売りに出ているのを見つけてすぐ行動を起こし、ご縁がつながったそうです。

コーヒースタンドを開く前提でこの家を選んだわけではありませんでしたが、お店のためのテナントを探していることを、自宅に遊びに来ていた友人に相談したところ「この庭で(コーヒースタンドを)始めてみたら?」という言葉をもらい、ここから始めたとのことです。

場所はスーパー三和鴨志田店のすぐ裏。三和と横浜鴨志田郵便局の間の遊歩道沿いにあります

「鴨志田は人がいいですね。街のもつ雰囲気がいいし、こういう遊歩道もあまり見かけない」とお店の前を通る遊歩道のベンチに腰かけて、通る人たちを眺めながら話す梶原さんに小学生が話しかけてきました。

梶原さんのことを「友達!」「おもしろい!」と教えてくれ、ひとしきり恋バナなど気兼ねなくおしゃべりをしている様子は、梶原さんのお人柄が伝わるようでした。

先日、コーヒー待ちで前に並んでいたご婦人は「小学生のファンミーティングがあるのよ」とこっそり教えてくれ「子どものこともよく見てくれていて、お店があることは防犯にも安心。応援してあげないとね!」と話してくれました。

20文字のアルファベットでできている「OHAYOGOZAIMASUCOFFEE」のように20年続けたい、と話す梶原さん

小さな子どもを育てるお父さんでもある梶原さんは自治会の副会長もしています。

今年、鴨志田緑小学校で開催された夏祭りではフェス化をめざして櫓(やぐら)をやめて、DJブースやステージを作ったそうです。ステージでぴょんぴょんとはねながらはしゃぐ子どもたちやその写真を撮る大人たち、みんなが楽しんでいる動画を見せてくれました。

そしてこの街について「人がいいという魅力を持つこの街に、僕らの世代がこれから活気をつくっていけたらと」話しました。

 

そんな梶原さんが「ACT2」として新しく始めたのが、鴨志田町中央交差点そばにある根本建装さんで不定期に開くOHAYOGOZAIMASUCOFFEEです。

おしゃれな店内は居心地よく、お店のそばの路地にもテーブルがありオープンカフェとしてコーヒーを飲むことができます。

根本建装さんでの営業は不定期です。スケジュールは文末の InformationにあるInstagramよりご確認ください

店内では青葉区つつじが丘にある「Lucy’s Bakery」の焼き菓子や川和にある「ミツメビール」という地ビールもいただけます。どちらも友人づてで置き始めたというのもお人柄ですね。

「都心のおしゃれな街でなく、身近な鴨志田におしゃれな空間があり、心地いい音楽が流れている。コーヒーを楽しむ、コーヒーを飲みながら親しい人とすごす体験ができるといい」と新しい場所での魅力を語ってくれました。

 

OHAYOGOZAIMASUCOFFEEという名前には「Good morning(あなたに良い朝が訪れますように)」という願いとともに、歌舞伎界で使われていた「お早いお着きでございます」という労いと感謝の意味も込められているそうです。

 

鴨志田の朝を見守る、あたたかな心がコーヒーの香りとともにこの街に広がっていくといいなと、私は思いました。

Information

OHAYOGOZAIMASUCOFFEE

住所:横浜市青葉区鴨志田町545-13

月曜〜土曜日 08:00 – 17:00 日曜定休

 

公式HP:https://www.ohayogozaimasucoffee.com/

Instagram:https://www.instagram.com/OHAYOGOZAIMASUCOFFEE

 

OHAYOGOZAIMASUCOFFEE Act 2

日時:Instagramをご確認ください。

場所:根本建装1F

住所:227-0033 横浜市青葉区鴨志田町564-8

東急田園都市線「青葉台駅」からバス

青30 or 青31乗車→「中谷都」下車→徒歩2分

※根本建装へのお問い合わせはご遠慮ください。

Avatar photo
この記事を書いた人
新楽 津矢子ライター
横浜市青葉区在住。地元鴨志田を中心に、フリーのヨガインストラクターとして活動中。生きる素は、ヨガ。笑顔の素は、おいしものを食べること、自然を感じること、親しい人と笑いあう時間。エコで丁寧な暮らしを田舎でしたいと思いつつ、身の丈にあうことが一番!と一歩ずつの生活を楽しんでいる。
未来をはぐくむ人の
生活マガジン
「森ノオト」

月額500円の寄付で、
あなたのローカルライフが豊かになる

森のなかま募集中!

寄付についてもっと知る

カテゴリー

森ノオトのつくり方

森ノオトは寄付で運営する
メディアを目指しています。
発信を続けていくために、
応援よろしくお願いします。

もっと詳しく