何事も全力!愛犬家のイタリアンシェフ。OSTERIA PACE 本多伸行さん 
近年、横浜市の中でも青葉区は犬の登録頭数が最も多い地域です。そんな青葉区に、愛犬家で犬と飼い主さんの心地よい環境づくりを模索し続けているイタリア料理店のオーナーシェフがいるのをご存知でしょうか? OSTERIA PACE(オステリアパーチェ)の本多伸行さんに、愛犬との暮らしや、江田からあざみ野へと展開していくお店への思いを語っていただきました。(アイキャッチ写真提供:本多伸行さん)(森ノオトライター養成講座2024修了レポート:葛西麻理)

予約されたお客様の犬の似顔絵を描いたウェルカムカードでおもてなし

「お店のオーナーが犬のことを第一に考えている、犬も入店できるイタリアンがあるよ!」

そう友人に誘われて、私が初めてオステリアパーチェを訪ねたのは2023年のことです。

 

わが家にも家族の一員にトイプードルがおり、これまでも犬を同伴できる飲食店を数多く巡り歩いてきました。犬が一緒に入店できる飲食店、それも屋外テラス席ではなく店内で過ごせるお店というのは、飼い主にとってありがたい存在です。さらに、前菜からデザートまでの本格的なコース料理を味わうことができるお店というのはなかなかありませんでした。飼い主さんが最低限のマナーを踏まえた上で犬も入店可能にし、食事の提供においてもいいものを出すというのが本多さんのこだわりでもあります。現在は犬用のメニューはありませんが、本多さんが来店した犬の写真を撮る際に、犬はご褒美のチーズをもらえます。

 

お店に入ると、優しい笑顔で出迎えてくれるお店のスタッフや陽気な音楽、お客さんの楽しそうな笑い声。犬連れの人もそうでない人も、カジュアルに楽しめるお店だと感じました。

ゆったりとしたソファ席の横には、犬好きの本多さんが集めた犬のぬいぐるみがたくさん

その一方で、必ずしも全てのお客様が犬同伴・犬好きとも限りません。「お店に来て下さる全てのお客様には、おいしく楽しんでいただきたい」そう願う本多さんは来店を予約制にして、その際に犬のいる・いないを確認しているそうです。状況にもよりますが、1グループで来店する犬が多い場合には、お店を貸し切りにすることもあるそうですよ。本多さんのお客様への気遣いと犬への愛情が感じられますね。

イラストも得意な本多さん。記念日祝いに提供された、愛犬を描いたデザートプレート

先日、私はオステリアパーチェで愛犬と記念日を祝いました。前菜の盛り合わせからはじまり、メインの肉・魚料理などのフルコースを満喫しました。その日のデザートには本多さんの計らいで、フリスビーをくわえた愛犬を描いたデザートプレートが提供され、感動もひとしおでした。

仕入れにもよりますが、メニューには載っていないその日だけの限定料理が提供されることもあり、それもまた楽しみの一つです。料理のおいしさと本多さんの計らいに、私は思わずワインがすすんでしまいました。

本多さんの料理人生と共に歩んできた名物のラザーニャ

今やオステリアパーチェの代表とも言えばラザーニャですが、なぜパスタでもなくピザでもなくラザーニャなの?という私の素朴な質問に本多シェフ、「某グルメサイトの口コミで高い評価をしてくれた方がいたので」と、まさかの返答が。

 

さらにお話を伺うと、理由はそれだけではありません。

 

本多さんは現在の地にご自分のお店を構えてから約16年が経ちますが、以前は一人のイタリア人シェフの下、下北沢と自由が丘のお店でイタリア料理の腕を磨いてきました。その中でも特にラザーニャは、本多さんが初めてイタリア料理店で働くことになった時から今までずっと、自分がメインで作り続けてきた思い入れのある1品だそうです。私も実際にいただきましたが、肉の旨味とこってりし過ぎない特製ベシャメルソース、トマトの程よい酸味とブラックペッパーがアクセントとなっていて、サクッと完食してしまいました。

 

本多さんは、学生時代にイタリア料理を初めて食べた時の感動をきっかけに、大学卒業後は都内の数多くのイタリア料理店を食べ歩いたそうです。

自らの足で動き五感を使ってココだ!と感じたお店で働き始め、イタリア料理を学び、ご自分のお店を持つに至る本多さんには「全力」という言葉がピッタリだと思いますが、本多さん自身も、イタリア料理ほど自分が全力で夢中になって続けることができたものはないと言います。

 

そんな本多さんにとって、飲食店経営という職の魅力の一つはライブ感やスピード感だそうです。そのわけを話してくれました。

「家で例えると、いくら見た目が良い家でも、しばらくそこに住んで長い年月をかけて生活をしてみなければ、実際の家の良し悪しは分からないことが多いと思います。しかし『食』の場合は、レストランに来店して満足をされたお客様が、その日の帰り際に次回の予約を入れて帰って下さるといったような形で、その場で結果が見えるわけです。それがとても楽しく、大きな励みにもなります」ということだそう。

 

また飲食店経営は、魔力でもあり魅力でもあると語る本多さん。オステリアパーチェのラザーニャの層には、まるで本多さんがこれまでのイタリア料理店で経験してきたさまざまな思いが積み重ねられているようです。機会があれば、ぜひ皆様もラザーニャを召し上がってみてください。

幼い時から犬と共に暮らしてきた本多さん。飲食業経営の傍ら、犬にかける時間と愛情も全力です(写真提供:本多伸行さん)

愛犬家の本多さんは現在、3頭の犬と共に暮らしています。特に本多さんにとっての“相棒”でもあるスタンダードプードルのワンダ君を迎えてからは、毎日複数回の犬の散歩やディスク(フリスビー)の練習をするために、早起きをして規則正しい生活を送るようになったそうです。また、犬を介して人とのつながりが増え、コミュニケーションの場が広がり、色々なことがうまく回りだしたとも言います。

 

一方で、特にコロナ渦では家時間が増え犬を飼う人が増えましたが、時間の経過に伴い、人が内から外へと動き始めたことで“犬の面倒ができない”といった人間の身勝手さから、犬が手放されている現状に、本多さんは心を痛めてもいます。

「自分のできることは、まずは最低限の当たり前のことながら、自分の犬に対して責任をもって飼うこと。そして犬と全力で楽しむということ」と言う本多さんには、地域の犬と飼い主のための大きな企画があるそうです。それは、あざみ野ガーデンズ前にあるガーデン&エクステリア店LEADとの新形態です。

イタリア料理店のシェフとして食育や地産地消を考えながら、犬と一緒に楽しめる食事の提供はもちろん、トリミングスペースや犬のグッズ販売。さらにはドッグランなど、そこには犬と飼い主さんのためにと、本多さんが残りの人生をかけるつもりで、自分のできることの最大限を全力で取り組む姿勢がありました。

 

「犬にも人権ならぬ犬権があればいいのに」

「犬も飼い主も子どもも高齢者も楽しめる場所で、地域に貢献できるように」

そう話す本多さん。

 

ドッグセラピー活動をしている私としても、犬には人の心を汲み取る能力や人の心身を癒やす力など、大きな可能性があると実感しています。犬も店内で過ごせる飲食店だけの枠にとどまらない、オステリアパーチェの第2章に乞うご期待です!

犬とお店への思いを全力で語る本多さんにパワーをいただきました

Information

OSTERIA PACE (オステリア パーチェ)

※荏田町のレストランは2024年5月6日に閉店し、その後は5月中を目途にLEADの一角に店舗移転予定

 

(2024.03時点)

住所:神奈川県横浜市青葉区荏田町1476-1 カーサビラ 3F

電話番号:050-5487-8450(電話での予約が必要)

営業時間:

【平日】 昼 12:00 ~ 14:00(L.O) 夜 18:00 ~ 21:00(L.O)

【土日祝】 昼 12:00 ~ 13:30(L.O) 夜 18:00 ~ 21:00(L.O)
定休日:水曜日及び第3火曜日

その他夏休み、年末年始休みあり

URL:https://osteriapace.gorp.jp

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この記事を書いた人
葛西麻理ライター
新宿生まれ。横浜市青葉区在住。愛犬とアニマルセラピー活動を行いながら、犬を通した地域コミュニティの活性化や犬と人とのよりよい共生のために、自分のできることを模索中。趣味は車中泊。道の駅巡りやご当地グルメを楽しむのが好き。
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