“ママたちを甘やかす場所” 親と子のつどいの広場『WITH』
初めての子育てで頼れる人が身近にいなかったら、どうしますか。私自身が育休中に出会った親と子のつどいの広場『WITH』は、24時間育児に追われるママをひと時の間甘やかしてくれる、第二の実家のような場所。今回、施設長の小松奈保子さんにお話を伺いました。(ライター養成講座2024修了レポート:椎橋美月)

「親と子のつどいの広場」とは、2002年に横浜市がはじめた就学前の親子が気軽に集い、打ち解けた雰囲気の中で交流する場のことで、横浜市内には70カ所(2023年6月時点)あり、青葉区内では6カ所(2023年12月時点)運営されています。

 

青葉区にある広場の一つ『WITH』は、東急田園都市線あざみ野駅からバスで15分ほどの住宅街に位置するマンションの一室にあります。

 

部屋に入ると、受付スペースの奥には0歳から5歳くらいまで遊べる大小さまざまなおもちゃ、絵本が並び、調乳授乳コーナーやおむつ替えスペースもあります。私が訪ねたのは平日の午後2時ごろ。この日は3〜4歳くらいの子が数名、幼稚園からの帰宅前に立ち寄り、お絵描きやごっこ遊びを楽しんでいました。仲良しのお友達が来た時には一目散に玄関にお迎えに行ったり、帰り際には、まだ遊びたいと泣き出す子も。最近のマイブームについてスタッフに熱弁している子もいて、すでに馴染みの場所となっている様子です。

 

そんな子どもたちの安全に気を配りながら、ママたちは「今日の夜ご飯何にする?」とか、「最近電動自転車を買ったの」などリラックスした表情でおしゃべりタイム。親も子も肩肘張らずにいる空気感が印象的でした。

マンションの一室にあるWITHの中の様子。絵本もたくさんあり、貸し出しもおこなっています

 

子どもたちの人気スポット。かくれんぼもできます

 

電子ピアノ、ボール、パズル、電車、人形……たくさん入っています

市の調査によると、子が生まれるまで赤ちゃんのお世話の経験がない人は約75%(※)。初めての育児での小さな困り事は枚挙にいとまがありません。

 

例えば、離乳食を冷凍するときのパックはどこに売ってる?役所での健診はどのくらい待つ?ネットであらゆる情報を入手できる時代でも、結局近所の人に聞いた方が早くて参考になる。子育てをしているとそんなシーンに出会うことが多くあります。

 

そうしたちょっとした疑問から愚痴まで、WITHにくることで解決してしまう、育児中パパママにとってとてもありがたい存在なのです。

 

※横浜市子ども・子育て支援事業計画の策定に向けた利用ニーズの把握のための調査 結果報告書(平成30年11月)

ママたちと雑談をする小松さん。自らの体験談も交えながら、さまざまな相談に乗ってくれます

“つどいの広場”の名の通り、みんなが集まり自由に遊ぶ以外にも、音楽を通じて表現力をのばす「リトミックタイム」や0歳児のみが集まるイベントなども毎月開催しています。最近では、平日仕事をしている方にも参加しやすいようにと、土日開催のイベントにも力を入れているそうです。

 

また、WITHでは広場内一時預かりのサービスも提供しています。生後6カ月以降、所定の登録をすることで1日最大4時間まで預けることができます。保育士の資格をもつスタッフが主導し2017年からスタートした取り組みで、顔見知りのスタッフに1対1でわが子を預かってもらえることの安心感から、毎週利用している人もいるほど好評だそうです。

周辺地域の子育てイベントや利用できる制度などの情報も気軽に手に入れることができます

 

スタッフの皆さんの似顔絵とプロフィール。会話が弾むきっかけになります

 

撮影日はちょうどひなまつり直前。おひなさまのなりきり仮装もできる撮影ブースができていました。この衣装はスタッフの手づくり!

現在施設長を務める小松さんたちがWITHを開所したのは、11年前のこと。近所のエアロビ教室を運営するメンバーで声をかけあって始まりました。保育業界での仕事経験はなかった小松さんですが、新卒から続けてきた仕事を息子さんの就学のタイミングで退職した後に、小学校などでPTAやボランティアとして活躍する母親たちの姿に一種の感銘を受けたこともきっかけとなり、施設長の打診を引き受けたそうです。横浜市への申請手続きから、利用条件の取り決めまで、スタッフみんなで一から相談しながらこれまで運営してきました。

 

WITHで時間を過ごすと不思議とホッとする、そのわけは9名のスタッフの皆さんの心遣い。寝てしまった赤ちゃんを膝の上で抱っこしながら隣のママと話している人を見つけたら、腕が楽になるようにクッションをさりげなく差し出したり、ママが参加するヨガのイベントで子どもがぐずり出したら、さっと抱っこをしてくれたり。

 

「WITHは子どもが遊ぶ場所ではありますが、保育施設ではなく、親同士のコミュニティづくりの場でもあり、心配事を話してすっきりしたりすることを大切にしています。不安いっぱいの子育てに挑戦するママたちを後押ししたい。『ママを甘やかす場所』になればと思っているんです。助けてもらったら、次に他の困っている人を助ける“恩送り”の社会になったらいいですよね」と、熱い思いを打ち明けてくれました。

 

小松さんは、学校地域コーディネーターとして、2017年からあざみ野第二小学校の5年生を対象にした「赤ちゃんふれあい授業」にも取り組んでいます。この授業では、受精卵の成長や出産の方法についての座学、7kgの妊婦ベストを着用する体験やベビーカーで段差のある道を通る体験、さらに子育て中のパパママと赤ちゃん数組をゲストに招いて実際に赤ちゃんと対面しながら子育ての様子について学ぶというものです。

 

先日実施した授業に、私と息子もゲスト参加してきました。5年生たちからは、出産後の大変なことは?赤ちゃんは何を食べているの?などの質問が飛び交いました。授業に参加した後には「赤ちゃんのお世話で夜も眠れないなんて大変……無理しないでくださいね」なんて、労りのコメントももらい、なんだかその言葉だけでうるっときてしまいました。

 

授業の最後には、「パパやママが赤ちゃんを連れて電車やバスに乗るだけでも大変なこと。街で赤ちゃん連れの親子に会ったら声を掛けてみて。困っている様子だったら、助けてあげてくださいね」という小松さんの言葉で閉会しました。子どもたちが実践してくれるのが楽しみです。

2023年12月に実施された赤ちゃんふれあい授業での一コマ(写真提供:あざみ野第二小学校地域学校協働本部)

現在施設長を務める小松さんは、「とにかく人が好き。ママたちと会話を重ねて素の人柄が見えて仲良くなれるとうれしいんです。そして初心者マークだったママがだんだんとこなれてきて、母として肝が据わった姿を見るのがやりがいを感じる瞬間」と顔をほころばせながら話します。

 

「子育てを通じて、親として、人として間違いなくステップアップできている。私たちがお手伝いできているのはほんの少しなんです」謙遜する言葉からも、誇りを持って日々向き合っていることが伝わってきます。

 

人と人をつなぎ、笑顔を生み出す小松さんの視線の先には、頼りあえる地域の未来が見えているように感じました。

パワフルで温かい施設長小松奈保子さん。絶賛人見知り期のわが子を、「今はこういう時期なのよね〜」と言いながら自ら抱っこして撮影に応じてくれました

Information

親と子のつどいの広場『WITH』

・URL:https://www.mamaspot.jp

・住所:横浜市青葉区黒須田33-4 パティオコート21 101号室

・電話:045-507-9784

・開所日時:月~金 9:30~15:00(お盆・年末年始など休館日あり)

※月に1~2回土日にも広場を開所しています

・料金

登録料:1家族あたり800円

利用料:

会員→100円/回、1カ月フリーパス700円

ビジター→300円/回

*一時預かり

登録料:300円 / 子ども一人につき(年度ごとに更新)

利用料:400円 / 1時間

※詳細はお問い合わせください

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この記事を書いた人
椎橋美月ライター
葉山町出身、横浜市青葉区在住。植物、旅行、キャンプ、山、北欧デザイン、食器、歴史、旬の食べものが好き。好奇心の向くままにフットワーク軽く生きたいと思っています。一児の母。
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