ここはサボテンのワンダーランド!旭区・カクタス広瀬
横浜市旭区に愛好家が足繁く通うサボテンと多肉植物の専門店があります。「カクタス広瀬」は、県内でも珍しいサボテンと多肉植物専門の花卉(かき)農家で、ポピュラーな品種から希少種まで育てる品種は数えきれないほど!心ゆくまでサボテン選びを楽しめるサボテンのワンダーランドを訪ねました。

よこはま動物園ズーラシアから車で10数分。横浜市旭区下川井町の畑が広がるのどかなエリアにカクタス広瀬はあります。横浜からサボテン文化を発信しようと、創業67年を迎えるカクタス広瀬は、約500坪の敷地に5棟のハウスでサボテンと多肉植物を育てています。異国のイメージのあるサボテンですが、旭区の地産地消マップにも掲載される農家さんで、まさに横浜育ちのサボテンに出会えるところなのです。

首都圏を超えてお客さんが訪れるというカクタス広瀬。下川井ICからすぐ

サボテンビギナーの私は、お店の中に入ると、どこまでも続いていくかのようなサボテンの数に圧倒されました。2階までぐるっと見て回ってから、お店の方におすすめを聞いてみようと、声をかけてみました。

選びきれないほどたくさんのサボテンに出会えます

お店のことを隅々までご存知で、サボテンのことも聞けばなんでも教えてくれる、その方。サボテンを見るまなざしは熱く専門的。取材をお願いしていた生産販売部長の山本亨さんとも真面目に語り合い、スタッフに違いないと私が思い込んでいたのは、実はお客さんだったのです。驚きのあまりしばらく口が開いたままの私でしたが、熱心にサボテンを育てる方たちのコミュニティがここにはあるのだと、取材早々に胸が熱くなったのでした。

強いトゲのサボテンもかっこいい!

親切なお客さまの対応に感激しながら、スタッフの山本さんにお話を聞きました。サボテンは、乾燥して日差しが強く、昼夜の寒暖差が激しい地域がおもな故郷です。「サボテンといってもたくさん種類があるので、その品種によって生育しやすい環境を整えるようにしています。酷暑が続く近年は、夏の蒸し暑い夜の管理には特に気を使っています」。光がさんさんと差し込むカクタス広瀬の温室。取材に訪れたのは真冬でしたが、温室内は厚着していると汗が出るほどの暖かさで、夜にはきゅっと冷え込む環境をつくっているのだそう。

多肉植物もたくさん

お店には数えきれないほどの品種のサボテン、多肉植物が並びます。まあるいものや細長いもの、手のひらサイズから、人の背丈ほどあるものまで。真冬にもかかわらずビビットな黄色や赤、ピンクのお花を咲かせているサボテンもあります。トゲも色や形状もまちまち。その不思議なフォルムと醸す雰囲気に、眺めているとだんだんと気持ちがゆるんでいくのでした。

アストロフィツム属も存在感を放っています

せっかくなので、私も家で育ててみたいと選んでみることにしました。ところがビギナーの私には、何から選んだらいいやらあっちを見たりこっちを見たりで、視点が定まりません。熟練のお二人に、選び方を聞いてみました。すると、別々のタイミングで聞いたにもかかわらず、返ってきた答えは同じ。「自分が育ててみたい!と思ったものを選んだらいいですよ」。

 

なるほど!初心者だからと臆したり、頭でっかちになることなく、自分の感性で選ぶがよい。そんなメッセージを受け取って、自分の心が動くものを探したのでした。

インテリアになじむ鉢も充実しています

ところで、成長ぶりを見に頻繁にここに訪れたり、たくさんの数を大切に育てている方もいるサボテンの魅力ってどういうところなんでしょう。

 

「成長が遅い分、トゲが1本出るだけでも成長が感じられて、うれしくなるんですよね。インテリア的な楽しみがありますが、育てる楽しみをぜひ体感していただきたいです。大事に丁寧に育てれば、自分より長く生きてくれるんですよ。死ぬまで育てることができる趣味になります」と山本さんは愛情込めて語ってくれました。

サボテンを育てやすい独自配合の土も販売

サボテンは、世界中に数千種類の品種があるといい、全ての品種の育て方を熟知することは不可能に近いのだそう。「対面でお客さんとコミュニケーションがとれるので、さまざまな品種の育て方を聞く機会が多いですね。それをまたお客さんに伝えたり。サボテン業界は横のつながりもあり、同業者でも聞けば何でも教えてくれます。みんなで育て方を共有し合おうという雰囲気で、居心地がいいところです」と山本さん。「一人でも多くの方にサボテンを好きになってほしい」という山本さんの思いは、一つ尋ねたら惜しむことなくいろんなことを教えてくれる親切さにあらわれていると感じました。

 

そんな話を聞きながら、生涯お付き合いするかもしれないと、自分の心にビビっとくるものを真剣に選びました。家に帰ってそのまま育てられるように、アドバイスを受けてサイズに合った鉢も選んで、植え替えもしてもらうことに。品種名を教わりメモをしようと思っていたところ、札にさらさらっと名前を書いてくださいました。

数ある中から私が選んだサボテンと多肉植物

トゲがつんつんとした「アザラシ」(写真左)とふわふわとした毛に覆われた「玉翁殿(ギョクオウデン)」(同右)はどちらも、マミラリア属で、夏型なのだそう。一方、もう1種類の「ルスキアインデュラータ」(同下)は冬型で、夏に休みたがる品種なのだと教えてもらいました。

 

「育てていて困ったことがあっても、品種名がわかっていたら自分でも調べられるし、アドバイスもしやすいですから。何かあったら、写真や実物を持ってきてもらえたら判断しやすいので、名前を覚えておくとよいですよ」と丁寧に教えてくださいました。

ハウスの中には立派に成長した大きなサボテンも

ここは、ずっと眺めていられるようなサボテンのワンダーランド。「トゲ1本の成長を喜ぶ」という言葉が胸に響き、サボテンを愛でる静かな喜びを日常に持ち帰ったのでした。サボテンを育ててみたい方がいらしたら、頼れる専門家が待っているカクタス広瀬を尋ねてみてください。暮らしの中で、新しい扉が開くかもしれません。

Information

<カクタス広瀬>

横浜市旭区下川井町1621-4

アクセス:相鉄線・三ツ境駅からバス10分、程ヶ谷カントリークラブ前下車

営業:月〜土 9時〜17時(臨時変更あり)

 

インスタグラム:@ryuhamasabo
HP:https://www.cactus-hirose.co.jp/

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この記事を書いた人
梶田亜由美ライター
2016年から森ノオト事務局に加わり、AppliQuéの立ち上げに携わる。産休、育休を経て復帰し、森ノオトやAppliQuéの広報、編集業務を担当。富山出身の元新聞記者。素朴な自然と本のある場所が好き。一男一女の母。
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