東急田園都市線・こどもの国線の「降りない駅」に降りてみた!〜梶が谷駅編〜
東急線の急行に乗っていると、いつの間にか通過している駅があることに……みなさまお気づきでしょうか。森ノオトライターが、そんな普段は降りない(!?)駅にスポットライトを当て、その駅とエリアの魅力をリレー形式でお届けします!今回はライターの佐藤沙織が、梶が谷駅の様子や実際に訪れたスポットをご紹介します。

平日の午前11時、東急田園都市線・梶が谷駅で私は下車しました。階段を上がり改札を抜けると、ここまで乗ってきた電車の線路が眼下に伸びています。梶が谷駅は線路をまたぐようにつくられた橋上駅で、一日約36,095人の方が利用しているそうです。

梶が谷駅前。出て左手には大きなバスターミナルがあり、「向ケ丘遊園駅南口行き」など、小田急線方面にもつながっています

初めて梶が谷駅に降りた私は、うろうろと駅前を歩いていると、歩道の脇に「大山街道ルート」という看板を発見。看板の矢印が指し示す、駅前のゆるやかな坂を登る道を選択して散策スタート!

大山街道とは、東京都の赤坂から神奈川県の丹沢・大山を結ぶ道で、五穀豊穣や商売繁盛を願う人々がたくさん行き交ったそうです

街路樹の爽やかな緑に癒やされながら歩いていると、T字路に差し掛かりました。向かいのビルをよく見ると、「木のおもちゃトナカイ」の看板を発見です!

ビルの1階に佇む木のおもちゃトナカイ。森ノオトでは2019年に取材させていただきました

シャッターを押せるカメラや、ビー玉を転がして遊べるスロープのおもちゃ、蛇口を回せるおままごとセット……どれも木のやさしい手触りです。並ぶおもちゃたちのかわいさに、友人のお子さんへのプレゼントも思わずチョイス。楽しく遊んでくれるかな。渡す楽しみも生まれました。

 

さて、幸先よく梶が谷散策をスタートさせた私は、トナカイを出て、国道246号線に向かう少し細い道を進みます。

閑静な住宅街といった雰囲気の道に、古本屋さん、お寿司やさん、中華そば屋さんなどの個人商店が点在し、歩きがいがあります。アパートの軒先にかかるすだれの奥を覗くと、おじいさま方が健康麻雀に打ち込んでいました

さあ、国道246号線に出ると雰囲気は一変。車が行き交い、大型商業施設もあって、途端に都市部の様相です。大きな交差点を渡る歩道橋の上でふと振り返ると、ん?畑???

白い歩道橋の奥、まっすぐ畝が伸びる畑

突然の畑に戸惑いながら、傍らを見ると「生産緑地地区」の看板がありました。「生産緑地地区」とは、市街において緑地としての機能に優れていたり、公園などの公共施設を置くに適していたりする農地等を計画的に保全し、良好な都市環境の形成を目的とした川崎市の都市計画の制度だそうです。

 

そろそろお腹も減ってきた……目指すは、定食と自家焙煎珈琲が楽しめる「シラハト商店」です!

12時頃に訪れたところ、すでに女性グループが2組ほどいて賑わっていました。写真の定食は大豆ミートの唐揚げ!

主菜が選べる定食で、私は車麩のフライ、一緒に歩いたライターの佐藤美加さんは大豆ミートの唐揚げをチョイス!写真は5分づき米で、白米と選ぶことができました。

 

小麦粉を水で練って作られる車麩。フライは初めて食べましたが、もちっ&サクッ!ああ、なんて楽しい食感!美加さんが頼んだ唐揚げもいただくと、タレをたっぷり吸った大豆ミートがじゅわりと口の中で弾けます。ラタトゥイユなどの小鉢も加勢して、パクパク完食できました。

お店は「シンプルに暮らす」をテーマにデザインされた賃貸住宅「白鳩ヴィラ」の1階で、シラハト商店もナチュラルな白と木目を基調とした落ち着ける空間です

話に花を咲かせていましたが、まだまだ行きたいところがある!

次に目指すは、標高43m地点にある「ターザンの木」です!ターザンの木とは……?私たちもクエスチョンマークを抱えながら、久本山に向かってアップダウンのある道を進んでいきます。

道の途中に野菜の自販機を発見!トマトに玉ネギ、インゲン、ホウレン草などが入っていました。美加さんが根付きのパクチーを160円でお買い上げ!先ほどの生産緑地の風景がよみがえります。脇にはJAセレサ川崎ののぼり旗が

低層マンションが並ぶ坂道を進みます。人々の住まいのすぐ脇には竹林などの緑が広がり、のどかな風景を横目に登りきることができました。すると、コンパクトな敷地に生えた、一際インパクトのある木が見えてきました!

ターザンの木は、スダジイの大木でした!脇の高台からは、小さくもスカイツリーを見られます

久本山ターザンの木緑地に生えるターザンの木。枝が横に長く伸び、雄大に巻いているところもあります。子どもたちがターザンごっこをして遊んだことから「ターザンの木」と名付けられたと言われているそうです。私たちが訪れたのは5月末でしたが、厳しい暑さの夏には涼やかな木陰を作り、道行く人たちを癒やしているのだろうか……太い幹を眺めながら思いをはせます。フェンスには里山ボランティア活動を知らせる張り紙がありました。

 

さあ、梶が谷散策も終盤です。高台を下りて心地よい疲れを感じ始めた私たちは、散策はじめに訪れた「木のおもちゃトナカイ」の店員さんに教えてもらった「喫茶メイジ」に入店です。

店内はたくさんの観葉植物やドライフラワーが飾られ、雰囲気のある家具が配されています。レモンスカッシュとアイスコーヒーを注文

店内をキョロキョロしていると、壁に「MEIJI HOME」の文字が。この喫茶店は、神奈川県横浜市・川崎市を中心に不動産を提供している明治ホームズが営んでいます。スイーツや軽食、「マスター特製ナポリタン」などのお食事もあり、テラス席ではワンちゃんと一緒に過ごすこともできるそうです!一席ひと席ゆったりとしていて、複数人で訪れてものんびりと過ごせそうな店内でした。

 

思いがけず出会えた洗練された喫茶店で、乾いた喉を潤しながら、梶が谷散策を振り返る私たち。梶が谷駅は、自然と人の暮らしが近く素朴な魅力がある一方で、個性豊かなお店がそこかしこでまちに光を灯すエリアなんだと私は感じました。

 

ぜひみなさんも、“降りない駅”に降りてみませんか。知っているようで知らなかった、地域の魅力と出会えるかもしれません。

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この記事を書いた人
佐藤沙織スタッフ/ライター
横浜市泉区生まれ、西区在住。そこに住む人の等身大の言葉でつくられた森ノオトの記事に魅せられてライターへ。身近な人の気持ちや様子をそっと書き残していけたら。読書と犬が好き。趣味のゴルフは毎回大乱闘。
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