
里山の自然に囲まれ鳥の声に癒やされる私のお気に入りの場所。日常を忘れるにはとても良く、ベンチに座ってボーっと景色を眺めてみたり、散歩したくなる。そんな新治町の魅力を、「森ノオト観光協会」スタッフの石﨑絵美がご案内します。
JR横浜線・十日市場駅から徒歩20分。そこには、にいはる里山センター。その奥は新治市民の森があります。この周辺は自然が多く、どこか懐かしく感じる風景が広がっています。横浜市緑区新治町は、市内北部にあり、丘陵と山林が残る人口約2500人ほどのまちです。
新治市民の森は2000年3月に開園。70haと横浜市北部で唯一まとまった森として、「最後の森」や「奇跡の森」とも呼ばれています。広大な森には5つのルートがあり、今回はその一つ向山尾根ルートから森へ入りました。このルートでは針葉樹、竹林、雑木林を見ることができます。

新治市民の森ガイドマップは横浜市のサイトからダウンロードできます
森の中は木々が広がり、さまざまな鳥の声が聞こえてきます。木道が続いたと思えば竹林が続く道、階段とさまざま。勾配がある上りもあれば下りもあるアップダウンも多いコースです。道もとても狭く、横は斜面ということもあり、服装、靴を整えて当日のコンディションが良い日に散歩したほうがよさそうです。

歩いていくと森の中の景色が変わっていきます。みはらし広場ではベンチもあり森の中でゆっくり休憩もできます
森を抜けて下りていくと谷戸田があります。谷戸田とは丘陵地が複雑に入り組んだ谷合いにある田んぼのこと。「新治谷戸田を守る会」という谷戸田の生態系を守る米作りボランティアの活動が行われています。取材に訪れたときはまだ田植え前でした。今年も参加者の手により、秋には黄金色の稲穂が実ることでしょう。季節によっていろんな景色、植物に会えるのも森散歩の楽しみといえます。

5月の谷戸田の風景。6月に改めて訪れた時には田植えが終わっていました
次に訪れたのは新治里山公園の中にある旧奥津邸。奥津家はこの地域に古くから住んでいたそうです。当時の建物を再現して作られた場所には見所がたくさん。主屋は1994年に伝統的な建て方で建てられました。広い主屋は見学ができ、休憩することもできます。入り口に立つ長屋門は季節によっては飾り付けがされています。釜屋では懐かしい台所の風景。私はおばあちゃんのおうちがこんな感じだったので懐かしく感じてしまいます。納屋には藁でつくられた馬のはるちゃん。目にも力を感じ本物みたいです。元々あった奥津家の建物は横浜市が譲り受け、整備され今は「にいはる里山交流センター」として一般公開されています。

左上から旧奥津邸外観。長屋門では3月雛人形とつるし雛、5月五月飾りが楽しめる。 左下の藁アートは緑区制50周年に制作されたもの。かまどの風景、いまではめずらしい台所の姿です
火曜日に新治里山公園を訪れるとハーブ園に10時から12時は入ることができます。この時間はボランティアで活動されているハーブ部会のみなさまがお手入れをされていました。生育状況によっては有料で摘み取り体験もできます。雨の日は中止なので晴れの日に訪ねてみてください。

ハーブ園には数多くのハーブ。春にはふきのとうの摘み取り体験も行われていたそうです
にいはる里山交流センターから新治小学校を越えると梅田川が流れています。この川はとてもきれいで、5月末から6月中旬には蛍を見ることができます。

今年もこの橋の上からたくさんの蛍が見えました。この時期は蛍の生育を守るため草を刈らずそのままにしてあります
家が近くの私はこの時期になると子どもを誘って見にいきます。子どもはいつもしない夜の散歩にドキドキ。暗がりの中お友達と会えたり、みつけた蛍を追いかけたり、田んぼから聞こえるカエルの声を聞くのがこの時期の風物詩です。
そしてこの川には小さな橋もあり、夏には足を浸けて遊ぶことができます。流れも早くなく浅瀬なので小さい子も安心して遊べます。小魚も泳いでいるので魚を捕まえることもできるかもしれません。

「一本橋メダカひろば」と呼ばれる場所。一本の柳の木の下に橋がありここから川に入ることができる
さて、観光にはお土産がつきもの。最後に変わった自販機をご紹介します。新治小学校の横の道、池ぶちルート入り口の手前に「きのこハウスひらもと」の「きのこの自販機」です。
「きのこハウスひらもと」は新治町できのこ栽培を行っているそう。

左がきのこの自販機。右はあるだけボックス。きのこ以外の品物はあるだけボックスに売っています。いつなにが入っているかお楽しみだそうです。野菜が置いてあるときもありました

アワビタケは一袋これだけの量が入っています。煮ても焼いてもよく、私はパスタに入れています
周辺の住人が気軽に購入できるように設置され、200円から販売されています。年間通して生椎茸が購入でき、12月から2月はなめこ、3月から5月がアワビダケ(ウスヒラタケ)、6月から9月はアラゲキクラゲ、10月から11月がアワビダケとさまざまなきのこを買うことができます。たくさんの方が買いに来るので売り切れることも。ぜひ新治町に訪れたときに寄ってみてください。
今回、新治の森周辺を歩いてみてたくさんのボランティアさんによって自然が守られていることに気づきました。新治の森はまったく手をかけていないイメージでしたが、その時代に生きる人が、手をかけて次の世代に託しているからこそ変わらない風景があるのだと感じることができました。四季の移り変わりもわかる素敵な場所です。忙しい毎日、美しい自然にふれに新治町を散歩しにきてください。いつもと違った横浜の景色に出会えると思います。

新治散策をした感想を、ぜひ森ノオトにお寄せください。
https://morinooto.jp/mori/contact/
新治里山公園・にいはる里山交流センター
住所:横浜市緑区新治町887
休園日:第4月曜日(祝日の場合はその翌日)年末年始(12/29~1/3)
開園時間:9:00~17:00(入園は16:30まで)
※平日の月曜は養生日として旧奥津邸エリアの入場を制限しています。
電話番号:045-931-4947
新治市民の森
新治市民の森では土日、祝日のみ利用できる駐車場有り。
利用時間:9:00~17:00
平日は駐車場がありません。公共交通機関をご利用ください。
一本橋めだか広場
住所:横浜市緑区三保町1458-14
きのこハウスひらもと
住所:横浜市緑区新治町1239

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