川辺の自然とふれあおう! 都筑区の早渕川ファンクラブの魅力
「川のごみはいつか海にたどりつく」「身近な自然とふれ合いたい」そんな思いを持った地域の人たちが集い、川辺の美化活動を行なっているのが都筑区の早渕川ファンクラブです。会のSNSをのぞいてみると、何やらとっても楽しそう。活動の歴史はなんと30年以上!自然を大切に思う人が集い、居心地いい時間を作り出しています。

鶴見川の支流である早渕川は、青葉区の美しが丘西を源流にあざみ野の駅近くを通って都筑区を流れ、港北区で鶴見川に合流する全長13.7キロの小さな川です。私の住まいの最寄り駅である横浜市営地下鉄・センター南駅のすぐ近くにある「早渕川親水広場」は桜並木と芝生広場があって、街の中の自然にふれられるスペースとして地元では親しまれています。

 

この早渕川親水広場で、ごみ拾いや草刈りといったクリーンアップの活動をボランティアで行っているのが早渕川ファンクラブです。

活動は月2回、第2・第4日曜日の朝10時から。ゆるりと集まって1時間ほど美化活動した後はみんなでランチをしたり、地域イベントの時には川遊びを主催することもあります。

 

私が初めて参加したのは、昨秋でした。この時はすぐ近くから歩いて来た人もいれば、二駅先の仲町台駅周辺からの人、川崎市や戸塚区からの参加の人など11人が集まりました。80代から19歳まで幅広い年代の老若男女です。この日参加している方々は、いつも参加している“常連”の皆さんのよう。手慣れた手つきでごみ袋とトングや草刈機を持ち出し、それぞれ広場の周囲や川縁に散ってごみや放置されたものを拾っていきます。

 

「ごみ袋は区や県から。この資材用の倉庫は神奈川県の治水事務所が貸してくれているものです」と教えてくれるのは、クラブ代表の坂口良平さんです。

ごみを拾いながら、自然にふれられるのが何よりの魅力。右写真が代表の坂口さん

 

「やりたい人がやれるときに」がクラブのスタイル

 

集められたごみ。「ごみだってこの地球のかけらですから、ごみ拾いと言わずに“星屑ひろい”と言っているんですよ」と、坂口さん。資源を大切にする気持ちを優しく表現しています

「レオさん」のニックネームで親しまれている坂口さんは、とっても気さくで、親しみやすいお人柄。プログラマーのお仕事のかたわら、海辺のクリーンアップ活動などに参加していましたが、自宅の近くの早渕川ファンクラブを知って参加するうち、時代が令和に入った6年前、会の代表を引き継ぎました。同時期に活動に加わったボランティア仲間のデザイナー・木村紘大さんも副代表となり、SNSやHPで自然の豊かさ、参加する人たちの楽しそうな様子をこまめに発信しています。現在、同クラブのフェイスブックページの登録者数は200人超もいるそうです。

 

会のメンバーは限定されておらず、来れる人が事前の予約や申し込みなしに集まるのだそう。この時の私のように、初めての人もウェルカム!参加費も不要、会の年会費もゼロと聞き、参加のハードルの低さに驚きました。

 

時計の針が11時頃になると、「ピー」というホイッスルの音。これは活動終了の合図で、鳴らすのは、この会を創設した初代代表の福富洋一郎さんです。81歳の福富さんは、40年程前から都筑区(当時は港北区・緑区)に暮らす港北ニュータウン入居の初期世代で、今でも顧問として精力的に活動に参加しています。

毎回活動の後には記念写真をパシャリ。こちらは昨秋参加させてもらったときのワンカット。写真一番右が坂口良平さん、一番左が木村紘大さん。木村さんのお隣、オレンジ色の帽子をかぶっているのが福富さんです。早渕川で見られる水鳥のカワセミがモチーフとなっている会のロゴマークは、グラフィックデザイナーの木村さんによるデザインです

福富さんが1994年に発起した初期の団体名は、「早渕川をかなでる会」だったそうです。行政の補助金を得てスタートして以来、川辺での美化活動に加え自然観察や演奏会なども行い、地元の小学校などにも働きかけ川を起点にした地域活性化活動に。多い時には、一回の活動で100人を超える参加数になったこともあったそうです。

 

しかしながら次第に活動する人が減ってしまい、平成の末には参加者が2名にまで減少。そんな時に、ネットを検索して参加しはじめたのが、坂口さんと木村さんだったのだそうです。

 

「ごみ拾いって、拾った後が大変なんですよ」

と語る木村さん。木村さんも坂口さんも、街や海辺に赴いて清掃活動のボランティアを行うこともあるそうですが、拾った後のごみの運搬や廃棄方法も自主的に行わねばならないことが多く、そこにお金や人手がかかるのだといいます。

 

その点、早渕川ファンクラブでは、ある程度収集物が溜まったあとは、電話をすると横浜市が回収してくれることになっています。その仕組みを整えたのが、初代代表の福富さんでした。

 

「鶴見川の支流である早渕川は、神奈川県の管轄の川なので、フェンスのこちらは神奈川県、向こう側は横浜市と管轄が異なっていましたが、そこに横糸を通すのがわれわれボランティア団体なわけですよ」

と、和やかに笑う福富さんは、港北ニュータウンができた頃から、行政と協働でまちづくりの取り組みをさまざまな角度から実践してきました。今も同会では、冒頭でも紹介した通り、参加費や会費もなし、ビニール袋やトングなども企業や行政からの提供でまかなうことができています。

創設者の福富さん(写真左)と、メンバーが集まっている様子を優しい笑顔でうれしそうに見守る坂口さん(写真右)

今年の夏休みのある活動日、女子中学生2名が訪れました。「夏休みにボランティア活動をすることが宿題に出たので」と、初めての参加とのこと。活動を終えた後、感想を聞いてみたら「思ったよりもごみが少なかった。いつもこういう活動をしてくださっている積み重ねで、きれいなんだなということがわかりました」とはにかみながら答えてくれました。

 

こんなふうに、突然の参加も大歓迎の早渕川ファンクラブ。仕事でもなく、学校でもない、年代もバラバラ。だけど、同じように街を大切に思う人たちが集う貴重な場。いつの間にか、私もすっかり早渕川ファンクラブのファンになってしまっていました。

春の早渕川親水広場は、桜の名所として地元で知られており、多くの人で賑わいます

 

早渕川親水広場も会場として毎年開催されるお祭り「子育て地蔵まつり」では、早渕川ファンクラブが川遊びプログラムを主催。すぐに満員になる人気ぶりです(写真提供:早渕川ファンクラブ)

Information

・早渕川ファンクラブ フェイスブックページ

https://www.facebook.com/groups/hayabuchi.river

 

活動日は月に2回、第二、第四日曜日の10時から12時まで。台風などの荒天時には中止の場合もあるので、フェイスブックの告知をチェックしてからご参加ください。

 

[イベント情報]2025年9月13日 早渕川ファンクラブによる子どもの川遊び

センター南で開催される「子育て地蔵まつり2025」の中で、同クラブが川遊びを開催!川辺に入り、魚や小動物を捕まえ、水槽に入れて観察し、その後川へ戻します。

・受付日時: 2025年9月13日(土)(雨天中止)

1回目 11時30分〜 2回目 14時〜 (先着順。受付は開始30分前より)
・受付場所:早渕川親水広場

・受付条件:小学生以上・保護者同伴、服装がOK、履物がOK、受付で貸し出すライフベストを着ること、生き物に優しくすること
服装:濡れても汚れても構わない服装
履物:かかとが脱げないサンダル(裸足は禁止です)

持物:熱中症対策のため、飲み物と帽子(バケツや網は貸し出します)

詳細はインスタグラムでご確認ください。

https://www.instagram.com/minnano.bazar/

 

※見守りがいないときの川遊びは危険です。川遊びは、イベントの時のみでお願いします

Avatar photo
この記事を書いた人
松園智美スタッフ/ライター
まちづくりの専門誌、自然派住宅雑誌の編集部を経てフリーの編集&ライター業に。新潟の米どころ長岡市出身、今は港北ニュータウンの団地に暮らす3児の母。子らの育つこのエリアのことをもっと知って楽しみたいです。レイアウトやイラストのお仕事も好き。
未来をはぐくむ人の
生活マガジン
「森ノオト」

月額500円の寄付で、
あなたのローカルライフが豊かになる

森のなかま募集中!

寄付についてもっと知る

カテゴリー
タグ

森ノオトのつくり方

森ノオトは寄付で運営する
メディアを目指しています。
発信を続けていくために、
応援よろしくお願いします。

もっと詳しく