
文=フォスタリング機関さくらみらい・佐々木 あさ美 /写真=フォスタリング機関さくらみらい
はじめまして、フォスタリング機関さくらみらいです
みなさま、はじめまして。
特定非営利活動法人さくらみらい横浜 フォスタリング機関さくらみらいです。
「フォスタリング」、あまり聞き慣れないかもしれませんが、「愛育する、養育する」という意味の英語「foster」に由来する言葉です。
フォスタリング機関というのは、さまざまな理由により、家庭で生活できないこどもたちを里親のもとで養育してもらうため、里親のリクルート・研修・面談等を実施し、里親になっていただくお手伝いをすると共に、里親になられた後も研修・養育相談を行うなど、一貫して里親の方々を支援する専門機関です。さくらみらいは、2023年9月より横浜市の委託を受けて、活動しています。
「さくらみらい」という名前は、里親とこどもとの、こどもと未来へのかけ橋になれますように、という祈りを込めて、桜木町駅から横浜市役所にかかる歩道橋「さくらみらい橋」にちなんで名づけられました。

桜木町駅から横浜市役所にかかる歩道橋「さくらみらい橋」
この街、横浜で暮らすこどもたちのために、こどもたちを取り巻く現状をお伝えし、里親制度を知っていただくことや、さらにその先の一歩を踏み出すきっかけになれるよう、「里親家庭という家族のカタチ」について、連載をお届けします。
今月は、さくらみらいの紹介、この仕事に携わる職員について、横浜のこどもたちの中の社会的養護の現状、連載の今後のテーマでお話いたします。

里親制度とは
里親制度とは、児童福祉法に基づいた「社会的養護」の一つの形です。
保護者の病気や経済的事情など、さまざまな理由から実の家族と生活することのできないこどもたちを、保護者に代わって自分の家庭に迎え入れて養育する、「こどものための制度」です。
里親制度は私的な養育ではなく、施設入所などと同じように公的責任に基づく養育(社会的養護)を家庭で実施するものとされています。
養育をお願いするこどもの年齢は0歳から原則18歳まで、養育をお願いする期間は数カ月から数年間までさまざまです。
さくらみらい職員紹介
現在、さくらみらいでは9名の職員が在籍しています。
在籍している職員は、実際にファミリーホームを運営している理事を筆頭に、こどもに携わる職歴を持ったメンバーが業務に携わっています。
長年に渡り児童相談所でさまざまなケースを担当していた方、学校教員、児童養護施設職員、横浜市子育てサポートシステム提供会員経験がある方、介護や放課後児童支援員など、こどもたちを取り巻く温かく熱い思いを持ったチームです。
今回の記事は、その中から、昨年度より里親リクルーターを務めている佐々木が担当します。
私自身は、大学時代に児童養護施設でのボランティア活動に4年間、サークル仲間たちと励んでいました。そこで出会ったこどもたちの言葉や表情から感じたことや経験が、現在の仕事の原動力となっています。
就職は、児童福祉以外の視野も広げたい思いから、介護の仕事に就いた後、こどもと高齢者をつなぐ世代間交流の取り組みを、放課後児童支援員として学童保育にも携わりました。
そうして十数年勤めた頃、改めて原点に立ち戻り、この街で、こどもたちが健やかに暮らすためにできることを考えた時に出会ったのが、里親リクルーターという仕事でした。
里親リクルーターというのは、簡単に言うと「里親制度をより多くの人に知ってもらうための仕事」です。昨年度は、YouTube動画作成やSNSなどウェブ上での発信も行ってきました。
また、実際に横浜市内で活動されている子育て支援関係団体の方にもお会いし、この街に暮らすこどもたちのためにできることなどについてお話させていただきました。
横浜市内では、地域に根差して子育て支援に携わっている方が多く、みなさん温かな思いを持って活動をされています。そうした方々とつながり、里親制度啓発イベントでは「よこはまポートファミリー応援マルシェ」に出店協力していただいたり、マリンFMのラジオ出演、横浜男女共同参画センターのブックフェア展示などを行いました。

2025年10月5日に開催された里親制度啓発トークイベントの様子

サブイベントのよこはまポートファミリー応援マルシェの様子
横浜のこどもたちの社会的養護の現状
みなさんはご存知でしょうか?横浜市には、0~14歳のこどもが約40万人いますが、約700名のこどもたちがさまざまな事情で実の家族から離れ、施設や里親宅で生活しています。
昨今、みなさんも痛ましい虐待などのニュースを耳にしたことがあるかと思いますが、その背景には、保護者の経済面や心身の健康面などの不安があるといわれています。
そうしたこどもたちの生活の場であるのが、里親、ファミリーホーム、児童養護施設、乳児院、児童心理治療施設など、社会的養護の場です。
児童相談所では、その中から、こどもにとって最善の利益が確保できる場所がどこかを検討し、行先を決定しています。
―そこで生活しているこどもたちは、どのような思いを感じているのでしょうか。
―そうしたこどもたちに関わる大人たちは、どのような思いで接しているのでしょうか。
私が学生時代に行っていたボランティア先の児童養護施設のこどもたちも、「今度はいつ来るの?」とボランティア学生にもよく尋ねてきていました。
その日だけ遊んでくれる人なのか、これからも遊んでくれるのか、その人がこれからも続けて来てくれるのか、こどもたちもわかりません。
なので、最初のうちから心を開いてくれるわけではなく、少し強めの言葉を投げかけてみたり、ちょっと言葉を交わせたなと思ったら、また距離を感じたり……。
一人の子だけでなく、幼児から高校生までの子たちが、それぞれの関わり方を示していました。そこで関わる職員の方々も、そのような反応に対する私たちの関わり方の悩みに向き合ってくださり、学生同士でも「関わり続けていこうね」と先輩、後輩で声を掛け合いながら、児童養護施設のこどもたちと接していきました。
そうしていくうちに、名前を呼んでくれ、自然に言葉を交わす機会が増えていき、涙や笑顔、たくさんの表情を見せてくれました。
私は月2回、4年間の関わりの中でしたが、こどもにとって「自分を見ていてほしい」という思いを肌で感じ、その時に「里親制度」に強い関心を持ちました。

私たちが育ってきた過程でも、周りの大人との関わりの中で今日まで来たように、こどもが成長する上で最も大切なのは「特定の大人との愛着関係を育む」ことといわれています。
こどもは安心安全な土台があって初めて、外の世界へ興味をもち、一歩ずつ踏み出し、成長していきます。
里親の温かい家庭の中に迎え入れ、継続性のある環境において、こどもらしい安全と安心が守られる生活を送れることが、ますます必要となっています。
その中で、横浜市の認定登録里親数は、288世帯(令和6年度末時点)です。
施設や里親などへ委託している社会的養護が必要な児童のうち、里親とファミリーホームに委託している児童数の割合を指す「里親委託率」というものがあり、それが家庭養護の普及率を見る全国的な指標の一つです。横浜市では、令和6年度末時点では里親委託率が24.8%となっており、全国平均の26.3%より下回る状況です。
ですが、この数字は年々増えてきています。
それは、家庭的な環境を必要とするこどもたちのために、「里親」となって活動して下さる方が増えてきているからです。
連載の今後について
そうした里親さんを応援する機関が、私たちフォスタリング機関「さくらみらい」です。
次回以降は、実際に里親になる方が、どのような思いをきっかけに里親を希望し、マッチングが進んでいくのか?
また、10月の里親月間では「里親になってから」どのような日常を過ごし、どのような思いを抱かれているのか、について、さくらみらいが伴走支援する中で生まれたエピソードも交えながらお伝えしたいと思います。
その他にも、11月8日(日)に開催予定の横浜市役所アトリウムでの「里親制度啓発イベント」の紹介や当日レポートの記事も予定しております。
ぜひ、連載を通して、里親家庭で暮らす家族、こどもたちに思いを巡らせていただけたらうれしく思います。
▶フォスタリング機関さくらみらいHP
https://sakuramirai-satooya-yokohama.org/
▶YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/watch?v=oSSEYY07Rb8
▶公式ライン
https://www.instagram.com/fosteringsakuramirai/
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