7月11日のキックオフイベント当日、会場のたまプラーザの3丁目カフェに足を踏み入れました。そこには、お揃いの「GUMBO」Tシャツを身にまとった今回のプロジェクト実行委員のスタッフたちの弾ける笑顔! 和気あいあいとした姿がありました。
イベント開始前、スタッフ全員が集結し今回のGUMBOポーズを決め一枚パシャリ!
今まさに動き始めたこの企画を盛り上げていくぞという士気が、この日の暑さに負けないくらいの頼もしいパワーとなって伝わってきました。
ん? 各国のダンスや音楽? それって一体何なに?
そもそも「GUMBO」ってどういう意味? まだまだ謎だらけです。
気になりますよね!? もっと紐解いていきましょう。
今回が第3回目となるたまプラーザのまちなかパフォーマンスプロジェクト(以下、たまプロ)。
テーマが決まるまでの経緯を、たまプロの主宰者である林月子さんにお尋ねしました。
第1回目のパフォーマンス「フラッシュモブ」(2013年11月)が終わった直後、「次は何をやるの?」「次はこんなことがしたい!」という参加者から寄せられた多数の声を受け、その声をたくさんの人でシェアしたいと考えた林さんは、2014年3月にフラッシュモブの参加者やまちの住人が多数集っての「わ〜く☆ワークショップ」を行いました。
そこで、たまプラーザのまちでやってみたいことをあげてもらったところ、たくさん出てきたユニークな提案のなかの一つに、「このまちの人1000人でフォークダンスがやりたい」という意見が出たのでした。その提案は林さんの心を鷲掴みに!
「フラッシュモブの時に、もう少しダンスが簡単だったら出たかった、私、膝が痛いから、という声をご高齢の方から聴いていて。フォークダンスならわざわざ覚えなくても昔からなじみがあるとか、とっつきやすいものかもしれないと思ってね。フォークダンスってみんな何だか懐かしい気持ちになったりするでしょ。それに、色んな国のフォークダンスをやったら、色んな価値観や文化の違いを楽しむ、違うものが一緒になったとしても混ざり合うからこそ、こんな素敵な面白いものが生まれるよね! ……そんなものができたらいいな」
全てが混ざり合って色んな垣根が取っ払われて、“新しい文化”が生まれる……。
林さんのお話を聴いていて心の中に沸いたこんな気持ち。街の人々を楽しみの渦に巻き込んでくれる壮大な構想の裏には、彼女の、熱く真剣な思いが盛り込まれていることに心揺さぶられた瞬間でした。
そして、この「GUMBO」という素敵なネーミング!
それは色んなものが“ごちゃまぜ”になるという意味にぴったりの、アメリカのニューオーリンンズ地方に伝わる“ごった煮(GUMBO)”郷土料理の名前から拝借したものだそう。
パフォーマンス当日は、色んな国の文化が混じり合った、その日だけ特別な村「GUMBO村」が美しが丘公園に出現するのだそうですよ!
林さんの「GUMBO」に込められたピュアで真っ直ぐな思いは、このパフォーマンスを共に仕掛けていく仲間にも浸透し、「GUMBO」が作り上げられていく過程の至る所に散りばめられていきます。
第2回パフォーマンス「育ちあい2014夏」での演出・構成・指導として見事に大役を果たしたスガマサミさんは、今回の「GUMBO」でもまた、たまプラーザオリジナルダンスの振付として仕掛ける側のひとりです。
スガさんは、ダンサーである奥様が第1回フラッシュモブに参加したことがきっかけで、昨夏のパフォーマンスへの協力依頼を受けました。
一般の参加者がまちなかでどこまでクオリティーを高めてショーを完成させ、それを映像という形に残していけるのか、そして各々が満足して楽しむことができるのか、プロの役者として歩んでこられたスガさんにとってある種の挑戦だったそうです。
その結果、今までたまプラーザに住んでいてもつながることのなかった、地域やまちの人との接点が生まれ、自分もやっとたまプラーザの地域住民になれた気がした、と語ってくれました。
「今回のたまプラーザオリジナルダンスでは、楽器があった前回とは違い、人そのものの動きで面白くしてお客さんを魅了していきたい。型にはまらない自由なダンスをめざしています」
「たまプラーザはまだ新しいまち。今まさに文化が出来てきているところだと思うので、このまちなかパフォーマンスが新しい文化を作っていく大きい動きのきっかけみたいなものになっていってくれればと思う」
言葉を吟味しながら、まちなかパフォーマンスに込める期待を口にしてくれたスガさん。
当日は、観に来たお客さんに、次回は私も参加したいと思ってもらえるようなダンスパフォーマンスを披露してくれるに違いないと感じました。
今回、たまプラーザオリジナルダンスを含め、用意されているダンスのラインナップは、東欧の民族舞踊、パラグアイのボトルダンス、アメリカのカントリーラインダンス。
そこに無国籍風ブラスバンドの型にはまらない演奏が加わり、その日1日だけ公園に出現する「GUMBO村」の独特な空気感が創り出されていく。私の心の中で、その光景のイメージは、無限大に頭の中に広がっていきます。
普段はまちの人たちの憩いの場である“公園(日常)”を、どのように“非日常的な場所”に変えて「GUMBO村」を創り出していけばよいか、その仕掛けと真剣に向き合っているのは、今回総合演出を務める信田眞宏さん。PVプロボノのメンバーとして、昨年夏の映像制作に関わったことがきっかけで、今回のパフォーマンスでは全体を引っ張っていく役を担っているプロの映像ディレクターです。
これまでにも様々なシーンを映像化して、見る者にその感動を伝えてきた信田さん、GUMBOというパフォーマンスを、参加者やお客さんに思い切り楽しんでもらえるための舞台を整えるべく、ここではまだ明かされない大小様々な工夫を色々と考えているのだそう。
日常に当たり前に存在する場所で普段とは違う体験ができることで、その場所自体が忘れることのできない大切な思い出になります。非日常的な状況だからこそ意識が高まり今まで見過ごしてきたものに気づくことがある。それがやがて日々の生活をより豊かにしていくエッセンスになっていくように思います。
信田さんの繊細な手腕によって創り出される壮大な非日常的世界観は、たまプラーザのまちにこれまでとは異なった風を巻き起こしてくれそうな予感! 本当に楽しみです。
「人に出会うことは人生にとって大事なことだと思う。こういう場って、ある種の同じような価値観を持った人たちが磁石のように引き寄せられて出会えている気がするんだよね。その中に自分も専門性を使って関われることがとても嬉しい」と、穏やかな口調で幸せそうに語る信田さん。
プロもアマもその領域を超えて、人としてつながり、友情を育み、たまプラーザというまちに愛着をもっていく。そんな無限の可能性があることもまた、このまちなかパフォーマンスの魅力だと感じました。
第3回目にしてさらに進化しているまちなかパフォーマンスプロジェクト。
今回から制作部や衣装部など他にも色々な部門が立ち上がり、参加者各々の得意なこと、「好き」を生かせる場が誕生しました。そこには大人だけでなく子どもたちも積極的に参加しており、パフォーマンスの練習以外の場面でもすでにあちこちで育ちあいが生まれています。
さらに今回初の試みで、PVプロボノが提供する撮影ワークショップも企画されています。撮影・編集技術を学んだ参加者が身近な機材を使って練習風景を撮影(親しい人にしか見せない素敵な表情が撮れることも!)、その撮影した映像とプロが撮影した映像をあわせて短編ドキュメンタリー映画を作るなど、本当に創意工夫満載!
今回の取材を通して印象的だった言葉。それは偶然にも仕掛け側の皆さんに共通していました。
「パフォーマンスをすること、見せることが目的じゃない。練習が始まったときからその成果を披露する本番まで、何かを作り上げていくプロセスこそ私たちが大切にしていること。だからこそ、参加する方にはみんな一緒になって思い切り楽しんでほしい!」
まさに「GUMBO」のように価値観も背景も異なった人と人が混じり合うことで、自分の中の何かが変化し、新たな自分に出会える……。そんな育ちあいは、“楽しむ”ことから始まるのですね。
たまプラーザの熱い夏は、11月28日のパフォーマンス本番に向けてどんどんとヒートアップしていくことでしょう。
私も息子と一緒に参加予定、この育ちあいの渦を巻き起こしていきたいと思っています!
このまちなかパフォーマンスに興味の湧いた方、ぜひ一度、たまプロのホームページを覗いてみてくださいね!
第3回まちなかパフォーマンス「GUMBO/ガンボ」
開催日時:2015年11月28日(土)午後2時から(予定)※雨天の場合は29日(日)
約45分のショーを2回公演
開催場所:美しが丘公園
たまプラー座だよ!全員集合!まちなかパフォーマンスプロジェクト
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