【 アジサイの歴史 】
万葉集にも登場する日本原産の花木のアジサイは、古くは奈良時代には栽培されていたと考えられているほど歴史があります。
名前の由来はさまざまな説がありますが、ポピュラーなものとしては、集まる+真藍(さあい)で「藍色が集まったもの」を意味する「あづさい」が訛ったものと言われています。
江戸時代末期には、原種のガクアジサイ(※下記画像参照)がヨーロッパに渡り、鉢花用として改良されました。
その後、逆輸入されたものを西洋アジサイ、またはハイドランジアと呼ばれ、多くの園芸種が誕生しています。
ハイドランジアは学名のhydrangeaから呼ばれるようになったものです。語源は、hydro:水、angeion:容器に由来するとのこと。
そもそも「紫陽花」という漢字は 、中唐時代の詩人・白居易(ハクキョイ)の漢詩集の中にあり、別の紫色の花につけられていた名前だったようです。その漢詩の中に表現された紫の花を、平安時代の日本の学者がアジサイと解釈して訳し、それから間違えて広まってしまったとの説があります。
【 種類 】
現在流通しているアジサイはおおまかに分類すると下記の種類に分けられます。
○ガクアジサイ…アジサイの基本種で、装飾花が額縁のように周りに咲くことから名付けられた
○ホンアジサイ/ハンドランジア/西洋アジサイ…花房がこんもりと手まりのように咲く
○カシワバアジサイ…北アメリカ原産。和名は葉の形がカシワに似ているところから名付けられた。ピラミッド状の大きな円錐花序
○アナベル(アメリカアジサイ)…ハイドランジアより一つひとつの花が小さい。手まり型に咲き、花房が30cmほどにもなる
○ヤマアジサイ…ガクアジサイより全体的に小さく、繊細な雰囲気をもつ
○ノリウツギ…アジサイの仲間で平野部や産地に自生する。開花期はアジサイより遅く、花は円錐花序に咲く
一般的に花といわれる部分は、おしべやめしべが退化した装飾花で、花弁に見えるのは萼(がく)の部分です。ツブツブとしたものが本来の花で、小さな花が咲きます。
【 色の変わるメカニズム 】
別名「七変化」とも言われるアジサイ。
私にも経験があるのですが、去年と色が違ったり、同じ品種なのに色が微妙に違う…という場合があります。
そのメカニズムは、土のph値に関係し、花のガクに含まれたアントシアニン系(本来の色は赤系)の色素が土の中のアルミニウムに反応することで花色が変化すると考えられています。
アルミニウムは酸性土壌でよく溶けるため、根から吸収されたアルミニウムと花の色素が結合して青系になり、土がアルカリ土壌だとアルミニウムが吸収されないため、ピンク~赤系になると考えられています。
中には土の酸性度に関係なく、固有の色で咲くものもありますが、品種や遺伝、日光のあたり具合などの他の要因も複雑に影響します。白色のものは色素を持たないため、土を選びません。
日本は雨が多く土が酸性に傾きがちなので、地植えのアジサイに青系が多いのはそのためです。
鉢植えにして育てた方が、色の調節がしやすくなります。
園芸店には、花色を変えるための肥料も売られていますよ!
【 含まれる毒 】
アジサイは、昔から家畜の中毒例が報告されています。しかし、現在まで毒性成分は未だに明らかではありません。
中毒症状としては、嘔吐/めまい/顔面紅潮があるので、料理の飾りなどに添えられている時は絶対に食べないよう、注意が必要です!
【 花言葉 】
花の色が「七変化」に変わっていくところから、「移り気」「浮気」「変節」「無情」「冷淡」「高慢」とありますが、最近だと、小さな花がぎゅっと集まる姿から「家族団らん」「家族の結びつき」という花言葉も誕生し、広まっているようです。
【 水あげ 】
アジサイの水あげは少しだけコツがあります。
ただ、一度水があがってしまえば、ずっと咲き続けてくれます!
庭のものを切るときは、可能なら木質化した部分から切る方がベターです。
ここからの3パターンは、チャレンジできる方は挑戦してみてください。
(1) ~(4) を終えたあと、どれかひとつの方法で大丈夫です。
花屋ではだいたい3通りのどれかの方法で処理しているはずです!
ミョウバンで処理するもの以外の、湯あげと、炭化させる方法で水揚げしたものは、2~3時間して水があがったら、その変色した部分を切り落とし、最初の(茎を斜めに切る→中ワタをとり、周囲の皮をはぐ)処理を一通り行ってください。
【 生ける 】
すらっと長い花器、小さめの花器なら1~3本と少なめ。
大きな花器だったら入れられるだけ、ざくざくとこんもりと生けても素敵です。
こんもりと生ける時は、花瓶のふちが見えない方がバランス良くみえて花のボリュームを感じさせてくれます。
水はチューリップの時とは異なり、花器に半分以上、できるだけ多く入れ、葉が水に入らないようにしてください。
【 アジサイの名所 】
アジサイは、梅雨頃から次々に満開になり、秋まで色を微妙に変えながら咲き続けてくれます。
最後に、しっとりした空気を感じながらアジサイを観賞できる川崎市の名所をご紹介します!
神奈川県川崎市多摩区長尾3-9-3
境内には約30種近く、約1,000株のアジサイが植えられており、毎年6月の第3日曜日にはあじさいまつりが開催され、多くの観光客で賑わいます。
●浄慶寺
神奈川県川崎市麻生区上麻生6-34-1
実は知る人ぞ知る、アジサイの名所。寺院内には約1,000株のアジサイが植えられています。
いろいろな場所に鎮座しているかわいらしい石仏も要チェックです。
神奈川県川崎市多摩区枡形6、7丁目
広大な園内には約8,900株のアジサイが植えられており、見頃となる6月には満開に花を咲かせます。
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