子どもよりも大人が夢中に!?しらとり台公園プレイパークで遊ぼう!
東急田園都市線青葉台駅から歩いて10分ほど、国道246号線が横を通るまちなかの公園で、冒険遊び場・プレイパークが毎月2回開催されています。今年で開設11年を迎える「しらとり台公園プレイパーク」の世話人・鈴木景子さんにお話を聞いてきました。

突然ですが、森ノオト読者の皆さんは昔、何して遊んでいましたか?

 

沖縄の小さな村の豊かな自然の中で育った私は、幼い頃を思い起こすと、遊びに困ったことはありませんでした。海岸のテトラポットにつくった秘密基地、近所のちょっとこわい犬の前をダッシュで通るスリルな遊び、日暮れ時に懐中電灯を持ってコウモリ探検……。子ども心をくすぐる場所が地域にたくさんあったことを思い出します。

 

今我が家が住む横浜市青葉区は、駅前は商業施設が充実しながらも、少し車を走らせれば田園風景や里山が広がり、ほどよく都会と田舎の風景が混在しています。公園の数も横浜市内18区の中で一番多く、区内に231もの公園が点在していて、子どもたちの遊び場には困らない環境のはず。でも、公園に行くと「ボール遊び禁止」「火気厳禁」という看板があったり、公園で遊んでいる子どもの声がうるさいという苦情があるという話を聞いたり……。何だか窮屈に感じてしまうこと、ありませんか? そもそも、公園で子どもたちが遊んでいる姿を、あまり見かけない気がするのは気のせいでしょうか?

こののぼりが目印! 普通のまちなかの公園が、月に2回プレイパークになる

 

公園などを活用しながら、できるだけ禁止事項を掲げず、子どもたちが思いっきり外遊びできるような遊び場をつくる活動「プレイパーク」。現在、横浜市内には25カ所、青葉区内には「しらとり台プレイパーク」「新石川公園プレイパーク」「あざみ野西公園プレイパーク」の3カ所で、プレイパーク活動がおこなわれています。世話人と呼ばれる地域の住民が主体となって運営し、子どもたちの自由な遊び場をつくっています。

 

 

この夏は出かけるのを躊躇してしまうほどの猛暑が連日続きました。でも、我が家の子どもたちの有り余るエネルギーは、室内遊びでは消費できません。
そんな夏のある日、しらとり台公園プレイパークの活動日に、息子と2人で遊びに行ってきました。青葉区しらとり台の住宅地の中にあるしらとり台第一公園の入り口に着き、セミの大合唱に包まれながら階段を登っていくと、広場には、設営準備をするプレイリーダーや世話人と、水遊びを始める子どもたちの姿がありました。

 

 

世話人やプレイリーダー、遊びに来た親子で流しそうめんの準備中

 

この日は毎年恒例の流しそうめんの日とあって、マイお椀・箸を持参して、わらわらと親子が集まってきます。

 

「ここの流しそうめんは、子どもも“流す役”になれるから、それを楽しみにしている子もいるんですよ。変わりダネも流れてくるから、見逃さないでね」。

 

そう目尻を下げて話すのは、しらとり台公園プレイパークの世話人の鈴木景子さん。鈴木さんは、青葉区内でのプレイパーク立ち上げから携わり、長年世話人として子どもの遊び場を見守ってきた一人です。

 

子どもも流す役を担当。流れて来るのはそうめんだけじゃなくて、ゼリーやラムネ、果物も!

真夏日でも木陰にいれば涼を感じることができる

流しそうめんがひと段落すると、子どもたちは興味のおもむくままに遊び始めます。ハンモックにプール、シャボン玉、虫とり、その横では、田奈ベーゴマ倶楽部のおじさまたちがベーゴマのバトルを始めています。この日はありませんでしたが、かまどで火を焚いたり、ナイフで木を削ったり、青空紙芝居が登場する日もあります。遊具もない、何の変哲もないまちなかの公園に、どんどん子どもと大人の遊びが広がっていきました。

 

木と木の間にハンモック。揺れがどんどんダイナミックに!

田奈ベーゴマ倶楽部のメンバーが数年前からプレイパークの運営を手伝っている。この日、私と息子もベーゴマの回し方を伝授してもらった

子どもよりも大人が夢中になれる場所

世話人の鈴木さんと言えば、青葉区の子育て関係者界隈では、「プレイパークの鈴木さんね」と必ず名前が出てくるほどのキーパーソン。大学生から小学生までの3人のお子さんを育てる母でもあり、私にとっては同じ保育園の先輩ママです。出会ってすぐから、前から知っていたかのような空気感で話しかけて来てくれて、何度となくその存在に、私は心を救われて来ました。

 

:世話人の鈴木景子さん。鈴木さんのこの笑顔にホッとする

「一番上の子がまだ小さい頃、ほかの子を泣かせてしまったり、言うことを聞かなくて、子育てに悩んでいた時期があったんですよ。意外だってよく言われるんですが、私自身は習い事ばっかりしている子ども時代を送ったから、自分が子育てする時にどうやって遊ばせていいのか戸惑ったんですよね」

いつも大らかに子どもたちを見守る鈴木さんが、子育てに悩んでいた時期があったとは、とても意外でした。

鈴木さんが子育てを始めた当時は、「公園デビュー」という言葉が流行っていた時代。各公園には親子がたくさんいて、ママたちの子育ての登竜門となる場所でもありました。それゆえに、遊び場としてのルールも多く、のびのびと遊べる公園は少なかったと、鈴木さんは話します。

 

 

「そんな時に、日本で初めてのプレイリーダー天野秀昭さんの講演会を聴いたのがきっかけで、世田谷区の駒沢はらっぱプレイパークに遊びに行ったんですよね。こんなところがあるんだってびっくりして。子どもがのびのび遊ぶのを見て、それからはとにかく公園にたくさん遊びに行きました」(鈴木さん)

 

 

子どもとの外遊びの楽しさに目覚めた鈴木さんは、生協が主催した外遊びの講座などに参加したり、外遊びサークルで熱心に活動したり。そのうちに、同じく外遊びへの思いを強く持つ仲間たちとつながり、あれよあれよという間に、青葉区のプレイパークの立ち上げに関わることになっていきます。

 

木登りのようなちょっと危ない遊びこそ、子どもたちは頭をつかって、どうやったら高いところまで登れるか考えるのだそう。2010年頃の様子(写真提供・しらとり台公園プレイパーク)

「火起こしとか私も初めて体験したことがたくさんあって、子どもよりも私が夢中になっていったんです。毎回ワクワクしてて。子どもって、“こうやって遊ぶだろうな”と思っていることを平気で超えていくから、見てても面白くって」。

 

上手く焼けるかな?(写真提供:しらとり台プレイパーク)

しらとり台プレイパークはこれまで青葉区や社会福祉協議会の助成金の活用、また遊びに来る人のカンパや応援会員の会費で活動を続け、昨年、開設10周年を迎えました。現在は第1金曜と第3土曜に開催し、毎回5〜6人ほどの世話人とプレイリーダーらに支えられています。

自分の子育てや仕事をしながらのプレイパークの運営は苦労も多いのでは? と尋ねると、

「いまだに活動日の前日からバタバタしちゃってね。家のことは放って“不良主婦”なんですよ。ふふふふ」と笑う鈴木さん。そんな朗らかな人柄が、きっとプレイパークに来るお母さんたちの肩の力を抜いてくれるのでしょう。

 

 

今後は子どもとその親はもちろん、その上のシニアの方々も、プレイパークに来てもらいたいのだそう。

「外に出れば、風も吹くし、土はでこぼこしているし、室内での遊びとは全然違う刺激がありますよね。小さい頃からとにかく思いっきり外遊びしてほしい。そういう子どもたちの遊び場が豊かになっていけるように、大人たちにもワクワクしながら、子どもたちの活動を見守ってもらえたら」(鈴木さん)

 

 

取材から帰る頃、私の手にはしらとり台プレイパークオリジナルのベーゴマが。

「また絶対行こうね」と話したのは息子ではなく私のほうでした。おじさま方から伝授してもらった回し方で、息子の現代版ベーゴマと日夜バトルをしています。

 

みんな昔は子どもだったー。そんなフレーズを思い出させてくれる場所、しらとり台公園プレイパーク。ワクワクしに、親子で、多世代で、遊びにいってみませんか?

 

 

Information

しらとり台公園プレイパーク

開催場所:しらとり台第一公園

開催日:2018年9月15日(土)10:30〜16:00

第1または第2金曜日 14時〜17時

第3土曜日 10時半〜16時

 

青葉区冒険遊び場・プレイパーク

http://aobaasobiba.tiyogami.com/

*YPCフェスティバルに出店します!*
横浜中のプレイパークが集まって、それぞれの名物を持ち寄ります。

日時:2018年10月8日(祝) 11時〜15時
場所:都筑区鴨池公園まんまるプレイパーク

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この記事を書いた人
宇都宮南海子事務局長/ライター
元地域新聞記者。エコツーリズムの先進地域である沖縄本島のやんばるエリア出身で、総勢14人の大家族の中で育つ。田園風景が残る横浜市青葉区寺家町へ都会移住し、森ノオトの事務局スタッフとして主に編集部と子育て事業を担当。ワークショップデザイナー、2児の母。
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