思わずそこで暮らしたくなる。 街かどのコミュニティ「みんなdeカフェ」に行ってみた
森ノオト編集部では、この春から新たに少人数のチーム制で企画や取材などを進めています。コミュニティやまちづくりなどをテーマとする私たちのチーム名は「五感トランポリン」。早速メンバーの“五感”を頼りに都筑区にあるけやきが丘団地の集会所前で住民がひらいている「みんなdeカフェ」へと“ピヨ~ン”と遊びに行ってきました。

けやきが丘団地の集会所は、横浜市営地下鉄・センター南駅から徒歩18分程のところにあり、荏田東第一小学校からえだきん商店街へと続く美しい花と緑に囲まれた遊歩道沿いにあります。

「みんなdeカフェ」は集会所前のひろばで毎週木曜日の朝8時半頃から15時半頃までゆるやかにひらかれており、遊歩道沿いにある花壇には、ハマロードサポーターである「ナチュラルガーデン倶楽部」と地域のみなさんによって手入れされた草花がたくさん咲き誇っています。

 

ある日のカフェの様子を、訪れた五感トランポリンチームのみんなの目線で紹介します。

行ってみた人:梅原昭子、日影愛、本田真弓、福田友美、松園智美、松尾圭威子

カフェの福田由香里さん(左)と鈴木真理さん(右)。気さくでフレンドリーなお二人は、お客さんがたくさん来て忙しそうな時も、冗談を言い合いながら楽しそうにコーヒーを淹れてくれました。どうやったらおいしくできるのかと日々研究を重ねている鈴木さんは、テントの下にコーヒーを淹れる道具をたくさん揃えています

カフェを切り盛りするのは、福田由香里さんと鈴木真理さん。彼女たちが中心となって、青いテントの下で集会所から電源をひき、温かいカフェラテや紅茶にココアなどを淹れてくれます。その日によって違うお茶うけや近所の子育て中のママが焼いたパン、近隣の農家さんが作った野菜なども販売し、午前中にはカフェの横で「浅葉亭」のご飯ものや汁物などを販売しています。「浅葉亭」のごはんは、カフェのお客さんがごはんも食べたいというリクエストに応えて、浅葉ちい子さんが作るようになったのだとか。

午前9時20分ごろ。チームの中で朝イチに到着した梅原昭子さんは、常連さんらしきワンコ連れの方々に混じって、黒糖ラテ(150円)を頼み、優雅な朝を満喫。チームのグループメッセンジャーに写真を送ってくれました。その中の一枚(撮影:梅原昭子)

「緑道は、犬のお散歩コースになっているんですね。『木曜だけでなく、週に2、3回やってほしい』とお客さんの一人が話していましたが、その気持ち、わかります!と思いました」と梅原昭子さん。犬のお皿も用意されており、ワンコたちにとっても心地よい休憩所のようです。

 

日影愛さんは、東急田園都市線・江田駅から「センター南駅行き」の市営バスに乗って10時30分頃に到着しました。

現地に着いているはずのチームのみんなが見当たらないので、カフェラテと生チョコケーキを購入して、しばらく読書をしながらおひとり様カフェを堪能したそうです。ポータブルのスピーカーからはBGMが流れ、周囲には花が咲き、木々には季節感ある飾りもあって、なんとも心地がよいのです。

ドリンクメニューは目移りするほど豊富でなんと9種類。自称食いしん坊の日影愛さんやお昼時に訪問した福田友美さんの最大の感動ポイントは、このカフェのクオリティの高さだったそう。ミルクフォーマーマシンでふわふわに泡立てたミルクを入れた100円のカフェラテやココアが、最高においしかった!と感動したお二人。おいしくなるようマシンを置いてくれたんだろうなぁと感じてなんだか心も温かくなったという友美さん(撮影:日影愛)

私は9時40分頃に到着。梅原さんと「ナチュラルガーデン倶楽部」代表の野田千春さんがカフェの周りにある花壇の前で談笑中で、混ぜてもらって花壇のことをいろいろと教えてもらいました。

このナチュラルガーデンは、自然環境に配慮し農薬などを使わずにナチュラルなやり方で循環させている花壇だそうです。

「ナチュラルガーデン倶楽部」代表の野田千春さん(右)と話していると、カフェを訪れてくる人が次々と野田さんに声をかけてきて、その何気ないやり取りから、日常的に地域のみなさんが花壇を楽しんでいる様子がうかがえました(撮影:梅原昭子)

今の季節、あちこちで見かける赤紫色の小さな花をつける「カラスノエンドウ」は草取りの時には取らないで、アブラムシが寄ってきたタイミングで取っているそうです。そうするとアブラムシも捕獲できてほかの花にアブラムシがいかないとのこと。しかもカラスが「カラスノエンドウ」を食べにくるそうで、名前の通り“カラスのエンドウ”なんですよ~と教えてくれました。

また、花がらなども捨てずに堆肥にしているので、私たちの足元に生えていた三つ葉は、花壇に設置しているコンポストで作った堆肥を植えたら生えてきたとのこと。

環境に優しいやり方で手入れをして、まさにいろんなことが循環している花壇なのだと思いました。

ナチュラルガーデンで育てたハーブを使った香り豊かなハーブティー。オリジナルのティーパックに加工していました。お茶代150円のうち100円は花募金となり、その資金でまた種や苗を購入して花を育てていて循環する仕組みがつくられています

そこへ「緑道ハレバレMAP」(2022年10月放送の「アド街ック天国」のセンター南&北特集で1位にランキングされていた緑道のMAPです)を作った「緑道ハレバレ会」のメンバーである福井つや子さんがカフェに遊びにいらして、話に加わってくれました。

緑道MAPの話に花が咲いていると、五感トランポリンチームから、おひとり様カフェを堪能していた愛さんと本田真弓さんが私たちに気付いて合流。

福井つやこさんがポケットサイズの「緑道ハレバレMAP」を手に都筑の緑道のすばらしさを熱く語ってくれました。ミウラ折りという独特の折り方をされたMAPの開き方を一人ひとりに熱く伝授。そのトークに引き込まれ、3人がその場でMAP(500円)を購入しました(撮影:梅原昭子)

真弓さんは、センター南駅から「ささぶねの道」という緑道を通り、橋脚のデザインがカッコイイと福井つや子さん一押しの「若水橋」を通って、ナチュラルガーデン倶楽部のみなさんがお手入れした花を眺めながらカフェにやって来たそうで、道中でワクワクしたとのこと。

この緑道ハレバレMAPは、コロナがきっかけで地元にある緑道を見直したというみなさんが作られたそうで、緑道の見どころや歴史的価値のあるものが掲載され、デザインも本格的でとても興味深いです。今度は子どもたちを連れて、緑道の散歩を体験したい、という真弓さん。

私がランチに食べたもち米で炊いたたけのこご飯(300円)と具たくさんのおみそ汁(100円)。心温まるおいしさ

以前、けやきが丘団地の集会所では、こども食堂や「みんなdeごはん」という地域の方のための食堂をやっており、当時は150名程が来る大人気の食堂だったとか。

コロナ禍でその食堂ができなくなったため、外にテントを出して「みんなdeカフェ」をやるようになったそうです。

カフェの横で売っている「浅葉亭」の手作りご飯はとても人気で、午前中に売れ切れてしまうことが多いそうです。メニューは日によって違い、カレーやうどんも人気だそう。

集会所でヨガを終えたママたちのティータイム。さまざまな年代の人が入れ代わり立ち代わり訪れます

私たちがランチをしていると、今度は隣接する荏田東第一小学校の3年生と先生が、校外学習に行くようで、カフェスペースの横を元気いっぱいに通りかかりました。とても親しげでうれしそうに「おはようございまーす!」「いってくるよー!」「こんにちはー!」とカフェのみなさんに手を振り、ワークショップブースの方々に話し掛け、カフェのみんなも大きな声で「いってらっしゃーい!」と手を振り、地域のみなさんが日ごろから触れ合っているであろうことを感じました、と日影愛さん。

作ることが好きというワークショップブースの山﨑雅美さん(中央)は、誰とでも気さくに接し、子どもたちをフォローしたり、ご近所さんの壊れた鍋を直してみたり、折りたたみ傘に紐を通してあげたりと、ちょっとしたお困りごとにも気軽に対応しています(撮影::松園智美)

15時近くになって訪問したのは松園智美さん。

智美さんは、近所のみずきが丘団地に住んでおり、下校した小学生の娘さんと一緒に行ったそうです。娘さんのお目当ては「ワークショップ」ブース。組紐キーホルダーの手芸を二つ体験しました(一つめが500円、もう一つが300円)。

ワークショップブースをひらいている「イロドリパーク」の名前で活動する山﨑佳之(はんす)さんと山﨑雅美(まさみ)さんは、横浜のプレイパークの元プレイリーダーでもあります。学校のことなどもよく知っていて、子どもたちにとてもアットホームな雰囲気で接してくれていたとのこと。

ブースの中には中高生らしき若者たちもいて、彼らははんすさんにぶんぶんごまの作り方を教えてもらったりしていました。中高生の子どもも持つ智美さんは、こうやって中高生もごく自然に受け入れてくれているのが、ありがたいと感じたそうです。

また、組紐作りをしていると、あちこちから人が来て、犬連れの人が「私もこんなの欲しい」と注文したり、赤ちゃん連れのママがずっと会話に入っていたり、大学生くらいのお兄さんが一緒に組紐作りを教えてくれたり…。小学生の子どもだけで来させても、安心して過ごせそうと感じ、近所の住人として、今回行ってみた感想は、一言「ありがたい」に尽きます!!とのことでした。

 

(取材を終えて)

私が「みんなdeカフェ」を知ったのは、まだ新型コロナウイルスが猛威をふるっていた 2年前の紫陽花の季節です。仕事で立ち寄った都筑区にあるえだきん商店街の近くで、青空の下テントやテーブルセットを出して人々が集っているのが見え、なんだか楽しそうな気配を感じ近寄ってみたのがはじまりです。

当時は、私も家にこもりがちな日々を送っていたので、木漏れ日と心地よい風を感じる木の下でおしゃべりをしながらお茶を飲めるなんて!とうれしくなり、その居心地の良さに、ついのんびりとお茶をしました。みなさん気さくにいろんなことを教えてくださり、楽しいひと時を過ごしたのを覚えています。

あれから2年、あの青空の下でやっていたカフェは今も変わらずにひらかれているのだろうか?とふと思い出し、森ノオトの新チーム“五感トランポリン”のメンバーと木曜日に訪ねてみることにしたのです。

 

今回の訪問で特に印象的だったのは「地域住民のみなさんがとてもフレンドリーで壁がない。そんなオープンマインドに触れて、思わずそこで暮らしてみたくなった」とメンバーが口々にしていたことです。

常連のお客さんが「みんなができることで、みんなが元気になればいいわよね~」と話していたり、カフェの鈴木さんが「みんなが喜んでくれるとうれしいし、ままごとやっているみたいで自分たちが一番楽しんでいるのかもしれない。だから続けていけるんです」と話すように、互いを思いやったり、楽しもうとするそんなみなさんの心持ちが伝染し合って、心地の良いコミュニティをみんなでつくり合っているのだなぁと感じました。

 

コロナを機に自分のまちでの暮らしを見直すようになった私にとって、ここは地元で安心して楽しく暮らしていくためのヒントをたくさん感じさせてくれました。

お近くでまだ知らないという人にはぜひ訪れてみて……とこっそり教えたくなるところです。

 

新チーム“五感トランポリン”でピヨ~ンと行ってみた取材は、一人での取材では得られないたくさんの発見とそれを共有できた楽しさがあり「みんなde取材」なかなかイイナと感じた春のスタートです。

Information

「みんなdeカフェ」

毎週木曜日 午前8時半頃~午後15時半頃までゆるやかにOPEN

 

横浜市営地下鉄・センター南駅より徒歩18分程

横浜市営バス「荏田南」下車 徒歩6分程/「みずきが丘」徒歩4分程

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この記事を書いた人
松尾圭威子ライター
横浜市港南区で育つ。結婚後は藤沢、マレーシアで暮らし、現在青葉区に在住。 色やカタチを扱うこと、人と何かをつくることが好き。思いもよらないモノ・コトに出会うことに喜びを感じ、足元にあるまだ見ぬ景色を見たくてライターへ。家族は夫、息子二人、トイプードル。
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