グルテンフリーと地産地消で作る。「お果子工房ichigo-e」のこだわり
お果子工房ichigo-eのお菓子は、地産地消の果物やオールグルテンフリーで作られたスイーツや焼き菓子です。お菓子作りのこだわりやお果子工房ichigo-eのお店ができるまでについてお話を伺いました。

グルテンフリーは、小麦など麦類に含まれるグルテンの含有量が基準値以下の食品です。健康のためのグルテンフリーの食生活が注目されており、私も普段からグルテンを減らす食生活を実践中です。

2023年11月23日に開催の「あおばを食べる収穫祭」に出店される、お果子工房ichigo-eのお菓子が全てグルテンフリーの食材で作られていると知り、グルテンフリーのことやお菓子作りについて、またお店ができるまでの経緯について伺ってみたいと思い、店主の伊藤尚子さんに取材をお願いしました。

前田養鶏直売所。お店の横には駐車場もありました(以後、写真撮影:宇都宮南海子)

 取材に伺ったのは、2023年11月現在、お果子工房ichigo-eの焼き菓子が唯一常設販売されている前田養鶏直売所。横浜市緑区北八朔町の中ほどにあり、一番近い駅は横浜市営地下鉄・川和町駅で、徒歩で20分ほどかかります。

 

店内に入ると、焼き菓子のほかに産みたての卵やプリン、輸入雑貨などが販売されていて、おしゃれな印象を受けました。

前田養鶏場の卵が使われたプリンやichigo-eの焼き菓子

お果子工房ichigo-eのお菓子は7〜8種類の焼き菓子と看板商品であるヴィーガンスイーツのフルーツポリッジです。普段伊藤さんは、店頭には立たれていないそうなのですが、今回は取材のために待ち合わせていただきました。

 

 

お菓子作りのきっかけ

お果子工房ichigo-e 伊藤尚子さん

お菓子作りのきっかけを伺うと、「子どもたちのためでした」と伊藤さん。ご自身も小さい頃にお母さんの手作りお菓子で育ち 、自身の子どもたちにも、安心できる材料でケーキやお菓子をたくさん食べさせてあげたいという思いがあったからだそう。

 

そして、いつからかお菓子作りに自ら熱中するようになったと言います。その熱中ぶりは、お菓子教室に通うことから始まり、地元の洋菓子店に弟子入りするまでに発展します。

 

弟子入りのために門を叩いたお店の店主には、プロではない専業主婦を雇うことに最初は渋い顔をされたそうです。けれども、伊藤さんは熱烈な思いで説得をしました。そしてついには働かせてもらえるようになり、そこで10年修行を積みました。

 

その後洋菓子店の閉店を機に転職した、地産地消の食材でデリバリーを提供するREVIVE RECIPE TENZOでは、初めて地産地消のスイーツの開発を担当することに。そこで地産地消という言葉を初めて知り、また、イチから食材を調達することも初めての経験だったそうで、とても苦労したと言います。

 

この時の地産地消の食材探しの経験は、伊藤さんにとって現在のお果子工房ichigo-eの食材調達や地産地消にこだわるきっかけになっているそうです。

 

2022年、ご家族の介護もあり独立を決意し、8月に「お果子工房ichigo-e」を創業しました。

 

 

フルーツポリッジの誕生

このような伊藤さんのお菓子に対する熱中ぶりと、とことん頑固に、良質な材料でお菓子を作りたいという思いが今のグルテンフリーのお菓子作りに反映されています。

 

なかでも自信作は、小麦粉も乳製品も卵も使っていない、ヴィーガンスイーツの「フルーツポリッジ」です。

 

ポリッジとは主にオートミールで作るお粥のことを言い、果物とオートミールで作ったフルーツポリッジは、伊藤さんのオリジナルです。

地産地消にもこだわったスイーツで、神奈川産のイチゴや湘南ゴールドなどの果汁をふんだんに使ってオートミールと一緒に炊き上げました。

 

冷凍で販売されているフルーツポリッジは、解凍の具合によって食感も違います。少し溶けた頃合いはザクザク感、完全解凍した頃にはポリッジの食感をしっかりと味わえます。

フルーツポリッジ。果汁とオートミール、それぞれの甘みが合わさった新感覚のスイーツです。ヘルシーなのもうれしい(写真提供:お果子工房ichigo-e)

伊藤さんがヘルシーなフルーツポリッジにこだわった理由がもう一つあります。それは、ご家族の病気がきっかけでした。

「病気になってもやっぱりスイーツを食べたいという家族の意向があったんですよ。なので、スイーツは心の栄養になるのだということを実感しました 」と伊藤さん。

 

ちょうどその頃、世間ではオートミールが流行り始めていました。伊藤さんは初めて知ったオートミールの栄養価の高さに驚いたそうです。栄養価が高く、安全性もあり、そして多様に使える新しい食材に伊藤さんの心は鷲づかみにされ、「何がなんでもオートミールを使って地産地消の体に優しいスイーツを作ってみせる」と試作を重ねました。

 

かくして、お果子工房ichigo-eのスイーツ第一号である「フルーツポリッジ」が誕生しました。

 

 

お客さんへのヒアリングで考案した焼き菓子

現在お果子工房ichigo-eでは、フルーツポリッジだけでなく、焼き菓子も販売しています。特に人気なのは、アメリカンマシュマロクッキーとガレットブルトンヌと生チョコ焼きだそうです。

前田養鶏直売所で販売されているアメリカンマシュマロクッキー。しっとりとした生地とダークチョコレートが絶妙でとてもおいしいクッキーです

実はこの焼き菓子、お果子工房ichigo-eのオープン当初には考案されていないメニューでした。

インタビュー後半、直売所を切り盛りする前田美由紀さん(左)にお話を伺いました。右は伊藤さん

前田養鶏直売所に卵を買いに行ったことをきっかけに、伊藤さんは前田さんに焼き菓子を直売所で販売してもらえないか交渉し、置いてもらえることになりました。しかし、当初焼き菓子は一向に売れなかったと言います。

 

「売るためには、一個一個にクオリティを持たせないと売れないよ」。そうアドバイスをくれたのは、直売所を切り盛りする前田美由紀さんでした。「味はおいしいのにさぁ、もったいないよ」。

 

当初は包装袋が半透明でなかなかお客さんが手に取りにくかったり、どのようなお菓子をお客さんが求めているのかなどのリサーチが不足していたのだそうです。

それからというもの、直接お客さんに求めているお菓子や購入したお菓子の感想をヒアリングする毎日だったと言います。

 

「直売所での販売のメリットは、すぐにお客さんの反応がわかるところですね」と伊藤さん。「常連さんも多いので、その度に感想を聞いて改善していきました」。

 

また、前田さんと相談しながら、パッケージをクリアな包装袋に変更したり、お菓子の形も改善したりしながら、今のichigo-eの焼き菓子とデザインは誕生しました。

 

こうして前田養鶏直売所でのヒアリングで考案された焼き菓子。2023年11月23日に開催の「あおばを食べる収穫祭」でフルーツポリッジと一緒に店頭に並びます。ぜひこの機会に手に取ってみてくださいね。

 

 

お果子工房ichigo-eのこだわり

お果子工房ichigo-eの屋号の由来は、「一期一会」と果物の「いちご」の言葉の掛け合わせや、一つとして同じものはない、などの意味が込められているそうです。また、お果子の「果」はくさかんむりのない方の字を選び 、果物への強い思いにもこだわりました。

 

屋号のごとく、伊藤さんはこれからもお果子工房ichigo-eと人の一期一会を大切に、一つひとつのお菓子を作っていきたいと言います。

 

どこまでもひたむきにお菓子作りに向き合ってきた伊藤さん。

きっとこれからも、どんどん進化したお菓子を作られるのだろうなと期待の思いでいっぱいになりました。

Information

お果子工房ichigo-e

HP:https://www.ichigo-e.com/

Instagram:https://www.instagram.com/ichigo_e_official/

購入方法:前田養鶏直売所にて常設販売中、オンラインでの購入も可能。

 

前田養鶏直売所

住所:横浜市緑区北八朔町1210-4

営業時間:12時〜売り切れ次第終了

Instagram:https://www.instagram.com/maedayoukei_eggfarm/

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この記事を書いた人
岡島知美ライター
2020年からヴィーガン生活を志す。動物にも地球にも優しい暮らしを送りたいという願いのもと、森ノオトでもヴィーガンをテーマにライターとして活動中。取材を通して人々の思いや活動を知ることで、これからのことを考えていきたいと思っている。
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