その秘訣とは?片付けにかける情熱はどこから来るのか?先生の自宅で開かれた収納公開セミナーに参加しました。
私は、片付けが苦手です。日常の片付けもままならないのに、外にある二つの物置を片付けざるを得ない状況に……。頭を抱えていたところ、 地元のフリーペーパーに掲載されていたむらさきすいこ先生を思い出し連絡を取りました。
30分の無料相談で大分肩の荷が軽くなりましたが、片付けを進めているうちに疑問が沸き、自宅を公開して行うセミナーに伺い、家の中の美しさに感動しただけでなく、お仕事を始めたきっかけや志の高さに感動し、今回ぜひ取材したいとお願いしました。取材にあたり 、改めて勉強し直したいと思い、収納公開自宅セミナーを再受講しました。参加者は4人で、皆様の悩みは私と共通するところもあり、一体感を感じて楽しく学ぶことができました
最初に、すいこ先生から片付けについてお話があり、「整理」「収納」「片付け」はそれぞれに役割があり、この順番に行うのだと教わりました。
「整理」 ……不必要な物を取り除き必要な物、好きな物を選ぶ。片付けの土台。
「収納」……使う場所に使う物を収納し、定位置を決める。
「片付け」「掃除」 ……元の位置に戻す、汚れを取り除く。
講座と合わせて実際にご自宅の収納を公開しながら、この三つがしっかりとできるようになるための基礎を教えてくださいます。すいこ先生から教わった整理収納や片付けのポイントを紹介します。
まずは台所の収納を実際に拝見し 、そのすっきりさに驚きました。
よく使うものを一軍で出しておき、あまり出番のないものは二軍として箱にしまい何カ月も結局使わなかったら捨てるというやり方で減らしていったとのこと。
台所の収納のポイントは、2種類以上重ねないこと。物は収納の7割くらいにとどめ、スタッキングできるか買う時にチェックするとよいそうです。
すいこ先生は、最初から整理収納片付けが得意だったのでしょうか?どうして整理収納アドバイザーになられたのでしょうか?
こんなにきれいに片付けがなされたおうちを維持し続けているすいこ先生も実は、もともと片付けは苦手で、押し込んで見えなければいいというようなお部屋だったそうです。
そのうち、部屋や引き出しを開けて散らかっている状態を目にする度に、心がざわつくのが嫌になり、変えたいと整理収納片アドバイザーの勉強を始めたそうです。学ぶことは目から鱗で、習ったことを1年かけて実践されました。
一カ所ずつゆっくりやっていき、そこが片付くと心の風が吹いて、また一カ所片付けていくというのを繰り返していくうちに楽しくなり、気持ちも前向きに変化していったそうです。
この変化していく経験をたくさんの人へ伝えたいと思い、整理収納アドバイザーになったのだと話します。
片付けのゴールは家族の笑顔
「学校から子どもたちが疲れて帰って来て、『家が最高だ!』と思えて家で穏やかに過ごせたら、エネルギーが充電されて家族や友達との争いも減り、子どもたちの気持ちが変化していくのではないか」と、片付けの効果を熱く語られます。
「衣食住は生きていくうえでどれも大切ですが、その中でも『住』はみんなが暮らす土台。
土台である家が整って家族が幸せになり、周りのみんなにも幸せが連鎖していくといいと思って仕事をしています。片付けを始めると、とにかくすっきりさせたいという思いに駆られがちですが、ゴールは家族が笑顔で過ごすための片付けです」というお話を伺い、すいこ先生の整理収納アドバイザーとしての志の高さと情熱、家族を大切に思う気持ちが伝わってきて、感動しました。
片付けをすることが目標ではなく、片付けたその先に、どんな生活がしたいか?それを思い描くことが大切とのこと。すいこ先生は、目標の一つに、息子さんたちも大きくなったので、いつでも自分一人で旅行に出かけても大丈夫なような家にしたいと 、片付けをしているそうです。自分のための目標があるとモチベーションが上がると思いました。
片付けで得られた思いがけない効果
捨てるのはつらいと私が先生に伝えると、「捨てるのが目的ではなく、自分がどれと一緒にこれからの人生を過ごしていくと楽しくなるかを思い描いて残すものを選ぶといいですよ」と語られました。その言葉で、捨てるハードルが低くなり心が緩みました。
捨てるコツについて伺うと、まずは一カ所だけ片付けることから始め、終わった後の爽快感や片付けたことで得られたメリットを感じること。片付けの基本は家から物をスムーズに出すことなので、売ろうとすると手間がかかったり、時間がかかるので、なるべく早く家から出す方法を選択するとよいそうです。
売るだけでなく、洋服はお店のリサイクルボックスに入れて寄付したり、買取業者に取りに来てもらったりする方法もあります。
住まいは心を映す鏡。毎日目にする場所が、自分を上げてくれるのか?下げてしまうのか?心と部屋はつながっているので、部屋が整うと気持ちも整うのだそう。ちょっとずつ片付けた後の爽快感を積み重ねていくといつの間にか家は変わっていく、とすいこ先生は言います。
また、片付けを通して子どもの自主性を育めるとすいこ先生は話します。
「子どもには、一人が持てるスペースを決めてその中で物の数をコントロールさせることで、自立した時に、決められたスペース内の物を持つということができるようになります。
小さい時から、おもちゃの『いる』『いらない』 を親の私情を挟まずに子どもが自分で選択することを繰り返すことで、大きくなって自分の進路を決めたり、結婚など大きな選択を自分でできるようになります」。
横浜市の小学校では、5年生の家庭科に整理整頓の授業が組み込まれていて、すいこ先生は一昨年から授業を受け持ち今年で3回目だそうです。
まず子どもたちに伝えることは、「自分で決めていいんだよ」ということだそうです。実際にお道具箱の中身を自分で選んで収納してもらうと、「片付けは楽しい!」「すごい使いやすくなった!」と喜ばれるそうです。
すいこ先生のお話を伺い、家の片付けでつまずいてしまうのは一遍にやろうとしてしまうことや、自分一人で完璧にしようとすることで、ストレスを感じ苦しくなってしまっていたことに気づきました。先生は、楽しく、最初はやりやすいところ、小さなところから始めるとよいと教えて下さいました。
たとえば、私が最初に行ったのは、家中のボールペンを集めて、「いる」「いらない」を選択していくこと。書けないのに取ってあるものが多くびっくりしました。まずはそれを捨て、次に数を減らしました。これだけでも達成感がありうれしく、それからはペンを安易に増やさなくなりました。
大きな物置も、一遍に一人でやろうとすると疲れるので、私がお嫁に来る前からある古いものは夫に任せることにしました。片付けることでいつも以上に家族とのコミュニケーションが増え 、片付けへのストレスも減りました。どうすれば楽しく片付けができるのかを考えてみると、自分や家族にとってぴったりの方法が見つかることに気付くことができました。
先生も一年かけてコツコツ片付けていかれたように、私も少しずつ試行錯誤して楽しみながらこれからも片付けを続けていこうと思います。家が片付いたら、何をしたいのか?その夢の実現のためにやっていると思うと、モチベーションも高まります。
すいこ先生は、毎日のようにインスタグラムやブログなどで整理収納、片付けについて役立つヒントや便利なグッズの使い方を発信しています。そちらもぜひご覧下さい。
一人で進めない時は、気さくで優しくて頼りになるすいこ先生に実際に会ってご相談してみると、片付けの呪縛から解放されるかもしれません。
むらさきすいこ(村崎粋子)先生
整理収納アドバイザー、収納スペシャリスト、親・子の片付けインストラクター2級
訪問片付けサポート、収納公開自宅セミナー、片付けセミナー講師(企業・公共施設)
片付けが苦手な家族がいてもスッキリシンプルに暮らすコツを発信中
2023年7月7日Eテレ「しあわせリストコノサキのコト」―「コノサキのキッチンを心地よく整える」に 出演、たまプラーザ在住
Instagram:@suiko_murasaki
Blog:https://ameblo.jp/s-organize/theme-1011391884.html
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