神奈川県内には、さまざまな人を支える、さまざまなNPO・非営利団体があります。
子どもとの暮らし、外国の方たちの暮らし。障害や病気、家族の問題、福祉、環境保全……。困りごとや不安、生きづらさの数だけ、それを支える団体があるのではと感じるほど、その領域は多岐に渡っています。
それぞれの団体が心を砕いて取り組んでいる活動を、必要としている人に適切に届けるために重要な役割を担うのが、パブリックリレーションズ=PR、すなわち「広報」です。
森ノオトは今年度、広報に悩みを抱える県内のボランタリー団体を募り、「パブリックリレーションズ・サポート・プログラム」を実施して、広報の改善支援に取り組みました。この広報改善の講座は、これまで森ノオトがメディア運営を長く続けていく中で蓄積した情報発信のノウハウを生かし作ってきたもので、森ノオトの事業の大きな柱の一つにもなっています。
なお、この事業は、かながわボランタリー活動推進基金21成長支援事業として、神奈川県から受託運営したものです。
今回のプログラムは、2023年8月から2024年2月にかけて約半年に渡り行われました。講座は3回の全体講座と、各団体の抱える課題に寄り添いながら森ノオトがオーダーメイドの講座を行う4回の伴走支援、合計7回を実施。最終日となった2月16日はその集大成として各団体が半年を振り返り、成果発表を行いました。
この成果報告会は、かながわ県民サポートセンター副所長の若本伸子さん、全体講座で講師を務めてくださった&PUBLIC株式会社の桑原憂貴さんと、ひとしずく株式会社のこくぼひろしさん、アドバイザーとして参画してくださった、横浜市、川崎市、平塚市で中間支援をされている、伊吾田善行さん、浅海須美子さん、坂田美保子さん、一般聴講でお越しくださった皆様とともに、有意義な3時間を過ごすことができました。スライドの数は実に130枚以上!熱のこもった振り返りの時間を持つことができました。
成果発表は、以下の6項目を整理して行われました。
①団体が抱えていた広報課題
②個別支援で実施した内容
③具体的な成果と変化
④今後行うこと
⑤成長支援事業を通して、団体としてどのように成長したか
⑥今後の抱負、目指すべき姿
以下、森ノオトがどのように考え、どのように支援を進めてきたか、①-③の部分について簡単にですがご紹介します。
①団体が抱えていた広報課題について
森ノオトはこれまで、広報の課題は各団体の活動年数に応じて変化をしていくと分析をしています。今回も各団体を3つのフェーズに分け、課題の洗い出しと整理を行いました。
②個別支援で実施した内容について
個別支援では、団体が慢性的に抱えている広報課題の改善に加え、控えているイベントや、クラウドファンディングを成功に導くための最適な広報手段を一緒に考えながら、プログラムを進めていきました。
例えば……
・団体のビジョン(理想)、ミッション(使命)の言語化のためのワークショップ
・受益者について知るための「顧客の旅」「ペルソナインタビュー」
・各SNSのインサイトの見方、分析講座
・SNSで利用するハッシュタグを選定するワークショップ
・効果的なチラシ作成講座
・動画制作のコツを学ぶ講座
・クラウドファンディングのためのキャッチコピー講座
・ホームページの改善講座
・寄付を募るためのメッセージづくりや寄付プラットフォーム開設支援
団体の状況に応じてオーダーメイドで行われた4回の個別支援では、このようにそれぞれの団体にふさわしいさまざまなツールを使いながら課題解決の糸口を丁寧に探していきました。
③具体的な成果と変化
広報課題がどこにあり、発信力を高めるために今何が足りないかを確認するために、以下のチェックリストを用いました。支援開始前と終了後でチェックリストの比較を行い、具体的な成果を指標を持って現在地を確認することができたことは、達成感の実感につながったと考えます。
各団体の成果発表プレゼンテーションでは、抱えていた課題とその支援の様子を追いながら半年間で達成できた成果と、これからの展望を語る時間を設けました。3団体をピックアップしてご紹介します。
発表では他にも、
「広報は事業そのもの。活動の意義を発信することで、活動の広がりが生まれ、賛同者を増やすことにもつながった」
「広報は“宣伝”だと思っていたが、大切な関係者に活動を伝えていくことだという原点がわかった」
「広報は、外部のための発信だけではなく、団体内部のための発信でもあるということがわかった」
「事業が多岐にわたる中で各事業担当が個人プレーで自分の仕事を担当していたが、横の連携をとり、広報全体を見渡す人を置こう、という方針に向かうことができた」
「自分たちが、社会に対してどのような意義をもっているかを再認識できた」
「他団体との関わりができ、そこから活動連携につながった」
など、ポジティブな感想をたくさん聞くことができ、うれしく思います。
発表を終えたどの団体も、半年間目を背けることなく課題に向き合い、改善に向けて努力を惜しまずやりきったという達成感に満ち、実に晴れやかな顔をしていたのが印象的でした。
「10団体の成果は、他の団体にとってもいつか直面する課題への答えとなる可能性もある。成果発表会の場で、それぞれの課題と解決までの道筋が共有されたことは大変貴重だった」と、かわさき市民活動センター浅海さんからは講評をいただきました。
森ノオトが今回行ってきた支援は、テクニックだけを伝授するような表層的な広報改善ではありません。各団体が組織の現在地を見つめ、課題を洗い出し、広報体制を見直し、団体の価値の見える化・言語化を徹底して、団体の基盤強化をしていくという、組織そのものの根幹に深く関わる支援を行うことができた、と自負しています。
自分の団体を納得感を得て、実行力を伴う広報体制を確立できるようになること。その先に、市民活動が楽しいという空気が満ち、市民による活動がイキイキとなされている社会が叶うよう、これからも、森ノオトは、ローカルメディアで培ってきた情報発信のノウハウを生かし、広報の支援を行っていきたいと考えています。
<参加団体一覧>
・NPO法人リンクトゥミャンマー(在日ミャンマー人の支援と多文化共生)
・NPO法人ハートフル・ポート(コミュニティカフェ、地域の居場所づくり)
・ざま子育て応援プロジェクト(情報発信と居場所づくりによる子育て支援)
・リトルファームHOMMOKUもくり(地域のコミュニティ拠点)
・NPO法人未来経験プロジェクト(子どもを中心にしたまちづくり、つながりづくり)
・NPO法人仂(木質バイオマスを核にした県⻄部の地域おこし、環境啓発)
・NPO法人なかよしの花(重度障害者のグループホームとヘルパーステーション)
・認定NPO法人横浜移動サービス協議会(障害の有無にかかわらず移動の自由と手段を創出)
・一般社団法人乳がん予防医学推進協会(乳がん予防の普及啓発)
・一般社団法人アマヤドリ(18歳以上の子どものシェルター、居場所支援)
・当事業の概要はこちら
https://morinooto.jp/2023/05/10/kikin21/
本プログラムおよび広報支援についてのお問い合わせ
認定NPO法人森ノオト
住所:横浜市青葉区鴨志田町818-3
TEL:045-532-6941
※リモートワークを推奨しているため、なるべくメールでご連絡ください
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