【二子玉川】ツリーハウスに草そり。 NPO法人砧・多摩川あそび村へ!
子どもも大人も自然とふれあえる場所、NPO法人砧・多摩川あそび村が運営するきぬたまあそび村では、井戸や木の枝のブランコもあり、小さな炭火でウィンナーやお餅を焼いたり、さつまいもをアルミ箔で巻いて炭火に入れる子どもの姿も!そんなあそび村のはじまりの思いを聞きたくて創業者の上原幸子さんへ会いに行ってきました。(ライター養成講座2024修了レポート:宇秋あきこ)

東急田園都市線・二子玉川駅から川沿いに徒歩20分、駐車場と運動場を抜けた河川敷に井戸やブランコ、炭火とプレーワーカーと呼ばれる見守り役の大人と親子の姿が見えてきました。

 

TOPの写真は、ツリーハウス (右手後方)を背景に理事長上原幸子さん (中央)、プレーワーカー主任垣内雄太さん (右)、事務局劒持奈美さん (左)。

 

週4〜5回開園し、利用に予約は必要ありません。来たい時に来て自由に過ごせる乳幼児〜中高生までの子どもと親子のあそび場は、五感で風や土や草木、火や水に触れ合える世田谷区の自然体験遊び場です。

2019年10月の台風後、2021年に復興されたツリーハウスへ駆け寄る子ども

今回は、住民参加型で、子どもたちといっしょに遊び場づくりを行い、20年以上も維持してきたNPO法人砧・多摩川あそび村理事長上原さんにこの活動のはじまりについてお話を伺いました。

井戸 (真ん中後方)を 背景に木の枝ブランコで遊ぶ子どもとプレーワーカー

——あそび村を作ろうと思った最初のきっかけはありますか?

 

私の子育て時代、多摩川の河川敷は、平日は人けがなく危険だから、子どもだけで行ってはいけないと言われる場所でした。こんなに子ども達が自由に走り回れる広い河川敷があるのにもったいないと思い、だったら誰かがいればいいと、想いを同じくしたママたちと自然遊びを楽しむ遊び場活動を始めました。

 

近隣の児童館や町会の協力で、イベントとして活動していましたが、行けば誰かがいる子どもたちの集合拠点を作りたいと、遊び場づくりが可能な場所を世田谷区に相談に行くなど模索し始めました。

広大な河川敷とツリーハウス

——疑問をもって、すぐにそれを解決する場をつくろうと動けるものでしょうか?

 

具体的なきっかけは、自分が子どもを持ってからでしたが、大学時代に参加した活動経験があってこそ、場づくりに動けたと思います。

 

武蔵野美術大学の課題で行ったダンボール遊具づくりをきっかけに、世田谷のまちづくり活動に参加しました。そこでは、本来は受益者である障害を持つ当事者の皆さんが、自分たちがどうしたいかをきちんと意思表示し、ボランティアの手を借りながら頑張っていました。それを見た周りが応援して、二重三重にも人が集まってゆく。当事者自ら動くことには、何にも勝る説得力があると感じ、感動したのを覚えています。

その過程や発展の仕方を近くで見て、関わり、一緒に過ごしたことが、今の活動の原点だったのかもしれません。

 

その傍らでは、子育て中の親たちが立ち上げたプレーパークが活動していました。そして国際児童年を機に、世田谷区と協働で日本初の羽根木プレーパークができたところでした。そして武蔵野美術大の1年先輩が初代のプレーワーカーを務めていました。プレーワーカーは子どもたちの遊びを豊かにし、子どもたちといっしょに場づくりもします。そういう大人が子ども達の側にいることは、子どもにとってだけでなく、親にも大切だと感じていました。

 

今の活動においても、そんな経験のイメージがあったため、最初にプレーワーカーさんの人材確保を優先したところもありました。

ブランコで遊ぶ子どもとプレーワーカーさんと親御さん

——具体的にあそび村が発足するまではどのように活動されましたか?

 

チラシを作って児童館や地域に配ったり、同じ思いの方を集めたりするところからはじまり、色々な方の力を借りて、1999年に最初の「きぬたまあそび村」を発足し、月1回の遊び場を開始。そして、たまたま同じ年に国の「多摩川水系河川整備計画」策定のために、地域住民からヒアリングを行う「世田谷ふれあい巡視」に出会い、河川敷遊び場づくりの意見を出すことが叶いました。

その後、地域の学校や団体に呼びかけ、遊び場づくりをスタートしました。発足から8年後に、世田谷区の自然体験遊び場となりました。

 

——あそび村が発足してから25年続けられているのはなぜでしょうか?

 

遊び場は子どもたちもいっしょに作ってきました。ツリーハウスや遊べる井戸など、つくりっぱなしではなくメンテナンスもします。人が関わる余地を残した場づくりが、手伝ってくれる人を生みました。できるだけ多くの人と、進めていくことを大切にしてきたことも、創立から25年経った今でも継続している秘訣かもしれません。

 

偶然にもあそび村のすぐ近くで、子育て支援のために家を使って欲しいという大家さんと出会い、2014年におでかけひろば「きぬたまの家」を開設。それを機にNPO法人を設立し、子育て相談として砧地域の利用者支援事業の受託など、地域の人が地域の子どもたちのために働く雇用を創出することにつながりました。

 

そしてあそび村は、台風で壊れたツリーハウスを作り直すために、子どもたちと奥多摩に間伐体験をしに行き、木を切り倒すことから樹皮をはぎ乾燥させることまで行なってツリーハウスを再建したことや、住民参加型で世田谷区や国と協働し、河川敷という公共の場での遊び場づくりをしてきたことが評価され、2022年「こども環境学会活動賞」を受賞しました。

 

——順風満帆だったのでしょうか。続けられないと思った時はなかったのでしょうか。

 

最初から順風だったわけではありません。創業期には地域の子ども達が楽しめるイベントを開催したら、子ども同士がぶつかってしまい、それがきっかけで、いっしょに活動してきた仲間の半数以上去っていく経験をしました。子どものケガには関わりたくないというのがその理由です。それでもとにかく続けようと、一人で子どもや親が来るのを待ち続けた日もありました。

 

その時は、保険について勉強会を開催して学び、「自分の責任で自由に遊ぶ」というプレーパークの理念の共通理解に努めました。そして河川敷利用という特殊な環境を活かすことのリスクを忘れてはいけないと、遠くで雷が見えたら撤収を徹底しております。

アスファルトに覆われていない土手には春の草花が咲き始めてました。この土手の斜面で草そりを楽しんでいる子ども達もいました

——みんなで大切にされてることはありますか?

 

NPOにはプレーワーカーの他、子育てサポーターや元児童館の職員の方、多くの経験豊かな方もサポートスタッフのような存在にて関わっていますけれども、それぞれの大切な価値観や意見は大切にしあうような風土、文化となっています。

 

もし何か問題や課題があった時には、まず話し合うことを大切にしています。また、子どものことなら子どもが一番よく知っているから、子どもに聞いてみよう!というやり方を大切にしています。

 

時間はかかるんですけれども、みんなが参加できるように。例えば、河川の草刈りも日程を決めて地域の人が参加できるようにして声がけして開催しているのも特徴かもしれません。

 

——これからの未来へ向けての思いは?

 

創業から25年、当時ママのお腹にいた子がプレーワーカーを務めてくれていたりもします。子どもたちと子育て真っ最中の人たちを真ん中に、子育てで助けられた、から助ける側へまわって、循環していけばいいなと思います。

きぬたまの家の開設を機に、地域の人が地域のために働ける場所になることも大切なんだろうなと思うようになってきました。そのための環境をよくしていき続けたいと思います。

 

子どもに親が付き添わなければならないというより、一緒に立ち寄った親御さんご自身も楽しめたら、という思いでつくられている場所です。

2025年度には、新しい事業もオープンしますし、これからも、ここで出会った地域の多様なつながりを楽しみ、この場所を大切に思う人たちの次世代の循環へつながる場づくりをしていけたらと思っております。

遊べる井戸と泥んこ遊びのできる土山、その向こうにはツリーハウスやトンボ池。真ん中に炭火もありプレーワーカーが隣にいます。お餅やウィンナーを持っていくと自分達で焼いて食べることができます

(取材を終えて)

急ぐのではなく一人でも多くの方と一緒に時間をかけてつくっていく、という上原さんの優しく、あたたかなスタイルが印象的でした。

 

私は、横浜から都内へ昨年移り住み、子どもがのびのび遊べる場所がなくて、抱える思いがありました。

そんな時、あそび村に救われたというママさんから、こちらのあそび村を紹介いただきました。早速娘を連れていくと、草そりで土の上を走り回り、全力で遊び尽くし、夫は一緒に土手を転がって親子で大笑いしてました。

 

そんなあそび村をつくられた上原さんの思いを聞きたくて、今回記事にさせていただきました。

この記事が、遊び場に困っているママさんやパパさんとあそび村をつなぐきっかけになればうれしいです。

Information

NPO法人 砧・多摩川あそび村

東京都世田谷区鎌田1-19-1-101

03-6447-9931

MAIL:info@kinutama.com

HP:https://kinutama.wixsite.com/website

 

きぬたまあそび村

場所:多摩川河川敷二子緑地内

開園時間:月・水・金・土・第2・第4日曜日10:30〜17:00 (10月〜3月は16:30まで)

雨天時:荒天中止、小雨開園 (instagram、公式LINEで配信)

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