4月からプラごみ、どう出せばいい? 横浜市の職員さんへ聞いてきました!
横浜市北部に住むわが家のポストに届いた青色のチラシ。「2025年4月からプラスチックごみの出し方が変わります!」え?これ以上、細かく分別しなきゃいけないの?そんな不安もあり調べると、今まで燃やすごみにしていたプラスチック製品も資源として回収されるとのこと。その詳細を取材し、ついでに分別のモヤモヤも相談してきました!(ライター養成講座2025修了レポート:木村奈保子)

ごみの分別。それは、日常生活を送る上で避けて通れないエチケット。不要になった物を手にし「これは、燃やすごみか、プラスチックごみか⋯⋯」と、ごみ箱の前で迷うこともしばしば。また、汚れを落とすために水でゆすいだり、シールを剥がしたりと、意外と手間もかかるので、恥ずかしながら白状すると、時間や気持ちの余裕がないときは「ええい、まとめて燃やすごみにしてしまえ!」としてしまうこともありました。さらに、夫婦間でも、生まれ育った家庭の習慣や昔住んでいた自治体のルールが染み付いて抜けず、意見が分かれることもあり、なかなか厄介だなと感じていました。

 

取材に訪れたのは、横浜市資源循環局青葉事務所。東急田園都市線の市が尾駅からバスで15分ほどの場所にあり、市民からのごみに関する問い合わせに対応したり、青葉区の家庭ごみ収集を担う施設です。

建物自体は古いものの、臭いなどは全く感じず、とても清潔な施設でした

今回、対応してくださったのは、冒頭の写真の5名の職員さん。横浜市資源循環局青葉事務所、所長の今井輝子さん、副所長の麻生和由記さん、そして指導員の三浦幸人さん、平本達彦さん、さらに、横浜市役所からプラスチック分別推進担当係長の河田健さんも駆けつけてくださいました。

 

 

分別方法を変更する理由は?

今回の変更は、2022年4月1日に施行された法律「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」によるもの。これまで、家庭から収集されたプラスチック製容器包装のみをリサイクル対象としていたものが、新たに製品プラスチックも収集、リサイクル対象となったことによるものだとか。

 

全国の自治体でも同様の取り組みが行われているそうですが、横浜市では、50cm未満のプラスチックのみでできた製品、例えば、ポリバケツやスポンジ、歯ブラシなどが回収できるようになったとのこと。今まで、リサイクル対象でなかったプラスチック製品も回収されるということで、燃やさずリサイクルされるものが増え、分別方法も分かりやすくなり良いことだなと理解しました。

 

横浜市では、この回収方法の変更開始時期をエリアごとに分けており、河田さんによると、2024年10月から先行して回収方法が変更となった9区では、燃やすゴミに含まれるプラスチック資源の量(重さ)が2022年の同時期と比較して、約3割も削減されたということです。

河田さんは、市の最新情報を持ってきてくださいました

プラごみに出したら、NGなものは?

 資源循環局青葉事務所では、2025年に入って青葉区内の50カ所以上で、延べ9000人もの住民の方に、新しい分別方法について、対面で説明されてきました。そのような経験を元に、注意点や勘違いされやすい点について、実物を使って、三浦さんと平本さんからレクチャーしていただきました。

息のあった三浦さん&平本さんコンビ。市民に向け、地道に広報活動を繰り返しされてきたことが伺えます

説明によると、プラスチックごみは収集車で回収された後、中間処理施設に運ばれ、異物が取り除かれるとのこと。プラスチックごみではない缶や瓶、刃物など危険なものが混入していることがあるためです。ごみが入っている袋を全てやぶり、中身を確認する必要があるのですが、その袋を破る機械が、歯車がグルグルと回る構造になっていて、長いものは歯車に絡まりついたり、分厚いものは歯車が故障したりする原因になるそうです。

 

そのため、横浜市では、広げると50cm以上になるものや、厚みがあり硬いもの(目安として、大人の力で曲げられない程度のもの)は、プラスチック資源としては出せないという決まりになっています。特に、長いビニールひもが厄介だそうで、実際に、先行エリアでは、ビニールひもによる機械トラブルが多く発生することになり、復旧にも時間がかかったということです。

 

異物除去が終わると、中間処理施設からリサイクル事業者へ引き渡されるのですが、機械が壊れてしまうと、リサイクルの流れが滞る事態にもなりかねません。「入れてはいけないもの」の内容は一つひとつ丁寧に確認する必要があると感じました。

一番怖いのは、シェーバーや手持ちの充電式扇風機といったリチウムイオン電池が入ったプラスチック製品。発火の危険があり、絶対に入れてはダメ!なものです

そして、三浦さんと平本さんが口を揃えて「説明会で市民の皆さんがいつも驚かれます」とおっしゃったのが、シリコン製品。調理器具や医療器具などに広く使用されており、一見するとプラスチック製品と見分けがつかないですが、柔らかくしっとりした感触のものは要注意だそう。

 

プラスチックは、ある程度、高温にすると溶けたり変形したりしますが、シリコンは、プラスチックとは違う成分で、熱に強く、かなりの高温でないと溶けたり変形しません。そのため、横浜市では、シリコン製品は、プラスチック資源には入れず、燃やすごみにしてほしいということでした。

 

 

プラごみに出して、OKなものは?

取材の後半では、私がこれまで、プラスチック資源か、燃やすゴミとするかモヤモヤと悩んでいたものを、取材現場に持ち込んで、相談させていただきました。

 

皆さんに判断してもらったところ、なんと、すべてプラスチック資源で回収OKとのこと。「まさか、これはOKじゃないよね〜」と思って、燃やすごみに入れていた、マヨネーズが少し残ってしまったチューブや、ホットケーキミックスの細かい粉末がついたポリ袋、生の肉が入っていたパック(トレイの代わりの)もOKだとは⋯⋯。

 

副所長の麻生さんからは「私たちから見たら、プラスチック資源ですよ!燃やしてしまうと温室効果ガスが発生し、リサイクルもされません!」とのご指摘が。その結果に心底驚きつつ、もっと早く知っていれば、あんなに毎回悩まなかったのに!という悔しさに似た気持ちも。

私が持ち込んだ悩めるごみたち

 

「これ見本として欲しいくらいです!」とうれしそうにごみを手に取ってくださった三浦さん

・ お菓子の袋、納豆のトレイ、ミックス粉の袋などは固形物がついていなければOK!

・マヨネーズや薬のチューブ、ヘアオイルなどの油が入っていた容器も、ぎりぎりまで使いきれば、わざわざ洗わなくてOK!

・シールが貼ってある袋、シールが剥がしきれずに残っていてもOK!

・チャック付ポリ袋やラップ、使った後の歯ブラシ、フロス(プラ100%)などは、 4月から全区OK!

プラスチックごみを出す際に迷うものを紹介したチラシができたそうなので、横浜市民の方は、市のHPなどでぜひチェックしていただきたいです

実は「プラスチック」と一言でいっても、PET(ポリエチレンテレフタレート)やPP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)などさまざまな種類があります。そのため、できることなら同一製品を集めてのリサイクルが一番効率的で、例えば、ペットボトルはキャップとラベルを剥がし、プラスチックごみとは別に回収されているように、食品トレイなども、スーパーの店頭回収ボックスなどに入れるのが、ベストな方法だということです。

 

一応、私も上記のことは知っており、プラスチックごみについても、リサイクルされるものなので、なるべく完璧できれいな状態で出さなければならないと思い込んでいたのですが、麻生さんによると「固形物がなければ、多少の汚れは問題ない」とのこと。なぜなら、リサイクル施設にて高温で処理されるため。リサイクル施設では「ケミカルリサイクル」という手法により、使用済のプラスチックを燃やさずに、熱分解することで、不純物を取り除き、アンモニアなどの化学原料に生まれ変わるのだとか。

 

一人ひとり感覚が違うので、伝え方が難しいところですが、ほんのわずかな汚れや異物があることでリサイクルしないよりは、貴重な資源をなるべく再利用するために、完璧なまでに神経質にならなくても大丈夫なのだそう。

燃やすごみにいれていたプラスチック類を、なるべくリサイクルに回してほしいと語る副所長の麻生さん

 

いつも森ノオトがイベントなどでお世話になっている所長の今井さん。夫さんが、無類の分別好きだとか

取材後、わが家のごみ分別は⋯?

私としては、日々出している資源が、どのようにリサイクルされるのかまでを知れたことで、これまでモヤモヤしていた悩みがすっきりし、分別しやすくなりました。

そして、取材で教えていただいた内容を、夫や子どもたちにもシェアした結果、わが家の燃やすごみの中のプラスチック類が激減する結果となりました。ただ、逆に、プラスチックごみのかさが増えてしまい、キッチンの保管スペースに入り切らない事態に⋯⋯。そもそも、入ってくる量をなるべく削減したいと感じ、日々の買い物から、より意識するようになりました。

わが家のリサイクルステーション。取材の際、平本さんから教えていただいた色別のシールをごみ箱に貼ると、幼い子どもも積極的に分別に協力してくれるようになりました

2024年10月からプラスチックごみの出し方が変わった9区での分別変更の認知度は、市の積極的な広報の成果もあって、なんと8割以上だとか。ただ、私のように、よかれと思って、プラスチック資源として出せる範囲を狭く誤解して、燃やすごみにしてしまっている人も多いのではないかと思います。市民一人ひとりが、新しい知識と習慣を“アップデート”して、資源循環型の暮らしが社会全体に根付いていくとよいなと感じました。

Information

横浜市資源循環局 青葉事務所

横浜市青葉区市ケ尾町2039番地1

045-975-0025

https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/sumai-kurashi/gomi-recycle/gomi/puragomi-2024.html

 

※横浜市青葉区在住以外の方は、お住まいの自治体にお問い合わせください。

 

プラスチックごみの中間処理施設については、「J&T環境横浜プラスチックリサイクル工場」を取材したこちらの記事に詳しくレポートされています。

プラごみが資源に変わるまで。ルール+αの「思いやり」と「マナー」が未来をよくする。

この記事を書いた人
寄稿者寄稿者
未来をはぐくむ人の
生活マガジン
「森ノオト」

月額500円の寄付で、
あなたのローカルライフが豊かになる

森のなかま募集中!

寄付についてもっと知る

カテゴリー

森ノオトのつくり方

森ノオトは寄付で運営する
メディアを目指しています。
発信を続けていくために、
応援よろしくお願いします。

もっと詳しく