3月10日の午前9時。青葉区鴨志田町にある助産院「バースあおば」をたずねました。ちょうど、森ノオトリポーターの秋山貴子(通称:たーこ)さんが産後のケアを受けているところでした。
『ぬくもり』と呼ばれる部屋の中は、もくもくとお線香の煙と香りが漂っています。ベッドに横になっているたーこさんの足元には、この世に誕生して2日目の娘ちゃんがすやすやと眠っていました。助産師の仲かよさんが「イトオテルミー」という温熱刺激療法(2本の金属の管の中にお線香が入っていて、ほんのりと温かい)で、たーこさんのおなかや背中、頭や顔まで上半身全体を、ゆっくり時間をかけて温めながらマッサージしていきます。出産は意外と体力仕事で体のあちこちが痛むことがあります。入院中は、この「イトオテルミー」のケアが毎日あり、産後の疲れを癒してもらえます。看護の実習できていた学生さんが足を揉んでくれ、たーこさんは至れり尽くせりの至福の時間を過ごしていました。
イトオテルミーの施術が終わり、たーこさんは赤ちゃんと一緒に部屋に戻りました。バースあおばには、新生児室も新生児用のベッドもなく、お母さんも赤ちゃんも同じ布団で寝る「母児同床」が基本です。母乳育児を軌道に乗せる鍵はとにかく何度もおっぱいをあげることなのだそうです。赤ちゃんが吸う刺激によって脳からホルモンが出て母乳が作られるからです。出産直後から、お母さんは赤ちゃんのそばにずっといることで、いつでも楽に母乳を与えることができ、赤ちゃんと過ごす日々のペースをつかむことができます。
バースあおばでは紙おむつではなく、肌に優しい布おむつが用意されています。新生児は一日に何度もおしっこするので、おむつを交換する回数も多いのです。紙おむつだとこれがすべてゴミになると思うと……(退院後に隣にある薬局で紙おむつを買って帰る人もいるので、人それぞれですけどね)。
そして、なんといっても入院中のお楽しみは美味しい食事です。助産院の中には調理室があり、調理師さんが体に優しい食事を用意して部屋まで運んでくれるのです。アレルギーなど食べられないものへの要望も受け付けてくれ、「出産したばかりだから少なめにしよう」など、産後のお母さん一人ひとりへ配慮しています。
メニューは酵素玄米とお味噌汁の他に5品が基本なのだそう。酵素玄米とよばれる小豆の入った玄米ごはんは、寝かせることで色が赤くなりもちもちとしていて柔らかい食感になっています。消化にも良く、産後の便秘解消にも効果があるのだとか。あっさりした味付けや献立は退院後の食事の参考にもなります。朝・昼・晩の食事をとても楽しみにしているというお母さんはかなり多いのです。
入院の部屋は和室なので、まるで自宅にいるようにくつろぐことができるのも魅力のひとつです。
たーこさんは1人目も2人目もバースあおばで出産したので、赤ちゃんの世話の仕方など体が覚えていたことも多くあったでしょう。2年前、私自身の入院中はすべてが初めてのことで戸惑うばかりでした。助産院には24時間体制でスタッフがいます。昼間はすやすやよく寝ている赤ちゃんも夜中に大泣きしたりします。そんな時に、助産師さんが駆けつけてくれ、「こんな風に抱っこしたり、寝かせたりすると楽だよ」などアドバイスをくれました。また、食事が美味しいのでなんと欲張っておかわりをしてしまった私。夜中におっぱいがパンパンに張って泣いて助けを求めたりもしました。産後4〜5日という短い入院生活ですが、助産師さんたちの温かい指導があって、その後の自宅での赤ちゃんとの生活に自信が持てたように思います。
さてさて、バースあおばでの産後入院中のケアなどお分かりいただけたでしょうか? せっかくなので、妊娠中のケアなども紹介したいと思います。後編に続きます。
助産院 バースあおば
住所:横浜市青葉区鴨志田町509-1 中谷都第3ビル1F
電話:045-962-7967
生活マガジン
「森ノオト」
月額500円の寄付で、
あなたのローカルライフが豊かになる
森のなかま募集中!