ビニール袋1枚あれば、どんな時でも場所でも遊びに変えちゃう我が家の3歳男子。
遊具がたくさんある公園でも、遊具はそっちのけで体を丸く屈めて地面を見つめ、ビニール袋に土や石や葉っぱや木の枝を大事そうにしまい込みます。
秋はどんぐりや落ち葉など、見ていて可愛らしくカラフルなラインナップですが、この季節は茶色、灰色の土や石ばかり……。
そして、あたたかな日差しのなか、お水遊びも楽しい季節になってきました。
この土や石集めに水が加わり、どろんこ遊びに興じる息子を見て、土絵の具をつくってお絵描きにチャレンジすることに!
もともと絵の具は、色の粉と接着剤になるものを混ぜ合わせてできています。
この色の粉は顔料と呼ばれ、自然の中に存在する自然物、人間の手によってつくられた合成物、そして無機物か有機物かという二重の基準によって分類されます。
そのなかのアースカラーといわれる一群の顔料のほとんどは、土や岩石からつくられています。絵の具の色名にもある、シェーナ(イタリアのシェーナ地方の粘土)、アンバー(イタリアのウンブリア地方の粘土)などは、その名のとおり生産地の名前を冠しています。
そして、もっとも原始的な絵の具といわれるのは、ラスコーやアルタミラの洞窟壁画にみられる天然土の粉末を水で溶いたもの、つまり土の絵の具です。
さて、天気がよく、絶好の土集め日和。家族で息子の大好きな土採取に出かけました。
我が家の庭の土、公園の土、近くの空き地や原っぱの土など、袋いっぱいに土を集めました。
それでは、写真を交えて手順を説明します。
まず、採ってきた土を乾かす作業です。
土が湿っていると小さく砕きにくいので、採ってきた土は天日干してよく乾燥させます。
目の粗いふるいでゴミや石の粒を取り除きます。
乳鉢と乳棒で土のかたまりをより小さくします。
その後、目の細かい茶こしなどで更にふるいにかけるとより細かな状態に。細かければ細かいほどなめらかな顔料になります。
これで綺麗な自然物の顔料ができあがりです。
いろいろな色の土の粉を集めたら、いよいよ絵の具をつくっていきます。
接着剤には、水彩絵の具は膠やアラビアゴム、油絵の具は油、テンペラは卵の黄身などが使われるのですが、今回は身近にあるのり(木工用ボンドでもOK)を混ぜていきました。
よく練りあわせれば、土絵の具の完成です。
さっそく、できあがった土絵の具で絵を描いてみました。
たっぷりと土に触れて、土の色や感触を楽しむ子どもたち。材料から自分たちでつくり、そして表現する楽しさが学べる贅沢な創作活動となりました。
いろいろな種類の土を探し、触れ、感じることで、土の多様な色や感触の違いに気付くことができる土絵の具づくり。
この土絵の具をつくって以来、土集めに興じる息子のように、道すがら土の色ばかり気にしている自分に笑みがこぼれます。
そして、小4女子の娘は、夏休みの自由研究に、自分で「絵の具セット」をつくりたい! と言い出しました。
まだまだ山田家の色探しは終わらなさそうです。
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