(text,photo:牧志保)
梅雨明けが待ち遠しくもあり、熱い夏の到来に少し尻込みしてしまうこの季節。いかに快適に夏を乗り切るかが今の私の課題です。
七夕の前日、私は都筑区にある都筑民家園を訪れました。笹の葉に短冊が飾られた様子は美しく、笹が風になびく様子はとても涼しげです。
冷房や扇風機がない時代の住宅は熱い夏を快適に過ごすための仕掛けが満載でとても勉強になります。私は古い民家に触れるたびに、昔の人たちの知恵と工夫に感心します。昨年、都筑民家園で行われた「エコDIY研究会」のレポートでも、その知恵を読むことができますよ。
都筑民家園にある古民家の入口から中に入ると、広い土間が広がっています。
このような外と内の中間にある空間。地面のようであり、床のようでもある三和土(たたき)の土間がある家に私は昔から憧れています。
「森ノオト暮らしの学校・エコDIY住まいラボ」の第二回目の講座はこの三和土を作るという企画です。興味深い内容に興味津々で講座に臨みました。
今回の講座「土間パネルを作る」の講師は第1回目の講座「パッションフルーツ棚を作る」と同じく庭師の持田智彦さんです。
土間パネルとは、以前、持田さんが森ノオトの北原まどか編集長の自宅のベランダをデザイン、施工した際に持田さんが考案した取り外し可能な三和土で、木の型枠に土を入れ、叩いてタイル状にしたものです。
まずは座学からスタートです。ホワイトボードを使って三和土について、持田さんから興味深い話を聞きます。
三和土は土、石灰、にがりで構成されています。土:石灰:にがりを3:1:少々で混ぜたのち、棒でトントンたたき固めたものです。
昔の民家の土間の三和土は、関東では関東ローム、西日本では真砂土(まさど)、京都では深草砂利、静岡ではサバ土といった、それぞれの地域でとれる土が使われてきました。地方によって採取される土が違うので、三和土もまたその地方の色が出てきます。
今回は桐生砂、赤玉土を使います。どちらもホームセンターで手に入るものです。今までホームセンターの土コーナーなど見向きもしませんでしたが、この講座の後は土コーナーを見るのが楽しくなりました。
石灰は、炭酸カルシウム(サンゴやプランクトン)を炉で焼き、水を加え、二酸化炭素を加えてできるものです。私は中学時代、毎日石灰でテニスコートの線を引いていたので馴染みの素材です。
にがりは、塩化マグネシウム。豆腐を作る際に大豆を固めるものです。
いよいよ土間パネル作りスタートです。
まずは木材を切断し、型枠を作ります。普段全く大工仕事をしない私には慣れない作業です。工具の使い方、コツを持田さんに教えてもらいながら、なんとか部材が揃い、木の枠を組み立てて型枠の完成です。
次に土と石灰、にがりを混ぜ合わせます。
土の粒を手でつぶしながら、スコップでよく混ぜます。
その後、混ぜた土を型枠に入れ、棒でたたき固めます。
今回は土に墨の粉を混ぜて黒の三和土、そして墨が入った土と茶の土を使ってマーブルの三和土も作りました。赤玉土を使ったものはたたくと赤玉土が砕けて赤い色が加わり、なかなか味があります。土の種類によっても出来上がりが違い、粒子の細かい桐生砂を使ってたたいたものは、表面がつるっとしています。みなでアイデアを出しながらオリジナリティあふれる土間パネルが完成しました。
作った土間パネルで傘立てを作るという参加者。蚊取り線香置きにしてもいいね、などと、皆でおしゃべりをしながらの作業はとても楽しくて、作業中はひたすらたたくという地道な時間でしたが、「1日この作業をやっていたい」という声も聞こえるほど、和やかで楽しい1日でした。
我が家では、作った土間パネルを蚊取り線香置き、子どものプールの足場、植物の鉢置きとして使っています。
「森ノオト暮らしの学校・エコDIY住まいラボ」前半の2回の講座を終え、DIYの楽しさに目覚めた私。我が家の小さな庭には手作りのグリーンカーテン、土間パネルが並び、これからくる猛暑と言われる今年の夏に向け、楽しく夏を乗り切る準備が進んでいます。
我が家のベランダ、土間パネルを組みあわせた、三和土のベランダにしたいという希望があるのですが、工具をそろえたり、作業スペースの確保が難しかったり、DIYを楽しむ環境を整えるのはなかなかハードルが高いのが現状です。
工具が揃っていて、集まった人が好きにDIYを楽しむことができるオープン工房のような場があればいいねと、DIY工房開設への夢も広がる今回のエコDIY講座でした。
これからの「暮らしの学校・エコDIYラボ」も興味深い講座が目白押しです。一緒に楽しくおうちやまちをエコでジャックしませんか?
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