真夏の燦々と降り注ぐ太陽の光に、さぞかし植物たちは大喜びだと思いきや、実は、植物たちも夏の厳しい暑さの中では休眠モードで過ごしています(前回のコラム「木陰は何で涼しいの?植物も暑いなかで頑張っています」参照)。
そんな真夏に開花を迎え、秋まで花咲く樹木があります。それが、サルスベリという木です。街路樹や公園または庭先で、誰しも一度は見ことがあるのではないでしょうか。
今の時期、街中で見かける花咲く樹木の8割方はサルスベリだと言っても過言ではないくらい、この時期に花を咲かす樹木は少ないので、夏バテしている人間たちに元気を与えてくれるような気がして、私は大好きです。
サルスベリは早ければ7月頃から秋まで連続して花を咲かすことから、漢字で「百日紅」と書き「サルスベリ」と読まれたり、別名「ヒャクジツコウ」とも呼ばれたりしています。
また、サルスベリの樹皮(木の幹の表面の組織のこと)は、赤褐色で非常に滑らかなのが特徴で、「猿が登ろうとしても滑ってしまいそう」だということが、名前の由来になっているのだそう。
サルスベリの樹皮は特に目立った特徴がありますが、街中の様々な樹木の樹皮に注目して見てみると、それぞれ違いがあり、これがとても面白いんです!!
普段何気なく眺めている樹木ですが、樹皮に注目してみると、本当に多様で、白っぽい色、赤っぽい色、黒っぽい色の樹皮や、大きく裂け目がたくさん入っていたり、小さな裂け目でうろこ状の形になっているなど、自然が生み出した様々なデザインが見られます。
樹皮は樹種によっての違いもありますが、樹木の成長によっても変化が見られるのも面白いところです!
一般的には、若木だと樹皮は比較的滑らかで、成長を重ねるごとに裂け目が入り剥がれ落ちていくのだそう。
というのも、樹皮は幹の内部の細胞分裂が盛んな細胞層(形成層という)を保護する役目があります。細胞層は樹木の成長に伴って肥大化しますが、その肥大に見合うだけの面積を樹皮が広げることができずに裂けてしまい、樹皮の表面が幹から剥がれ落ちてしまいます。すると、形成層を守るためにその外側に、コルク形成層という組織ができ、次の新たな樹皮(コルク層)となる部分をつくります。
このコルク形成層は、いつまでも機能しているわけではありません。古くなると機能を失い、代わりに新しいコルク形成層が内側にでき、こうしたことの繰り返しでコルク層が発達し、樹皮の表面の模様などにも影響してくるのだそう。
サルスベリの場合、このコルク層があまり形成されず、発達しないため、ツルツルすべすべの樹皮になっているのではないかと考えられます。
(あのワインの栓として使うコルクは、コルクガシという木の厚い樹皮の部分を剥離し、作られています!)
また、樹皮の表面には、葉の気孔のように、気体の出入り口(皮目)が存在します。なんと、樹木は幹でも呼吸をしているんですね!
やっぱり樹木って面白い! 樹皮からも色んな自然の営みが見えてきます。
ぜひ、街中で今開花を迎えているサルスベリを見つけてみてください! そして、その特徴的な樹皮を他の樹木と見比べてみると、色んな樹皮の表情を発見できると思います♪ そこから、樹木の成長のしくみや生きていくための働きに思いを馳せてみるのも楽しいかもしれませんよ。
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