9月とは思えない日差しの日もあるかと思えば、雨の日も多く、半袖では涼しすぎるほどの日もあったりと、この秋のはじまりの日々は、お天気に悩まされました。夏の間に、子どもたちもずいぶん大きくなったものです。夏休み明けにお友達と久しぶりに会って、お互いぐっと成長している姿にうれしい驚きを感じました。
そして、わが子の成長を実感するのは、衣替えのとき?! 秋物を引っ張り出してみて、あれもこれも小さくなっていて、次の季節の服の調達に大慌てです。特に、長男の服はそのつど真新しいものをお買い上げ(そして汚される……)。次男の服は、お下がりがあればそれを着まわします。
でも、『ペレのあたらしいふく』での新しい服の手に入れ方は、私たちのそれとはまるでちがっています。
この本のはじまりは、こう。これで、みなさんはどうやって服を手にするか、想像がつくでしょうか?
ペレは、こひつじを一ぴきもっていました。
そうです、ペレの服作りは、羊の毛刈りからスタート!
ペレの新しい服が仕上がるまで、ペレの小さなしごとが続いてく、森ノオトにぴったりな一冊なのですが、草木染め(台所にあるアイテムでできる!草木染初挑戦)など、ハンドメイドと手仕事の記事が並ぶ森ノオトの記事でも、毛刈りはなかったな、と思い返します!!
さて、ペレはこひつじの毛刈りを済ませると、その毛をすいてもらうべく、おばあさんを訪ねます。おばあさんはにんじんばたけの草刈りという交換条件を出して、仕事を引き受けてくれます。それから、もうひとりのおばあさんのところで糸に紡いでもらい、ペンキ屋のおじさんのお使いをしては染め粉を分けてもらい、糸をそめるのは自分でこなし、お母さんにその糸をきれに織ってもらいます。お母さんに仕事をお願いするときも、自分の妹のおもりをしています。
ペレは一つひとつ、仕事を返しながら服を作ってもらいます。仕立て屋さんの家では、メガネの奥がきらりと目が鋭いおじさんに、服を縫ってもらいます。小さい子どもが家にいて、テーブルの上にあぐらをかいて仕事をすすめるおじさん夫婦。こどもたちはテーブルのしたでうまく遊んでいますが、忙しそうな生活が垣間見られ、このおじさんに共感してしまいます。
おじさんも、最初は断りますが、いくつかの仕事を頼み、ペレのお願いを聞いてくれ、ペレの服が完成するのです。
これでようやく一枚の服が出来上がり!
服がない! といっても、お店にいけば簡単に手に入る私たちから比べると、このペレの服には膨大な手間がかかっています。長い旅をして仕上げたペレの服、彼はきっとほつれてもつくろって、大事に大事に着るでしょうね。以前紹介した絵本、『ヨセフのだいじなコート』にも少し似ているかもしれません。
この絵本は、1ページ1ページの挿絵も素晴らしいのですが、
作者のエルサは、ピーターラビットのおはなしの作者に匹敵するといわれるほど、スウェーデンを代表する絵本作家だそうです。
暖かく柔らかい色使いと、人々の表情の細部までじっくりと味わえます。そして、部屋の調度品から農村の風景、人々の服装まで、まるで写真のように、当時の生活を映し出しています。
少しばかり不便だけど、きっと手間暇かかって、生活の実感がこもっていて人と人とのふれあいも感じる生活。
この絵本を通じて、親子でいろいろな話も尽きない気がします。
ペレが洋服を作るに欠かせなかった、交渉、そして町の人々の協力と、自分で払った労働。生きる力いっぱいの少年ペレも魅力的!!
我が家にも働き者の兄がいますが、買い物、宅急便の受け取り、布団を敷いたりお風呂を磨いたりと、ずいぶんできることが増えました。去年はあおばを食べる収穫祭でも活躍し、地域で働くこともちょっとだけ体験させてもらいました。
子どものできることって実はたくさんあるんですよね。
もうすぐ秋本番ですが、今年もまた収穫祭を楽しんだり、畑仕事をしたり、親子ともども秋を楽しみたいと思います。
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