備えあれば憂いなし! 麻生区の災害用井戸を探検しました
9月1日は防災の日。もし明日ライフラインが途絶えて、水が使えなくなったら生活用水はどう確保すればいいのだろう? あらためて、地域の防災に関する情報をチェックしてみませんか?

お散歩途中いつも行くパン屋の近くに、気になるものを発見。

 

「おや?なんだろう…?」ポンプらしきものが目に留まりました。

 

「こんな場所にこんなものもあったんだ、へぇー!」と気になり、よく見ると、災害用井戸と書かれています。もはや日常生活では見たことがない井戸が、こういう形で残っているとは! と、驚きました。

栗平のパン屋「Quatre」の駐車場横にひっそりとある災害用井戸

災害用井戸の存在さえ知らなかった板垣。よくよく調べると、麻生区内では、飲料水で3件、生活用水で51件の供給井戸があることがわかりました。

 

まずは川崎市に、災害用井戸について聞いてみました。

 

災害用井戸には、飲料水と生活用水の2種類があり、飲料水は1年に1回、生活用水は3年に1回水質検査があるそうです。

 

検査項目は、一般細菌・大腸菌・硝酸態窒素・塩化物イオン・PH値・味・臭気・色素ならびに濁度などなど。生活用水は、洗濯物や食器を洗ったり、お風呂用の水など、口に入らない水であることが前提です。

 

どうやって選定しているか伺ったところ、まずは井戸の所有者の方に手を挙げていただき、申請の後、各区の担当者が実際の井戸をチェックするために現場まで行きます。一定の基準を満たすと、「災害用井戸協力の家」として認定されます。今回はその中の2つを実際に見に行きました。

ここ数年で急激に宅地開発が進んでいる麻生区だが、まだまだ緑深い道やたくさんの畑、昔ながらの大きなお屋敷のある里山風景に出会う。伺った災害用井戸協力のお宅は、どちらもこのような地域に存在していた

私が訪ねた2軒のお宅は、昔から農業を営んでいて、今も収穫した野菜を洗うなどの用途で井戸の水を使用しているそうです。

 

どちらも自動ポンプが設置されており、それを稼働させると、きれいな水が蛇口から出てくる仕組みです。

 

現在では上下水道が整備されていますが、一昔前までは、この井戸からすべての生活用水をくみ上げて使っていたそう。

井戸その1。自宅の裏庭にあった。「この井戸は今まで枯れたことないのよ」持ち主の奥様

井戸その2。きれいな水が蛇口から出てくる。「このあたりはどこ掘っても水が湧いてくるよ」と、持ち主のおばあちゃん

災害用井戸は、所有者の方の理解と協力のもと、好意で提供していただいています。川崎市の見解としては、万が一災害等があった際は、井戸の水質が変わる可能性があるため、飲み水は必ず各自でペットボトルやポリタンクなどに用意するのが基本とのこと。

 

自分の身は自分で守る。井戸を頼り何もしないというのではなく、自分や家族やペットの備蓄水を用意することが重要です。

 

板垣家では、トイレ用にペットボトルを何本かストックし、飲料用水に宅配水の備蓄、生活用水のことを考え常にお風呂の残り湯を張っています。

 

残り湯は、断水の時にさまざまな用途で使うことができます。ただ貯めておけば良いですし、手軽な対策としておすすめです(子どもの浴そうへの落下事故には注意)。

当たり前のように水が出ることに感謝

毎日、水道から水が出ることに何の疑問を持たず生活していますが、実は本当にありがたいこと。

 

明日突然、なんらかの理由で断水したらどうすればいいのか。

 

国連が提唱している「人間が人間らしい生活を営むのに最低限必要な生活用水」は1人1日あたり50?……とされているそう。

 

ですが日本人が使用している量は飲料水、料理用の水、洗濯用水、手や顔や歯を洗う水など含めると、1日におよそ320?と言われています。

 

何気なく水を使っていますが、こうやって具体的な数字で見ると、なんて贅沢に水を使っているのだろうか! と改めて思います。

 

いつ何時、災害に見舞われるかわかりません。今一度、身の回りでできる備えや、情報をチェックしてみてはいかがでしょうか。

Information
Avatar photo
この記事を書いた人
板垣恭子ライター卒業生
静岡県出身で四姉妹の長女。大学卒業後、デザイナーとして働きつつ花屋で修行。現在は子育ての合間に、その経験をいかせるような世界観を目指して制作活動中。森ノオトではジャーナリスト的な一面を見せ、硬派な記事も立派に書き上げる努力家でもある。
未来をはぐくむ人の
生活マガジン
「森ノオト」

月額500円の寄付で、
あなたのローカルライフが豊かになる

森のなかま募集中!

寄付についてもっと知る

カテゴリー

森ノオトのつくり方

森ノオトは寄付で運営する
メディアを目指しています。
発信を続けていくために、
応援よろしくお願いします。

もっと詳しく