(text:中島美穂)
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昨年春、東電の原発事故が起きてから、私は唯一の被ばく国といわれる日本に住んでいながら、核や放射能について自分がいかに無知で無関心であったかを思い知らされ、愕然としました。
恥ずかしながら、医師である肥田舜太郎先生の存在を知ったのも3.11以降、鎌仲ひとみ監督の『ヒバクシャ 世界の終わりに』を観てからでした。撮影当時すでに85歳という高齢にもかかわらず、被ばく者治療と核廃絶運動に身を捧げる肥田先生の姿に胸を打たれました。
4月7日(土)からアップリンク・ファクトリーで上映される映画『核の傷:肥田舜太郎医師と内部被曝』は、戦後67年にわたり、原爆や原発での低線量被ばくや内部被ばくの危険性を訴え続ける肥田先生の歩みを追ったドキュメンタリーです。
肥田先生は、1945年8月6日、広島に投下された原爆により被ばくし、直後より被ばく者の救援、治療にあたってきました。直接原爆の衝撃や熱を受けていない人々も原因不明の症状を発症し亡くなっていく疑問。それが理解できるようになったのは戦後30年余りも過ぎた1970年代だったと語ります。
空間的にも時間的にも無限に広がっていく放射能の恐怖と、日米両政府が放射能の影響を認めなかったために被ばく者たちが長年強いられてきた苦悩を目の当たりにしてきた肥田先生の話。そこには私たちが教えられてこなかった想像を絶するような現実があり、3.11を経験した日本で再び繰り返してはいけない歴史が示されています。
「私に課せられた使命として、自分の体験を死ぬまで語り続けていきたい」と語る肥田先生は、2009年に医療活動を引退し95歳となった今も、福島の事故以降急増した取材や講演の依頼に応え続けています。
『核の傷』上映期間中、放射性物質が飛散した今の日本でどう生き抜くかを説く肥田先生の講演を記録した『311以降を生きる:肥田舜太郎医師講演より』も同時上映されます。
3.11以降私たちに突きつけられた大きな課題……今この地でどのように子どもたちを守り生き抜いていけばいいのか。肥田先生の講演からその智慧が得られるかもしれません。
『核の傷:肥田舜太郎医師と内部被曝』
監督・脚本・撮影・録音:マーク・プティジャン
日本語ナレーション:染谷将太
(フランス/2006年/日本語・英語/53分)
日時:4月7日(土)〜連日10:15/12:20/14:50/18:50
会場:渋谷アップリンク・ファクトリー(渋谷区宇田川町37-18 トツネビル1F)
TEL:03-6825-5502
料金:当日一般¥1,500/学生¥1,300(平日学割¥1,000)/シニア¥1,000/アップリンク会員¥1,000
※ 4月7日(土)肥田舜太郎氏講演付き上映会は定員に達したため受付終了しました。
同時上映『311以降を生きる:肥田舜太郎医師講演より』
(日本/2012年/約27分/アップリンク製作)
公式サイト http://www.uplink.co.jp/kakunokizu/
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