『捨てない贅沢 東京里山発暮らしのレシピ』

 

夏になると悩まされるのが、ムスメの背中やおしりにできる汗疹。そんな時に重宝するのがびわの葉エキスですが、買うと結構高い。山口県の祝島で買ってきたびわの葉茶。美味しくて健康にもいいのだけど、今や希少価値で手に入りにくい……。

 

おやおや、この本『捨てない贅沢』には、びわの葉を乾燥させてびわの葉茶をつくったり、焼酎漬けエキスをつくる方法が書いてある。

タンポポ珈琲や桜の花の塩漬け、自家製ほうじ茶、自家製七味唐辛子、自家製ジンジャーエールに干し芋、柿酢までつくれちゃうんだ。

じゅず玉でブレスレットづくり。たけのこの皮でぞうりまで編んじゃうの??

 

庭の木一つ、お散歩道に生えている野花一つ、旬の恵みの余り物・葉っぱや皮を使って何でもつくっちゃう著者・アズマカナコさんは30代前半のお母さん。ひょんなことから東京の奥地にある古民家で暮らすようになり、身近な里山にある恵みを子どもたちと一緒に楽しむ毎日を送っています。

 

アズマさんの原風景にあるのは、大正生まれのおばあちゃんの「もったいない」という言葉。モノを捨てることをきらい、何でも繕い、再利用し、大切に使い継いでいたそうです。調理のあとにほんの少しだけ出たゴミは、庭の土に埋めて大地に還したといいます。

 

今、わたしたちの身の回りに、循環できるものはどれだけあるでしょうか?

毎日たくさん出るゴミ、ゴミ、ゴミの山。使うものより、食べるものより、ゴミの方が多いんじゃないかと疑いたくなるほど。

「始末」という字には、始まりと、末があります。入り口と出口が見えない暮らしって、どうなんだろうなあ、と、本書を読んでいると考えさせられるのです。食べ物も、着るものも、エネルギーも。

 

とはいっても、この本『捨てない贅沢』は、まったくもって難しいことは書いていなくて、とても可愛らしくわかりやすく、「できることからやってみたいな」と思わせる、とても素敵な本なのです。アズマさんの写真もとてもふんわりとしてやさしい感じ。一つでも実践したら、始末という言葉の意味や、循環(巡り巡ってくる)感覚が味わえそうです。

 

循環できる=有機=オーガニック。

アズマさんの有機的な暮らしを、いつか訪問したくなりました。

出張・森ノオト、いいかもしれない。

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この記事を書いた人
北原まどか理事長/ローカルメディアデザイン事業部マネージャー/ライター
幼少期より取材や人をつなげるのが好きという根っからの編集者。ローカルニュース記者、環境ライターを経て2009年11月に森ノオトを創刊、3.11を機に持続可能なエネルギー社会をつくることに目覚め、エコで社会を変えるために2013年、NPO法人森ノオトを設立、理事長に。山形出身、2女の母。
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