(Text:中島美穂 Photo:松山ちかこ)
7月16日(土)、この日はとても暑い一日でしたが、会場となった徳恩寺(青葉区恩田町)のホールには定員100名を超える方々が集まりました。土曜日だったためか男性の姿も見受けられましたが、多くは子育て中のお母さん。みなさん真剣なまなざしで、食い入るように野呂さんのお話を聞いていました。
NPO法人「チェルノブイリへのかけはし」は、1986年のチェルノブイリ原発事故で放射能による健康被害を受けたベラルーシ共和国の子どもたちを、北海道で保養させる活動を19年間続けてきました。受け入れた子どもは648名にも及びます。
放射能によって健康を害してしまった子どもたちと接してきた野呂さんの、日本の子どもたち(特に福島の)を守りたい、という言葉はとても重いものです。言葉の端々から、政府の対応への歯痒さ、福島をチェルノブイリの二の舞にしてはならないという強い使命感が感じられました。
東電福島第一原発の事故後、子どもたちをとりまく環境は決して楽観視できるようなものではなく、お母さんたちは常に不安でいっぱいです。「私たちができる最善のことをつくし、“絶対に子どもたちを守る”という愛情が放射能に勝てる唯一の武器」という野呂さんの言葉に勇気を与えてもらいました。
今私たちができることとして、
- 早寝早起きなど基本的な生活習慣を改善し、体の抵抗力を上げる。
- できるだけ放射能の影響を受けていない食べ物を選び、内部被ばくを避ける。
- 抗酸化作用や排出効果の高い食物を摂取する。
- 体調不良が起きた場合、念のため記録しておく。
……といった具体的なお話もありました。より詳しく知りたい方は「チェルノブイリへのかけはし」HPを参照してください(http://www.kakehashi.or.jp/)。
一方で、野呂さんは「完璧にやろうと思わないで。お母さんが倒れてしまう」とも。「できる限りのことをしたら、最後に子どもを守れるものは愛情。事故の収束を祈ること。祈りは通じるはず」……この言葉に、思いがけず目頭が熱くなりました。私自身、自分でも気付かないうちに、気持ちが張りつめていたのかもしれません。
また「こういう場で出会ったお母さんたちのつながりを大事にして、孤独にならないように。お母さんたちが心を合わせて声を上げよう。日本のお母さんたちが立ち上がって、これを地球最後の放射能汚染事故にしなければ」という力強いメッセージをいただきました。先日の鎌仲ひとみ監督の講演会のときと同様に、実際にご自身で見て感じたことを伝える野呂さんの言葉も、心に深く染み込んできました。
横のつながりを大切に。これは、あざみ野ぶんぶんプロジェクトの活動を通じて、私も感じて来たことです。「ミツバチ」上映会のときもたくさんの方がアンケートに熱い想いをぶつけてくれましたが、なかなか1人で行動を起こすのは心細いものです。この日は主催者側の試みとして「○○小学校です。子どもにお弁当持たせています」「プールに入っても大丈夫?」など、参加者が自分のアクションや感じていることをシールに記入して胸に貼り付けました。地域にはこんなにたくさんの仲間がいるんだと、会場を見渡しながら勇気づけられた方も多かったのではないでしょうか。
講演会を企画したのは、team Ondaのみなさん。小学生の子どもを持つお母さんたちで、この日のために結成されたグループです。代表の三浦富子さん自身が、野呂さんの講演を聞きたいと思っていて、「人数を集めれば野呂さんを呼べる!」とひらめき、企画したそうです。なんてパワフル!(笑)。準備期間はたったの2週間というから驚きです。
ひとりひとりの声は小さくても心を合わせたら大きな力になるかもしれない…。1人の母親として、また、スタートしたばかりのあざみ野ぶんぶんプロジェクト実行委員としても、地域の仲間との出会いにまたひとつ希望の光を感じました。
NPO法人「チェルノブイリへのかけはし」
野呂さんの呼びかけをきっかけに立ち上がった「子どもたちを放射能から守る全国ネットワーク」
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