上映会を開催すると決めてから3カ月。年末年始をはさんで、多くの方に「核とエネルギーと私たちの未来」について伝えるために、さまざまなアクションを起こしてきました。あざみ野ぶんぶんプロジェクトとして、どんな風に自主上映会をつくってきたのか、レポートします。(text:中島美穂)
■上映会当日、横なぐりの大雨で……
ワクワクする気持ちと少しの緊張感で目覚めた上映会当日のお天気は、なんと強風と横なぐりの雨。お子さん連れのお母さんやご高齢のお客様は会場までの道のりが大変かもしれない……という心配を「大丈夫、かえって映画鑑賞日和!」という気持ちに切り替えて客様をお迎えしました。足下の悪い中、来場してくださった方々の姿に熱いものがこみ上げました。
昨年6月30日・7月1日に「ミツバチの羽音と地球の回転」&鎌仲ひとみ監督トークショーでは2日間でおよそ650名もの方々に足を運んでいただきました。その時の会場の熱気を忘れることができません。
時間の経過とともに原発事故からの関心を薄れさせたくないと、鎌仲ひとみ監督の映画『六ヶ所村ラプソディー」(2006年)と『ヒバクシャ 世界の終わりに」(2003年)の上映を決めたのが昨年11月。それから上映会までの約3カ月の間、多くの方にこの映画を届けるために準備を進め、ひたすら突っ走ってきました。
■地道に歩き、ネットも駆使する告知活動
まず始めに、上映会を知っていただくには、地道な告知活動が大切です。地域で告知に協力してくださるお店や公共施設などに、前回同様1万枚刷ったチラシを一軒一軒配って歩きました。今回はお子さん連れで鑑賞できる「お母さんのための特別上映会」も企画したので、ママさんたちの集まる子育て支援拠点にもチラシの掲載や設置をお願いしました。
今やインターネットも重要なツールです。TwitterやFacebookなどのソーシャルメディア、ブログ、メルマガ、メールングリストでもお知らせしました。鎌仲監督もTwitterで私たちの上映会を告知してくださり、森ノオトの告知記事が多くの方の目にとまりました。
一方で、前回のアンケートで情報は希望していてもメールアドレスをお持ちでない方には郵送でお手紙を送り、地域で活動されている政治家の方にこそこの映画を知っていただきたいとご案内し、多くの方の目に留まるために大切な新聞・ラジオなどのメディアリストをつくり情報掲載のお願いをしました。
終わってからアンケートを見ると、実に様々な場所で(都内の単館系映画館で見たという方も!)チラシを目にされていることがわかります。頑張っただけ成果が上がるのが告知。重要です。
■メンバーそれぞれが個性を生かし、活動を支える
あざみ野ぶんぶんプロジェクトのメンバーは5名。それぞれの個性が強みです。抜群の企画力と判断力を持ち合わせた森ノオト編集長キタハラマドカは、仕事でつちかった知識やネットワークを提供し、生きた文章で私たちの想いを表現してくれました。
それをグラフィックデザイナーのヨシムラユウキが素晴らしいセンスでチラシやパンフレットなどの形にします。彼女の仕事の速さはピカイチです。
実行委員長岩崎怜子はオーガニックカフェ・ソワのオーナー。今この映画を必要としているお店のお客様にていねいに伝え、チケットを販売し、私たちにも販売接客のプロとしてのアドバイスをしてくれました。
事務系裏方仕事なら任せて! という森のリポーター松山ちかこは、チケット販売数やお客様名簿の管理などしっかりと安定感のある仕事ぶり。「お母さんのための特別上映会」は幼い子どものいる彼女の提案です。
私は2009年11月から2011年5月にかけて『地球交響曲(ガイアシンフォニー」)というドキュメンタリー映画を全7作上映してきたあざみ野ガイアシンフォニー上映実行委員会のメンバーでもありました。地道な告知活動の大切さや来てくださるお客様へのきめ細やかな配慮など、あざみ野ガイアを成功へ導いた実行委員長・宮沢あけみさんとの活動から学んだことをしっかりと受け継ぎ、またかつてのCM制作の現場やマネージャーとしての仕事の経験を生かして、告知活動や当日のスタッフ配置、スケジュール進行などを担当してきました。
昨年の「ミツバチ」上映会で結集し、その後も勉強会などの活動を続けて来た5人が集まれば、議論は活発に、アイデアもポンポン飛び出します。
「3.11以降わたしが始めたエネルギーシフト」ボードを会場に置き、初めてデモに行った、アンペアダウンしたなど、会場のみなさんが実践してきたことをふせんに記入して自由に貼っていただけるスペースをつくり、それをみなさんと共有しました。
当日の午前午後と続けて鑑賞する方のために、ソワでつくったおにぎりを販売するというアイデアも、お客様の立場に立って生まれたものです。
■上映会から先、未来を見据えて
当日ご来場いただいた方からのアンケートでは、たくさんの感想や意見が寄せられました。今まで知らなかったことへの反省、自分にできることで何かアクションを起こさなければという奮い立つような気持ち、これからもあざみ野ぶんぶんの活動を続けてほしいという励ましの言葉など、どれも勇気づけられるコメントばかり。みなさん映画の上映が終わっても席を立たずに真剣に記入してくださいっていた姿に、胸が熱くなりました。
ただ映画を上映し私たちの想いを伝えるだけではない、双方向のコミュニケーションが生まれた上映会になったと思います。
会場のみなさんの熱いメッセージや真剣な眼差しは、私たちの力となりました。
あざみ野ぶんぶんプロジェクトでは、地元あざみ野で鎌仲監督の核を巡る3部作をすべて上映したことになります。今は上映会を無事に終えることができほっとしていますが、私たちの目指すゴールはまだ先。自分たちの望む未来をしっかりと見据えて、私たちが暮らすこの場所からエネルギーシフトを実現させるべく、活動を続けていきます。
地域で生まれた“ぶんぶん”という羽音をつなげ、広げていきたいと思います。
最後に、上映会当日、鎌仲監督から寄せられたメッセージを、森ノオトの読者の皆さんにもお伝えします。
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今日は上映会に来て下さいましてありがとうございます。
これであざみ野ぶんぶんの皆様には、私の核を巡る三部作を、全て上映していただくことになります。心から感謝を申し上げます。
「核」というと、あたかも何か、大きなもの、触ってはいけない怖いもの、というイメージがあったと思います。でも、その核で発電した電気を私たちは使い続け、その先に何があるのかを知らずに来ました。
「ヒバクシャ」、「六ヶ所村ラプソディー」の二本の映画で、核がいかに私たちの生活に根を下ろし、影響を与えてきたかを知ってほしいのです。 知って、立ちすくむのではなく、どうか、仲間と繋がってください。
変えて行きたいという意思を持てば、必ず変わっていきます。 まずは自分の意識を開いて、思い込みという殻から出てください。命を守ることが3.11以降、本当に必要な仕事となりました。男も女も、自分の命、こどもたちの命、守るために知ってほしいのです。どうか、観終わって、終わりにしない、始まりのきっかけに、この映画がなりますように、と願っております。
鎌仲ひとみ
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