もあな保育園は、センター北駅から徒歩5分ほどのマンションの1階にあります。ぱっと見、ここが園舎!? 園庭は?? と感じてしまうかもしれませんが、もあな保育園に園庭はありません。毎日の外遊びは、保育園から歩いて10分ほどのところまでお散歩して、近くの緑道や公園を園庭として広々と使っているのです。
もあな保育園が掲げるコンセプトのひとつ、「森のようちえん」とは、自然環境の中で幼児教育や保育を行い、子どもたちの持っている感覚や感性を信じて引き出すという考え方だそう。
毎日お散歩へ向かうこの緑道はセンター北駅の北部に位置し、西は中川駅付近から東は北山田駅付近まで、その間にあるいくつかの大きな公園や広場をつないでいます。
小さな子どもにとってこの緑道は、大自然と言ってもいいくらいのスケール感!!
他にもセンター北駅周辺には公園がいくつも点在し、みんなが大好きな横浜市営地下鉄がすぐ脇を通る公園や、保存された古民家の建つ大塚・歳勝土遺跡公園へお散歩に出掛けることもあるようです。園庭が無くても、都筑区の豊富な地域資源を生かした園庭の仕組みに感嘆! 私も毎日息子に「今日はどこへお散歩に行ったの?」と聞くのが楽しみな日課になっています。
私が保育参加したこの日は、こんな風に一日が始まりました。
いつものようにみんなが登園して揃う朝9:30頃、先生の「お歌うたうよ?!」の声に、お部屋でそれぞれ遊んでいたお友達が集まってきて、手遊び歌を先生と一緒に歌い、その後、先生が一人ひとりの名前を呼びます。息子は1歳児クラスのどんぐり組さん。この日登園していたのは、12名のお友達。みんな自分の名前が呼ばれると、とっても嬉しそうに手を挙げてお返事をします。
その後、先生が「お散歩行くよ?!」と一声をかけると、それぞれのバックから上着と帽子を取り出し、はりきって準備を始めます。
クラスのみんなはまだ1歳?2歳の子どもたち。でも、次の展開をしっかり把握し、行動していて、お散歩がみんなにとってどれだけ楽しみなものなのか、その様子で伝わって来ます。
緑道へ着くまでの道のりは、先生としっかり手をつないで歩きます。
私も息子と手をつないではりきって出発! すると、女の子のお友達が「たいき(息子の名前)ママ!!」と空いている片方の手をつなぎに来てくれました。
毎日息子の送り迎えでちょこっと顔を合わせているだけなのに、嬉しい……(笑)。つい顔がほころんでしまいます。
まっすぐ緑道を走っていく子、緑道脇の斜面を登り始める子、早くも何かを見つけ立ち止まって観察を始める子……みんなの興味はさまざま!
先生たちは好きに行動する子どもたちをすぐに制止するようなことはなく、子どものやりたいことを理解し、危険が無いよう見守っているようでした。
うちの息子は、さっそく緑道脇の花壇を見つけるとその前へ走っていき、何やらひとりでぼそぼそと言っていている……近づいて聞いてみると「パン屋さん!」とのこと(笑)。花壇に並んだ花をパンに見立て、パン屋さんごっこを楽しんでいるようでした。
そこへお友達が近づいて来て、お花を「いい子、いい子」と言ってなでなですると、息子やさらに他のお友達も寄って来て、みんなでいっせいになでなで……。2歳前後だとまだ言葉も片言で、遊びも一緒に遊ぶという感じではなくそれぞれですが、こういう関わり方で少しずづお友達との関係や距離感をはかっているのだなあ、と、とても微笑ましく見ていました。
と、私がそんな温かい気持ちに浸っているのも束の間(笑)、子どもたちの興味はすぐに次へ向かいます!
本当に、子どもたちの遊び方は無限大!!
子どもたちの様子を見ていて、大人があえて特別な何かを用意して与える必要は無いんだなあ、と実感。自然環境があって、温かいまなざしで見守る大人がそばにいるだけで、子どもは安心して自ら遊びを発見・創造し、そしてそれを十二分に楽しむことができる能力が備わっている……そう感じました。
緑道を歩く途中、一緒にお散歩をしていた園長先生が「くるみ組さん(1歳年上の2歳児クラス)はこの斜面を登って行くのよ。一緒についていく先生たちは登山靴を履いていかないと無理なの」と教えてくれたその斜面を見ると……崖と言ってもいいぐらいな急な斜面!
「へえ!私も付いて行くのは無理だわ」と感じてしまうほど。
来年にはここを登れるようになるのか……毎日のお散歩で身につけた体力で、子どもたちはおのずとたくましく成長していくのですね。
この日のお散歩の目的地は、東屋のある森に囲まれた静かな広場。園を出てから1時間ほどで到着しました。
東屋の脇にペコッと凹んだ何かある……近づいてみると、モグラの穴!!!恥ずかしながら、私はちゃんと見たのは初めて(笑)、いや、きっと今までは見ても気づいていなかった……子どもたちと一緒にいると、身近な自然の営みの多様さに気づかされます。
東屋では先生の持ってきたお茶を飲んで一服し、美味しい給食の待っている園舎へ戻ります。帰りも寄り道をしながら、保育園に着いた時には、出発してから1時間40分くらい経っていました。大人の私でさえもちょっと疲れたなあ、と感じるお散歩時間。いつもは、すぐ「抱っこ?!」の息子も、みんなと一緒に最後まで歩ききり、そんな姿に母はちょっと感動。
「子どもの出来る力というは、常に大人の思っている以上なのだな」と思いました。
保育園では期待通りの美味しい給食が待っていました。
もあな保育園のコンセプトのひとつでもある「食育」。園舎内にある給食室でつくられており、生活クラブ生協の食材や地元の有機野菜を扱う八百屋さんから仕入れた野菜を使った、こだわりの給食です。
日替わりで、豚肉・お魚・鶏肉の日というのが決まっていて、週1?2回はベジ(菜食)の日という、野菜だけのメニューが並びます。
また、給食を食べる時に使っている机は、栗駒高原から伐り出された木を使った、なんと一枚板の机! 園内の床や壁、棚に使われているのは杉の無垢材で、木のぬくもりを感じるホッとする空間が子どもたちを優しく包み込んでいます。もあな保育園の3つ目のコンセプトである「木育」として、木に親しむ空間づくりに配慮しているのがうかがえます。
今からちょうど1年ほど前、私は息子を保育園に預けるか、とーっても悩んでいました。自分と周囲の状況を色々考えた結果、通わせることに決めましたが、人一倍ママっ子だった息子を引き離し預けるという選択に、はじめは少し後ろめたさも感じていました。
しかし、保育園でのお散歩、先生やお友達について、楽しそうにお話してくれる息子を見て、今ではすっかりそんな気持ちは吹っ飛びました。
保育園に通ううちに体力がついて、食が細かったのがモリモリ食べるようになり、泣いてばかりいたのが陽気な性格になり……と、どんどん変化を見せてくれる息子に驚いています。
しかし、たとえどんなに素晴らしい保育園に通っていたとしても、家庭生活がおろそかになってはいけない、とも感じています。子どもは親の影響を多分に受けるもの。働くお母さんは本当に大変ですが、決して子育てが保育園任せになってはいけないなあ、と日々思っています。
家庭と保育の場が手をつなぎ、一緒に子どもを育んでいくことが子どもの未来にとって、とても大切なことなのではないかと思います。だからこそ、ともに手を携えていける「もあな保育園」出会えて本当によかった。そして、日々子どもと向き合い保育をしてくださっている先生たちに感謝でいっぱいです。
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