あおばの美味しさたっぷりのプレートを召し上がれ。江田「maaru」
野菜プレート(1000円)。野菜は、はやし農園、グリーンと、保木と恩田に畑を持つポヤポヤ有機菜園から。お肉は生活クラブから山口県の秋川牧園のものなどを使用。平日のランチはこの他にカレーなども
昨年夏、「地元野菜が食べられる素敵なお店がオープンしたよ」と、たくさんの方に情報をいただいていたそのお店こそ、青葉区荏田北の「maaru (マアル)」。念願叶って、やっと出かけることができました。プレートいっぱいの野菜の生産者は、森ノオトでおなじみの方ばかり。おかげで、初めてなのに慣れ親しんだ場所のようにリラックスして、楽しいランチタイムを過ごしてきました。(text:中島美穂)
料理担当の菜穂子さんが店の看板をイメージしたときに浮かんできたのが「maru」の文字。同名の既存店があったので一文字加えて「maaru」に。なんとも不思議! でも好きです、その感覚(笑)

料理担当の菜穂子さんが店の看板をイメージしたときに浮かんできたのが「maru」の文字。同名の既存店があったので一文字加えて「maaru」に。なんとも不思議! でも好きです、その感覚(笑)

 

私がmaaruを訪ねたのは、2月の中旬。首都圏に記録的な大雪が降った直後のことでした。いつもなら車を飛ばして行くところですが、路面の状態が心配で徒歩で向かいました。うかがった住所は、なんと毎日のように車で通っている場所! 田園都市線江田駅から2分ほど、通りをゆっくり歩いて、ちらりと小道をのぞいてみたら、ナチュラルでお洒落な店構えのmaaruを見つけました。スピードに頼っていると、見落としてしまうことがあるんだなあと、ちょっぴり反省しながらも、大雪にギフトをいただいたような気持ちで、ウキウキと木の扉を開けました。

テーブル席の他に、一枚板のカウンターも。おひとり様でも気兼ねなくくつろげそう

テーブル席の他に、一枚板のカウンターも。おひとり様でも気兼ねなくくつろげそう

 

店内はとてもお洒落! 木がたくさん使われていて落ち着く空間です。オーナーの安良城慎也さんが、昔アルバイトをしていた先の大工の親方と相談しながらつくりあげました。テーブルや椅子もオーダメイドなので、空間にとてもよく馴染んでいます。優しい風合いの白壁は、安良城さん自ら漆喰を塗って完成させたそうです。

 

横浜で生まれ育ち、十代の頃から自分のお店を持つことが夢で、食べることも飲むことも大好きだった安良城さんが、maaruをオープンさせたのは自然な流れのように感じますが、実は途中で福祉の道に入っています。

 

安良城さんのおじいさんが身体を壊したことをきっかけに福祉を学び、働くことになった先は、私が先日取材させていただいた社会福祉法人グリーン。

 

グリーンの職員として過ごした8年間を経て、障がいのある方たちがつくる野菜をもっと地域で食べて欲しいという想いも胸に、若い頃からの夢であった飲食店をオープンさせたのです。

 

オーナーの安良城慎也さん、菜穂子さん夫妻。5歳と1歳のお子さんの子育てをしながらがんばっている

オーナーの安良城慎也さん、菜穂子さん夫妻。2人のお子さんを育てながらがんばっている

 

お店をオープンさせるうえで、客層を考えた時に浮かんだのが奥様の菜穂子さんの姿でした。菜穂子さんのように小さな子どもがいるお客さんが、安心して食を楽しめるお店というコンセプトが自然と生まれました。

 

安良城さんと料理担当の菜穂子さんが一緒に考えたメニューには、できる限り地元青葉区産の野菜を使い(時季的に入手困難なものはナチュラルコープや山口県の問屋さんなどから購入)、調味料は天然醸造のものを使用し、白砂糖や精製塩、添加物は使わないというこだわりがあります。

 

夜は、お仕事帰りの方にもリラックスしてもらえるように、地元の名店・荏田南の平野弥さんのアドバイスで揃えたワインを中心に、ビールや焼酎、ウイスキー……など、お酒を楽しむことができます。お肉料理やパスタなど、お酒に合うお料理も提供しています。

 

野菜プレート(1000円)。野菜は、はやし農園、グリーンと、保木と恩田に畑を持つポヤポヤ有機菜園から。お肉は生活クラブから山口県の秋川牧園のものなどを使用。平日のランチはこの他にカレーなども

野菜プレート(1000円)。野菜は、はやし農園、グリーンと、保木と恩田に畑を持つポヤポヤ有機菜園から。お肉は生活クラブから山口県の秋川牧園のものなどを使用。平日のランチはこの他にカレーなども

 

私がこの日いただいたのは、ランチタイムで人気の野菜プレート。出て来た瞬間に、思わず「ほう!」と声が漏れてしまうほど、美しい野菜がたくさん乗った一皿です。

 

料理の説明を受けると、知っているお名前がたくさん出てきました。はやし農園さんのニンジンのラペやネギのマリネ、グリーンのカブの蒸し焼き、spice+artsのスパイスで味付けしたサモサ……ほとんどの料理から森ノオトでおなじみの方々の笑顔が浮かびます。これぞ地産地消! 自然と両手を合わせて「いただきます」と、生産者さんやつくってくれた菜穂子さんへの感謝の気持ちが湧いてきました。

 

お皿の中に、煮込みや揚げ物、マリネ、ナムル、漬け物、サラダ……野菜を美味しくする工夫がいっぱい。どれも素材の持つうま味を引き出すように、味付けはシンプルです。旬の滋味溢れる野菜も、菜穂子さんが出産した助産院・バースあおばで出会ったという酵素玄米も、カラダにじわーっと沁みるようなお味でした。しみじみと味わっていると、

 

「中島さん、これは何かわかりますか?」

と、ニコニコ訪ねる菜穂子さん。

えー! もしや!?

 

「実は森ノオトのファンなんです」と言う菜穂子さんは、以前私が「もったいないレシピリレー」という連載でレシピを紹介した昆布のつくだ煮も添えてくれていたのです。なんとも感激でした。

 

ランチ後のプチデザートは、ひとつ100円! 写真上から時計回りに、チーズケーキ、ティラミス、チョコバナナパウンドケーキ。香りよく深い味わいのコーヒー(ランチドリンク200円)と一緒に

ランチ後のプチデザートは、ひとつ100円! 写真上から時計回りに、チーズケーキ、ティラミス、チョコバナナパウンドケーキ。香りよく深い味わいのコーヒー(ランチドリンク200円)と一緒に

 

「オープン当初はまだ不慣れで料理の提供に時間がかかり、お客様をお待たせしてしまうこともありました。今は改善して、確実に良くなっています。これからも自分たちのペースでできることを着実にやっていきたいです」と安良城さん。いただいたお料理からも、等身大の誠実なココロが伝わってきました。

 

今後の夢を聞いてみると、「街づくりにも関わっていきたい」とのこと。11月に発足した江田駅周辺商店会に参加し、「来ることが楽しみになるような街にしよう」というコンセプトのもと、事業者同士の横のつながりを大切にしながら街を盛り上げていこうと、地域メンバーと話し合いを重ねているそうです。「いつかはマルシェを開いたり、江田コロッケのような名物もつくってみたいですね」と楽しそうに話してくれました。

 

また、

「8年間お世話になったグリーンへの恩返しもしたいです。野菜をお願いする以外でもいずれは就労支援などできれば」

とも。オープンしてまだ1年も経っていないmaaruですが、これからじっくりと根を伸ばして地域に無くてはならないお店になるのではないかな、ふとそんな気がしました。

 

共感することが多く共通の知人も多かったので、初めてお会いしたような気がせずに話が盛り上がり、ついつい長居してしまいました。

 

お子様プレート(500円)もあり、事前に相談すればアレルギーをお持ちのお子さんや、ベジタリアン対応の食事も用意してくれるそうです。

 

今度はぜひ、家族や友人と訪れてみたいお店でした。

Information

野菜とワインのお店maaru(マアル)

住所: 横浜市青葉区荏田北3-3-1

TEL: 045-482-9884

営業時間: 11:30〜14:00、18:00〜24:00(日曜日のディナータイムのみ17:00〜23:00)

※お弁当の注文も応相談(要予約)

https://www.facebook.com/maaru.eda

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