今回は5年前にあざみ野でさくら工房を創業された、櫻井友子さんをご紹介します。
(写真/さくら工房)
「青葉区はあこがれの土地だったのよ」と話す櫻井さんが、あざみ野に暮らし始めたのは13年前のこと。そして5年前に、同じくあざみ野に「さくら工房」を会社として立ち上げました。昨年12月には、会社兼工房を市が尾に移転し、現在7名の女性スタッフを抱える女社長の櫻井さんです。
櫻井さんが会社を立ち上げる以前は、20年以上にわたり、個人事業主として“グッドフードハンター”と自らを名乗り、企業で調理器具のプレゼンテーションを行っていました。その間に結婚・出産を経験し、現在25歳のご長男と22歳のご長女がいらっしゃるお母さんでもあります。
お子さんが幼少の時から社会に出て働き続ける生活のなかで、ご自身に課したのが「子どもの食事は必ず自分の手でつくる」ことでした。実際にはかなり高いハードルであったそうですが、子どもに寂しい思いをさせてしまっている負い目を、“食事”でカバーしてきたと言います。そして今でも、食事は手づくりを続けています。
櫻井さんが子育てをしながら働き、強く感じたことは、「女性は子育てをしながらも社会に出て、どんどんキャリアを積んでほしい!」ということでした。
そして女性の社会進出のお手伝いと、子どもの未来のために何かできないか……と考えるようになり、「食」に特化した事業を始めます。
櫻井さんは、「安心安全な食を通じて、こどもたちに“本当の舌”をつくること」をテーマに定めました。
そのために、子どもたちに「楽しんで食べてもらえるものは何か」「豊かな食卓を提供できるものとは何か」を考えました。
櫻井さんが考える“豊かな食卓”とは、<コミュニケーション>、<音>、<色>、<会話>、<笑い>が揃っている食卓です。
そして、「楽しんで食べる」+「豊かな食卓」を表現する手法として、「お菓子」を選びました。
では、どんなお菓子をつくろうか……
いろいろ調べているうちに、あることが分かったのです。
どの家庭にもたいてい、シフォンケーキの型があるのに、実際にシフォンケーキをつくっている家庭はわずかだったのです。
「子どもにつくってあげたいからシフォンケーキの型を買ったけれど、上手に焼けないからつくらなくなったってことでしょ。じゃあ、私たちがつくりましょう!と」(櫻井さん)
シフォンケーキは食べ物の味がストレートに出るお菓子。それだけ素材選びが重要です。
日本人にはお米を食べてもらいたい。だから、
さらにオーブンを使わずに、じっくりと、ふわふわのシフォンケーキを焼き上げる独自の製法も開発しました。
さくら工房ではこれまで、60種類ものシフォンケーキを商品化しています。
シフォンケーキに旬の素材を使うことで、こどもに旬を知ってもらえます。素材にこだわることで、自然の味をわかってもらえる「本当の舌づくり」ができます。
さくら工房のシフォンケーキには櫻井さんのさまざまなメッセージが込められているのです。
さくら工房は、「本当の舌づくり」のプレゼンテーションの場として、東京・赤坂のアークヒルズの「ヒルズマルシェ」に毎月出店しています。
「ヒルズマルシェ」は、森ビルが周辺住民のために始めた事業で、都会のオアシスとして人気のマルシェです。小池も先日遊びに行きましたが、天窓からやわらかい陽の差す、おしゃれで、気持ちの良いマルシェでした。
森ノオトの地元のマルシェである「あざーすあざみ野マルシェ」にも、さくら工房は毎回出店しています。
市ヶ尾町に会社兼工房を移してから、新しい事業として、企業給食を始めた櫻井さん。週3回、1日150食、メインディッシュと4品の副菜を提供しています。
この企業給食の面白いところが、「ご飯は自分たちで用意してね!」というところ。そのため、提供する企業の各営業所に炊飯器を用意してもらいました。
これには櫻井さんの想いがあります。
ご飯を炊き、器に盛るひと手間があるだけで、“お弁当が食事になる”と考えるからです。そんな粋なアドバンテージを与える櫻井さんの企業給食は、「おいしい → おなかや気持ちが満たされる → 健康状態が上がる → 良い仕事につながる」という相乗効果がある、といいます。
子どもの舌づくり、働く人のよりよい食環境づくりを実践する櫻井さんは、現在青葉区でおばんざい屋(京都でいう「おかず」のこと)さんの開業を目差して準備中だそうです。
働くお母さんや子どもたちのために、おばんざい(食事)を提供したい櫻井さんは、
「おひたしに、おかかを振るだけでもよいから、最後のひと手間はお母さんにやって欲しいの!」
と笑顔で語ってくれました。
おばんざい屋さんのオープンがいまから楽しみです!
【hitomi’s point】
憧れの青葉区、あざみ野で会社を立ち上げたものの、これまで青葉区での活動が少なかったという櫻井さん。昨年12月に市ヶ尾町に会社兼工房を移転されてから、青葉区でいろいろなご縁が生まれています。企業給食もそうですし、おばんざい屋開業、そして森ノオトもそうでしょう(ですよね!?櫻井さん!)。世のため、人のために、生涯現役でいたいと、常に“気”を上げる努力を惜しまない櫻井さんが、今度地元青葉区でどんな活動をされるのか、目が離せません!
櫻井さん、お忙しいところ取材にご協力いたきありがとうございました。
さくら工房のHP
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