ひとつながりの自然、ひとつながりの地域社会
一般的な総称としての里地・里山に対して、その地形や形状から谷戸田・谷戸山と言われる箇所がある。同じ「寺家ふるさと村」と呼ばれる場所でも、横浜市側のふるさと村を里山とすれば、町田の三輪町側は、谷戸山と言っていいだろう。町田市の説明では、「谷戸山とは、現在一般的に使われるようになった里山と同義の言葉だが、谷戸地形を基本単位とする町田市の自然環境の特性を捉えて、谷戸山と表現する」としている。(Text:木村広夫)

里地・里山と、谷戸田・谷戸山。

 

 

 

本来、日本の稲作はこのような地形(谷戸)を利用して始まり、その後、平地に灌漑を整備した大規模な稲作へと変わって行った。効率よく生産性を上げるための技術革新は、重労働を強いられる農家の負担軽減に大きく貢献した。しかし、日本の国土の狭さや、独特の地形や風土を考えたとき、先人たちの智恵や工夫を伝承してきた日本古来の稲作の中に、日本の誇れる“稲作文化”(culture)と言えるものが包含されているのではないか。

 

唐突だが、私は日本人が好きだ。日本の文化が好きだ。日本の文化を語れるほど知識も教養もないが、今、同じような意識を持った若者が増えていると思う。戦後65年が過ぎ、ようやくそのトラウマから解放された、ニューエイジが生まれてきたのだと思う。

 

三輪の緑地開発について

 

 

町田市の「三輪緑地(仮称)公園緑地開発構想」は、2007年度に基本構想が策定され、数回の地域住民との説明会やワークショップが開かれ、2009年度にその基本理念、テーマ、方針が見直された。ここに、その資料から一文を掲載する。この基本計画案は2011年の今でさえも、町田市から広報はされていない。

 

  • 基本理念

三輪緑地の有する郷土の自然及び歴史的文化特性を踏まえ、多様な生きもののすみか「三輪の森」を地域と協働しながら守り・育て、豊富な歴史・自然の中で営まれていた谷戸山生活に学び、次世代へと引き継いでいくことを目的とする。

 

【基本テーマ】

人とみどりと歴史をつなぐ「自然の宝庫・三輪の森」の継承

 

  • 基本方針

・貴重な自然環境と地域固有な歴史的環境を、将来にわたり三輪の森に継承する。

 

…現況植生(土地利用)の再生と保全を大きな目標においた植生管理計画にもとづき、周辺緑地との生態ネットワークの中核となる、より豊かな生物相の育成・維持を図る。

 

・現状の多様な生物のすみかを守り・育てることを目的とする。

 

…上記土地利用に必要となる施設整備にあたっては、改変による自然への影響を最小限にとどめ、一般利用者は衛生管理計画の範囲で管理作業動線を供用する計画とする。

 

…地域に営まれてきた谷戸山環境文化に学び、次世代へと継承し情報発信する。

 

…中・長期的な植生管理目標にもとづく指標生物種など分かりやすい管理マニュアルを共有しモニタリング結果を見合いながら、町田市谷戸山環境文化のネットワーク形成に資する、順応的施設整備・維持管理を行う。

 

  • 将来像

・木々や野草の花々、昆虫や野鳥など多様な野生小動物が彩りを加える三輪の森の活き活きとした景観は、三輪らしさを形成し、寺家ふるさと村とともに地域を代表する景観

 

・持続可能な地球に優しい地域環境管理活動の貴重な実験フィールドであるばかりでなく、小中学生環境学習、さまざまなエコライフ活動シーンも取り込み、幅広い谷戸山保全

 

・周辺地域の緑と一体になって、三輪ならではの生物生態系を形成し、生物多様性社会の進展に貢献する地域の自然環境・生物生息データ、歴史文化の博物館

 

(※ 本コラムではたびたび、この構想についての見解や提案について述べてきました。ここで改めて、三輪緑地公園緑地開発構想に関するNPO法人農に学ぶ環境ネットワークのスタンスと提案についてご一読いただけると幸いです)

 

 

  • 里山の再生は、農の再生から(2011年1月28日)

http://www.morinooto.jp/manabi/kimura/post-117.html/

 

  • 今こそ、農ある里山の再生を!(2010年7月23日)

http://www.morinooto.jp/manabi/kimura/post-54.html/

 

  • 寺家ふるさと村に隣接する、町田市三輪町の緑地が開発?(2010年1月20日)

http://www.morinooto.jp/morijoho/dengonban/post-17.html/

 

  • 里山の再生は、農の再生から(2011年1月28日)

http://www.morinooto.jp/manabi/kimura/post-117.html/

 

  • 今こそ、農ある里山の再生を!(2010年7月23日)

http://www.morinooto.jp/manabi/kimura/post-54.html/

 

  • 寺家ふるさと村に隣接する、町田市三輪町の緑地が開発?(2010年1月20日)

http://www.morinooto.jp/morijoho/dengonban/post-17.html/

 

川崎市、横浜市、町田市3市連携緑地保全プロジェクト

 

自然環境は、ひとつながりで、鳥たちや、いきものが自治体の違いにより生息範囲を制限されることはない。それぞれのテリトリーはあっても、横浜市の鳥は、町田市の木の実を食べてはいけないことはない。

縦割りの行政により地域住民へのサービスは向上し、生活環境は大きく改善された。特に首都圏の中でも市街化の進行が著しい川崎市、横浜市、町田市は行政サービスに関しては一定のレベルに達している地区と言えよう。

そんな中、町田市の三輪緑地開発計画を機に、地域住民の横のつながりが求められるようになった。都市部にありながら、奇跡的に残されたこの貴重な自然環境の重要性を、みんなが認識する必要がある。まずは情報を共有し、市民参加の協働プロジェクトとして、多くの智恵と労力を結集し、今後の三輪緑地の開発を意義あるものにして行きたいと思う。

Information

問合せ先:特定非営利活動法人 農に学ぶ環境教育ネットワーク

※川崎市、岡上・早野地区。横浜市、寺家・恩田・奈良地区。町田市、三輪地区、での環境保全活動をされている個人・団体とのネットワークを構築します。興味のある方、参加を希望される関係諸団体の問合せをお待ちしております。

 

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