「シェアカル」が地域の「支え合い」をつくる!?
自分の得意なことが、誰かの役に立つ!? 趣味が高じて仕事になる? たまプラーザで始まっている「シェアカル」というサービスに、全国的な注目が集まっています。シェアカルの仕掛け人・藤本孝さんにお話を聞いてきました。

「おしゃべりしながら編み物しませんか? 1レッスン2時間1000円」

「麻雀教えます 1時間500円」

「アロマでおしゃべりティータイム 1500円」

「お店やおうちの窓にちまちま絵を描きます 1m2あたり10,000円」

「肩首マッサージ 10500円」

シェアカル恒例の情景。テーブルにずらりと並ぶPOPを眺めながら、3丁目カフェの美味しいランチを食べ、来た人と会話が弾む

ここはたまプラーザのコミュニティスペース、3丁目カフェ。壁一面にずらりと貼られたカラフルなPOPに、「◯◯教えます」「時間と金額」「出品者の名前と顔写真」「氏名記入欄」があって、同じPOPがテーブルに並びます。

「あ、私、家の無線LANが調子悪かったんだ……! 教えてくれる人がいるなら、頼んでみようかな」

「大人の国会見学ツアー、普段行けないところにも入れるって? 興味あるなあ」

「ポートレート撮影、13,000円なんだって!? これなら気軽に頼めるね!」

などなど、そこに来た人と会話を楽しみながら、気になるPOPに名前を記入していきます。

シェアカル開催前には、「出品」のPOPが壁一面に張り出される。ここで予約をすることもできる

シェアカルを仕掛けているのは、合同会社たまプラ・コネクトの藤本孝さん。定年退職を前に、自宅にほど近いたまプラーザでおこなわれてきた「次世代郊外まちづくり 住民創発プロジェクト」に参画し、地域共助システム(地域で困った人を支え合う仕組みづくり)の構築を模索し続けてきました。

「そもそもは、困っている人を地域の方が助ける仕組みをつくりたいと思っていました。でも、調査をしているうちに、例えば引きこもりの高齢者は、アルツハイマーやごみの処分など、なかなか重い問題を抱えていて、地域の人には頼みづらいと思っている。子育てママの送迎支援などを考えても、すでにシッターさんなどのサービスを使っていて、地域の困りごと解決には、お金で解決できるドライな人間関係の方が、現代の日本社会にフィットすることがわかりました」(藤本さん)

そこで、方向転換をして、「地域の人が持つ得意なこと、スキルを、地域の人に伝えるスタイルの方がいいのではないか?」と考え、かねてから温めていた構想を「サイレントオークション」という形でスタートさせたのが、ちょうど1年前の2016116日。場所はもちろん3丁目カフェで、中央にテーブルを並べて、オークション方式で最高落札価格を勝ち取った人が、そのサービスを受けられるというものでした。

ところが、オークションだと、出品者と落札者の、11の関係になってしまいます。出品内容には、「英会話教えます」「大人の社会科見学ツアー」「バーベキュー」など、複数人で参加する方が楽しいものも多く、申込者が殺到するサービスが出てくるように。

「同じ価格で、何人かでシェアしたい!」という要望が多く出たことから、その年の夏には、複数人数で手を挙げ、その場をみんなで共有する楽しみがある、今の「シェアカル」のスタイルに落ち着いたのは、半年ほど試行錯誤した昨年8月のことです。

キタハラも幾つかのサービスを申し込んだ。それぞれと日程調整する楽しみも

シェアカルから、たまプラーザのスターも生まれています。お嬢さんのために趣味で帽子をつくっていた女性が、「帽子づくりを教えます」という出品をしたところ、人気が殺到し、一時期たまプラーザの男性の多くが、彼女の帽子をかぶる現象が見られるようになりました。瞬く間に、まちの人気教室に成長していった事例です。

ほかにも、たまプラ一座を主宰する林月子さんのお弁当が美味しそうだと評判になったことから、林さんのお弁当を食べたいと希望が集まってシェアカルの人気メニューになったり、プロ顔負けの料理の腕前を持つ藤本さん自身の「たかっし〜のアジアンクッキングパーティー」は、毎回メニューを変え、たまプラーザの華やかな顔ぶれが集まる会になり、そこから新たなプロジェクトの芽が生まれたり……と、「シェアカル」がたまプラーザの人をつなぎ、文化を掘り起こして形にする、大きな一助になっているのを感じます。

「ヤマクミ」こと山本久美子さん。この2年で、地域活動に参加すればヤマクミさんにバッタリ! という人が増えているほど、「地域の顔」になりつつある

「毎回おもしろいネタを考えてくる人がいるんですよ」と、藤本さんが紹介してくれたのは、2年前にたまプラーザに引っ越してきた山本久美子さん。

「次世代郊外まちづくり 住民創発プロジェクト」の発表会をたまたま聞きに行ったことがきっかけで、「たまプラ一座」のメンバーになり、今ではすっかり地域に溶け込んでいます。シェアカルも常連で、毎回おもしろい企画を出しては、みんなに楽しく突っ込まれているそうです。

「私が出品できるものなんて、何もない、ない、って言っていたら、何かあるでしょう”“ちょっとくらいあるでしょうって、いつも引き出してくれるのが、たかっし〜(藤本さんの愛称)。だから、毎回、みんなと何しようかなあ、おしゃべりできるといいなあと思って、いろんなテーマを考えてはお茶会という形で出品しているんです」と、山本さん。

「ここ(たまプラーザ)で仲間と出会えたことで生まれた自信が、何よりの宝です!」と、とびっきりの笑顔で語ってくれました。

もともと大手広告代理店で多くのWebプロモーションを手がけてきた敏腕プロデューサーだった藤本さん、目指すところは大きく、今後は「シェアカル」を大きく育てていきたいと目論んでいます。すでにメディアやテレビにも数多く取り上げられて、注目度が高いシェアカルの仕組みをたまプラーザから「輸出」して、やはり目指すところは、「趣味つながりから発展して、生活のサポートをする仕組みにしていきたい」とーー。

「たかっし〜」こと藤本孝さん。クールさが持ち味だが、「たまプラ一座」の参謀(?)になってからは、子どもたちにも「たかっし〜、たかっし〜!」と呼ばれて、ポーカーフェイスが崩れることも

シェアカルは11月より、「シェアカルex(イーエックス)」という新規展開を始めました。イーエックスとはexperience(体験)という意味で、申し込んでから日程調整するのではなくて、その場に来て実際に体験することのできるシェアカルです。次回は128日(土)で、3丁目カフェを会場に、里井美由紀さんによる多肉植物の寄せ植えや、テレビ体操番組に出演していた方による体操講座などのプログラムなどが随時おこなわれるほか、林月子さんのお弁当や、藤本さんのアジア料理の提供などもあって、食べて体験できるプログラムです。

夜の部は場所を改め、たまプラーザのジャズバーROLLINZ(ロリンズ)で、タロットやマヤ暦など、スピリチュアルなイベントが目白押し。多趣味で多彩なたまプラーザの人たちだからこその、豪華なメニューをお楽しみに。もちろん、通常の事前申し込み型のサービスもあります。

私も、シェアカルで、幾つかのサービスに申し込みました。大人の国会見学ツアーと、「たかっし〜のスマホアプリ講座」です。近日中に、ITの達人の藤本さんから、スマホを使ったタスク管理について、ご指導いただく予定です。

シェアするカルチャー、シェアする時間と空間、シェアする楽しさ……「シェアカル」が生み出す人と人のつながりが、きっと大きな「支え合い」に育っていく近未来が、すでに近くに見えている気がします。これからの発展が楽しみなサービスです。

Information

10回シェアカルex

2017128日(土)10:00-20:00

第一部(11:00-16:00):3丁目カフェ(軽食+1ドリンク 2,000円)

第二部(17:00-20:00):ROLLINS(ドリンク1 500円)

詳しくはFacebookページ

https://www.facebook.com/events/1843124975973293/

北原 まどか
この記事を書いた人
北原まどか理事長/編集長/ライター
幼少期より取材や人をつなげるのが好きという根っからの編集者。ローカルニュース記者、環境ライターを経て2009年11月に森ノオトを創刊、3.11を機に持続可能なエネルギー社会をつくることに目覚め、エコで社会を変えるために2013年、NPO法人森ノオトを設立、理事長に。山形出身、2女の母。
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