寺家の自然が先生!想像力と遊びの力を育むワークショップ
娘が通う「子どものワークショップ」は、寺家ふるさと村の自然を舞台に、子どもたちがのびのびと遊び、自然の素材を使っての創作ができます。いわゆる「習い事」のようなものとはちょっと違う、魅力あふれる活動内容をご紹介します。

「子どものワークショップ」の活動場所となる、寺家ふるさと村。四季折々に、自然の美しさを感じさせてくれる里山の風景が残る

 

訪れる度に、季節の移ろいを発見することができる。この日は、梅の花が咲いていた

春、寺家ふるさと村の草花も少しずつ芽吹き、小さな生物がもぞもぞと動き出す季節。

みんなで耕した畑に、じゃがいもやトマトなどの野菜を植え付ける。ひまわりの種を蒔き、育てた菜の花を摘んで、その場で茹でて味見をする。

夏、じりじりと照りつける太陽の下、子どもたちは汗だくになりながらも、全速力で駆け回る。

種を蒔いたひまわりが一斉に花開く。実ったじゃがいもを収穫し、子どもたちの手で調理をし、森の秘密基地でのじゃがいもパーティー。木や竹、木の実などを利用して小さな船をつくり、川に浮かべてレース大会。

秋、森は、訪れる度に落ち葉がつもり、田んぼは黄金色の世界に包まれ、にぎやかな夏の気配から次第に静かな世界へと変化していく。

子どもたちは、寺家の土を掘って粘土にし、それぞれの形をつくってゆく。その後、乾燥などの工程を経て、1年の締めくくりに炎で焼き上げ、作品ができあがった。そのももちろん、子どもたち自身の力で起こしたもの。火起こしの道具づくりから、材料集めも、日々の活動で。

冬、冷たい空気に包まれ、寺家ふるさと村の自然がいっそう澄み切って見える季節。足元を見ると、真っ白な霜がかかった葉や氷の水たまりができている。

子どもたちは、「たたく」という動作を通して、オリジナルの作品づくり。鍛治をして、自分のバターナイフをつくる。自然の素材で筆をつくり、寺家の雪解け水での書初め。

……四季を通して、こんな体験をさせてくれるのが、子どものワークショップです。寺家ふるさと村で20年以上活動を続けています。

子どもの習い事というと、何かの技術や知識を教える「◯◯教室」というイメージがありますが、ここではそうした教室とはちょっと違ったさまざまな体験ができます。寺家ふるさと村というフィールドを最大限に生かし、自然のフシギや造形美から、モノをつくったり、描いたり、遊んだりする体験があります。そこで過ごす時間、友達との関係から、子どもたちは知らずと何かを感じとり、発見する喜びにあふれているように思います。

ソダチの森で、収穫したじゃがいもを味わうパーティー。子どものワークショップの代表である浦部利志也先生は、いつも子どもたちの側でその言動をあたたかく見守っていてくれる

「何かひとつのことを教えるという形ではなく、大人はヒントを与えるだけ。そこから自らの力で考え、行動していってほしいという思いで、ワークショップをしています。その先には、決して正解があるわけではなく、さまざまなコトに発展していっていいと思っています。自分の好きなことや、ひとつのヒントから自ら考え導き出したことは、とても大きい。子どもたちは、ものすごくおもしろいことを考えますよ!」

この言葉の通り、浦部先生は、子どもたちと一緒になって遊び、自然を発見し、時々ヒントを与えて導いてくれる、まるで陽だまりのようにあたたかい存在です。

子どものワークショップの活動フィールドは、寺家ふるさと村・四季の家。四季の家に集合して、その後は、寺家の自然に飛び出します。雨の日は室内でしっかり造形ワーク。晴れた日は「ソダチの森」に行って、かくれんぼをしたり、道をつくったり、道具をつくったり。

子どもたちが陶芸でつくった個性豊かなお面が並ぶ、ソダチの森の入り口

ソダチの森は、水車小屋の手前にある「森」です。子どもたちがつくった陶芸の看板がお出迎え。中には、幾つかの道と広場、頂上には見晴台、ベンチやテーブル、キョーフのブランコなど、ちょっとした秘密基地のようです。

4年前、ここは笹薮におおわれた荒れ地でしたが、地主さんの好意で浦部先生が山を借り受け、保護者やボランティアと一緒に、少しずつ開削していきました。藪を払い、道をつくり、少しずつ場を整えていきました。入り口の階段は、子どもたちが踏みしめ、つくってきたものです。

頂上には、テーブル&ベンチもある。手前は、今年もう一つ増える予定の遊び場(制作中)。真夏でも、ここへ来ると、気持ちのいい涼やかな風が吹き抜ける

 

木材を運び、杭を打つことからスタートし、昨年、完成したばかりの広々としたデッキ。ここで、寝ころびながらの昼寝は最高!

 

夕陽が差し込むなかでの書道。墨をすり、自分でつくった筆で一気に書き上げる

子どもたちの、こんな遊び場をつくりたい! という希望に寄り添いながら、ソダチの森の中では自然のものを使って遊び場をつくっていきます。常に、何か楽しいこと、わくわくするようなことを考え、みんなで遊びながらつくっていく様子が目に浮かびます。

日頃の活動の中で、子どもたちが思いっきり楽しんでいるソダチの森ですが、年に数回、幼児から高学年までのクラス合同DAYや、じゃがいもパーティーなど、保護者も一緒になって楽しめるイベントもあります。

年末に行われたクラス合同DAY。幼稚園児から小学生、そしてその保護者も一緒に寺家の自然、ソダチの森を思いっきり楽しむ1日。この日の為に、子どもたちもクラス別に準備を進めた

 

デッキの上での動物将棋大会。子どもも大人も真剣! 太陽・風・木々の気配を感じながら、好きなことをする贅沢な時間

「学校の先生や友人でもなく、親でもない人と過ごし、自ら考えて行動できる場、自分らしくいられる場が全ての子にあっていいと思っています。ここでの活動を通して、自らが体験し感じたこと、発見したことを、子どもたちが成長し何かの時に、ふと思い出してもらえたら……。すっかり大人になった子が、訪ねてくれるのは本当にうれしいですね」

浦部先生のそんな言葉を聞き、娘をワークショップに初めて連れてきた日のことを思い出しました。工作が好き、自然の中で遊ぶことが好きという理由で体験させたものの、小学校1年生になったばかり。知っている人は誰もいない場所で、3時間ものワークショップは本当に大丈夫なのだろうか……。しかし、そんな親の心配はよそに、終わるなり娘がひと言。「ここに入りたい! 好きなことができるし、先生も好き!」

はじめて、自分から入りたい! と言ったことに驚きましたが、今ではその気持ちがとてもよく分かります。美しい自然の移り変わりから発見する出来事やモノをつくる喜び、なかまとの関係から感じること、そして、全てにおいて、こうした子どもの気持ちに寄り添いながら見守っていてくれる先生の存在。これら全てが子どもにとっては、居心地のよい安心できる場となっているのだと。

これは子どもに限ったことではなく、大人にとってもきっと同じなのだと思います。習い事の送迎という理由で、定期的に寺家ふるさと村を訪れ、時に一緒に参加すると、子どもと一緒に(それ以上に?!)心が穏やかになるのを感じます。

子どもの頃に、たくさんのこうした豊かな記憶を積み重ねていくことが、将来、何かの折に、きっとあふれ出るように自分を包みこんでくれるに違いないのではないでしょうか。

2月上旬。足元には、黄色の花をこっそりとのぞかせている福寿草が

そんな「子どものワークショップ」では、この春から、一緒に寺家の自然を楽しみ学ぶなかまを募集しています。年齢に応じてクラスが分かれ、できることの難易度が変わっていきます。曜日は固定されていますが、もちろん、振替も柔軟に対応してくれます。

そして、何より、会員の特典はソダチの森で自由に遊べること! 森ノオト編集長のキタハラは、仕事の途中で、時々育ちの森にのぼって、お弁当を広げることもあるらしい……とか。さらに、近くには旬のお野菜の直売所もあり、楽しみも盛りだくさん。子どもたちも、大人も、ぜひ、なかまになりませんか?

見晴台からの眺め。ソダチの森は、学校や社会になじみにくい子どものための開放日も用意している。詳しくはHPで

Information

子どものワークショップ

<活動場所>

寺家ふるさと村の四季の家とその周辺の自然環境フィールド

(横浜市青葉区寺家町)

<活動日>

萌組 2-4歳児の親子(毎月1回)

葉の組 4小学2年生(隔週土曜日13:30-16:30

樹の組 小学3年生以上(隔週土曜日13:30-16:30

風土組 5小学6年生(毎週、放課後の時間帯)

*詳しい曜日、時間等は以下ホームページをご参照ください。

<子どものワークショップの事務局>

住所:川崎市麻生区向原3-13-25

代表者:浦部利志也

TEL090-1215-0585

Emailjike@childws.com

HPhttp://www.childws.com/kodomo_ws/zidomonowakushoppu.html

清水 朋子
この記事を書いた人
清水朋子ライター
食べること、つくること、ワインとチーズ、焼酎を愛する食いしん坊。雑木林のような豊かな庭、愛するアンティークに囲まれた自宅の一角で、集会所+ときどき、喫茶として「Glänta(グレンタ)」を主宰している。小さな家の隅々まで愛おしみ使い尽くす、センスのよい暮らしぶりが注目を集める。
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