愛し、愛されることを学ぶ。人生で 大切な根っこを育てるかえで幼稚園
横浜市青葉区美しが丘にある「かえで幼稚園」の門をくぐると、子どもの頃にみた絵本のような世界が広がっています。ぬくもりのある園舎、木の遊具のある園庭。そして、何より優しく穏やかな先生たちが作り出す空気感。子どもが卒園したあとも、幼稚園という枠を超えて、今でも大好きな場所です。

取材に訪れた日、園長の大漉(おおすき)知子先生は「ようこそおいでくださいました」と、子どもが卒園した5年前と変わらぬ優しい笑顔で迎えてくれました。東洋英和女学院大学付属かえで幼稚園(以下、かえで幼稚園)の魅力の一つは先生たちの丁寧な物腰です。
かえで幼稚園は、園バスなし、給食なし、保育時間も短めという少々古風な幼稚園です。子育てに寄り添い、そっと手助けしてくれるこの幼稚園で過ごした3年間の思い出は、今でも私の心の中でぽっと温かな色を灯しています。

園児たちをいつでも見守っていてくれている園長の大漉先生。どの子のこともよく理解している

 

幼稚園は安心できる場所

初めての幼稚園探しは8年前。下の子が生まれたことで、長女としっかりと向き合えていないと感じていた私は、丁寧な子育てがしたいという思いを持って幼稚園を探しました。かえで幼稚園に初めて見学に訪れた日、保育方針に強く惹かれたのと同時に、園内に漂う、包み込むような雰囲気に心の底からもすっかり満たされてしまいました。「毎日の送迎やお弁当作りは大変だよ」という主人の言葉も耳に届かず、「絶対、ここに通いたい」と入園を決意しました。

いざ幼稚園生活が始まると、内気だった娘は周囲の子どもたちよりなじむのに時間がかかりました。
入園後しばらくは、娘は私から離れることができなかったので、私も保育室に入り一緒に過ごしたこともあります。ようやく保育室に一人で入れるようになってからも、幼稚園では一切おしゃべりをしないという期間が3カ月(!)も続きました。
不安でいっぱいの私の心の支えになったのは、お迎えのときに1日の様子を伝えてくれる先生の言葉と連絡帳でのやり取りです。
「みんなの様子をじっと見ていますよ」
「お話はしていないけれど、お友達と二人で手をつないでにこにこしていましたよ」
また、先生はこんな言葉もかけてくれました。
「一人ひとりの子どもにとって動き出す『その時』があります。焦らずに『その時』を一緒に待ちましょう」

大好きな先生と挨拶をしてから安心して保育室に入る。保護者にとっても先生と毎日顔を合わせて情報交換するこの時間が大切

あるとき、娘が作品名の書かれた工作を持ち帰ってきました。言葉を話さないのに、どうやって先生に作品名を伝えたのだろうと不思議に思っていると、「口をパクパクさせて教えてくれましたよ」と先生。
思わず笑ってしまいましたが、わが子の『その時』が来るのをゆったりと寄り添ってくれている先生に感謝の思いで胸がいっぱいになりました。娘も愛されて過ごすことで自信をつけたのでしょう。『その時』は少しずつ訪れ、夏休み明けからはお友達と仲良く遊べるようになったのです。初めて口を聞いた日、まわりの子が「しゃべれるんだ!」とビックリしていたことは今では笑い話です。

お弁当の時間

お弁当作りはちょっと大変……。というイメージがあるかもしれませんね。
私の場合は前日のおかずの残りとおにぎりという地味弁スタイルで3年間を通したので、大変さは感じませんでした。大漉先生はこう言っています。「特別なものでなくていいのです。ママの手作りのお弁当を開ける時の“わあっ!”という子どもたちの表情は本当に幸せそうですよ」

「いただきます」と感謝のお祈りの時間。お休みしているお友達のことも「早く元気になりますように」と神様にお祈りする。それにしても、楽しみなお弁当。待ちきれなくてニコニコしちゃう子どもたち

 

自由な遊びの時間と集いの時間

かえで幼稚園には「お勉強の時間」も「今どきのおもちゃ」も存在しません。その代わり、自由に遊べる時間と空間がたっぷりとあります。
キッチン付きレストランコーナーで葉っぱのジュースを作る子、ロングスカートをはいてお母さんごっこをする子、先生と相談しながらダンボールのお家を作る子、木登り(近くの大人に伝えてからという約束があります)に挑戦する子……。
さまざまな遊びが日々繰り広げられています。
「子どもが子どもの時を生きていると思われる、遊びの時間ですよ」と大漉先生は言います。

みんなの遊び場でもある木工室。先生と一緒に電動のこぎりも使える。下の学年の子どもたちは「大きくなったら自分もできる!」と憧れてその時を待つ

自由な遊びの時間の他に、集いの時間があります。
その時間はクラスの仲間たちと一緒に過ごすことを楽しみます。ドッジボールやフラフープ、工作、絵本を元にして劇をするクラスもあります。

大好きな絵本を題材に遊ぶ子どもたち。森のおばけ?に食べられないように「みんな先生にかくれて!」

キリスト教を保育の基盤としているかえで幼稚園では週に一度の礼拝がある。先生から聖書のおはなしを聞いたり、賛美歌を歌ったりと落ち着いて過ごす時間。聖書からは自分は愛されている存在だということを知り、安心して感謝して生きることを学ぶ

 

遊びの延長線上にある運動会

秋になるとかえで幼稚園らしい「毎日の運動会」がはじまります。
それは外遊びの延長線上にあります。その日、「やってみたい!」という子どもたちが、リレーや玉入れ、綱引きなどを楽しみます。日に日に仲間が増え、年長組の子どもたちがリーダーとなりプログラムを組み、やがて小さな運動会が開催されます。

外遊びも元気いっぱい。みんなでフラフープ

 

サンタクロースのいないクリスマス

冬の気配が感じられるころ、かえで幼稚園にも少しずつクリスマスが近づいてきます。これはイエス様の誕生を祝うクリスマス。子どもたちはイエス様が誕生した時のお芝居(ページェント)を遊びながら覚えます。そして、クリスマス礼拝の日は親子で静かに集います。
「サンタクロースのいないクリスマスですね」と大漉先生に伝えると、「サンタクロースは隣人を愛せよという聖書の言葉から生まれたのでしょうね」と教えてくれました。

キャンドルを灯してクリスマスを祝う。その日は母と子がそれぞれに用意したプレゼントを交換する。愛し、愛されていることを確認できる温かな時間だった

“本物”に出会う体験を大切にしているかえで幼稚園。先生たちの本格的な変装と熱のこもった演技に大人も目が離せない(中央にいるのが大漉先生)

 

「かえで幼稚園」の保育

かえで幼稚園の保育は、子どもの根っこの部分を育てる保育。心と体をたくさん使って遊ぶこと。他人を思いやり、愛し、愛されていることを知ること。また待つこと、がまんすること、感謝すること……など人間としての大切な部分を学ぶ時がちりばめられています。
大漉先生はこう言います。
「お母さんはまずはご自分が愛されている存在だということに気づいてほしいと思います。そして、一人ひとりに子育ての力は備わっているのです。子育てという仕事はとても価値のある社会貢献です。誇りと使命感と喜びを持てるよう、私も共に歩みたいと思います」

かえで幼稚園では先生と保護者が協力し合って子どもたちを育てていきます。それは、「丁寧な子育て」をしたいと考えていた私には、本当にぴったりの場所でした。
一緒に登園することで子どもと向き合う時間が増えました。また、先生方の、子どもたちとの「丁寧な接し方」は、毎日見ることで、少しですが自分の中に取り込めたかなとも思います。
「子どもの『その時』を焦らずに待つこと」「その子の今を受け止めて寄り添うこと」など、かえで幼稚園からもらった言葉は、今も私の子育ての軸となっています。

最後に大漉先生から教えてもらった「聖書のみことば」を載せます。

『いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。どんなことにも感謝しなさい』
テサロニケの信徒への手紙Ⅰ
5:16〜18

 

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Information

東洋英和女学院大学付属かえで幼稚園

225-0005

横浜市青葉区美しが丘3-46-8

TEL 045(901)8423

FAX045(901)1941

アクセス

駐車場はございません。徒歩、また自転車でおいでください。

または、たまプラーザ駅北口よりバス(虹ヶ丘営業所行き)に乗り、三つ目の「平津」下車。

バス停より徒歩3分、美しが丘中学校隣接

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この記事を書いた人
山田麻子ライター
横浜市青葉区在住。中学生女子、小学生男子の母。料理の仕事歴25年以上。管理栄養士。森ノオトでの初めての取材をきっかけに、絵本、詩、素話に出会い、その世界の虜に。以来、絵本と飲み物やお菓子の相性を考えるのが楽しみに。図書ボランティア活動、おはなし会のお菓子作りなどに心ときめく。現在の夢は「語り手」になること。 ブログ:スマイル*ごはんを始めよう
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