梅原さんのエネルギー夜話・その6 エコリノベーション
エネルギーの講座などで様々な家庭のエネルギー事情を知るにつれ「普通の暮らし」といっても人それぞれ、バラエティに富んでいると感じます。家族の人数や、健康状態との関係性、そして住まいの構造と性能。もっと快適な暮らしのために住まいの「断熱」という視点は欠かせません。
(この記事は、消費者力アップ県民提案事業の委託事業の一環でお届けしています)

今年は、横浜市建築局の住宅部が進めている、エコリノベーション推進事業について、建築家の佐々木龍郎さんにお話を聞く機会をつくりました。

 

家の中が寒すぎたり、暑すぎたり、また寒暖の温度差があり過ぎると、私たちの体は不快を感じ、時にはそれが元で命を落とすこともあります。省エネとかエコというよりもむしろ、「健康を守る」という面から、断熱ってすごく大事なんだと、改めて学ぶことができました。素人の私たちがあれこれ言うより、現場を知っているプロが言う言葉には説得力があり、エネルギーの講座を行っていく上で、とても勉強になりました。

 

しかし、断熱性能が高い家というのは実際に体験してみないと分からない、という面があります。うちは風呂場が寒い、廊下が寒い……等々、悩みはあっても、そういうものだと思っていると、なかなか行動にはつながりません。

 

森ノオトでは、住まいの断熱について、様々に情報発信してきました。

 

天井断熱DIYによる窓断熱などなど。それは、良い工務店にしっかりした素材で家を建ててもらう、という消費行動を促すためという理由が一つ。もう一つは、素人でも住まいづくりに参加できること、つまり、考え方次第で主体的に環境を整えることができるという気づきを得てもらうことでした。

 

森ノオウチでは、天井裏に羊毛の断熱材を10㎝敷き詰めた。天井の表面温度は2℃から5℃も変わり、冷暖房が以前よりは効くように

 

 

断熱工事というのは、壁の内部、天井の上、床下など、できあがってしまえば覆われてしまう部分なので、とても地味。人間は基本的には目に見えるものが大好き、視覚情報にかなり影響を受ける動物です。住まいでも、断熱よりも内装インテリアに気が向きがちなのも、そういう理由かと思います。でも、見えない部分にこそ気を使い、お金をかけるという贅沢、密かな楽しみと考えてみると、どうでしょうか? 既に、断熱性能の高い家は増えてきており、その暮らしが「普通」になっている人も一方ではたくさんいるのです。

 

内窓をつくる講座は二度行なった。おかげで、窓辺に近づくと寒いということはなくなった。夏場は暑すぎる日射を防ぐ効果もある

 

これはとても極端な例ですが、一戸建ての住まいから家族が巣立ち、老父婦二人暮らしなのに毎月2万円近く電気代を支払っているという方がいました。これは梅原家の電気代の一年ぶんに近い! もちろんわが家の小さく質素な団地暮らしと比べれば広い家で優雅な暮らしをしておられるので比較するのは乱暴ですが、単純にそれを10年続けたらどうでしょうか?

 

仮に、ひと月の電気代2万円×12カ月で、年間24万円支払っているとすると、10年間で240万円が自分の暮らしの外に出ていってしまうことになります。梅原家の電気代は、多めにみて、ひと月2千円としても10年間で24万円ですから、その差は216万円。車が買えてしまう値段……。かなり豪勢な海外旅行にも行けちゃいますが、その金額があれば断熱工事もできますよね!

 

とても幸運なことに、我が団地では、現在、大規模改修により窓をペアガラスにする工事が行われており、うちの隙間風ぴゅうぴゅうだった窓もどっしりしてぴったり閉まる窓に

 

団地の窓の交換は、賃貸契約で住んでいる梅原家にとっては棚ぼた的出来事です。つけた当日からその効果を体感しました。まず、隙間風がない、音も遮られるのでとても静か。気密性が高まったため、しっかり守られているという感覚があって、自宅がホテルに格上げされたかと思うほどでした。

 

しかし窓枠はアルミのまま。アルミは冬冷たく、夏暑くなる金属素材です。アルミの面積は倍以上に増えたので結露が心配でしたが、北側の部屋の窓枠には結露しても、南側の窓は結露なしの状態が続いています。いろいろ実験してみて、うちでは、窓についている換気のための小さな窓を開けておくと、部屋の温度が下がりすぎず、結露も少ないことがわかりました。

 

別の団地やマンションでは、窓の断熱工事が入ったおかげで、逆に結露がひどくなったという声もあったので、もともとの部屋の場所や環境によって、かなり差があるようです。

「アルミサッシではなく、樹脂や木枠の窓だったら結露しないだろう」と、森ノオトライターでショセット設計事務所の山川紋さんは話していました。樹脂や木は、金属に比べると、熱を通しにくく温度変化が少ないのです。

 

ところで、ちょっと面白いのは、私が部屋が寒い状態にあまりに慣れていたためなのか、最近冷え性ではなくなったためなのか、気がつくとなんだか暑いんだけど! と感じてしまうことです。玄関を出た時に、室内との温度差に驚くとか、聞こえていた外の音が聞こえないのは、あらちょっとさみしいかもと感じることもあります。

 

それでも、こうして一度断熱効果を体感すると、元の環境に戻りたいとは思わないですね。家族が過ごすリビングの窓だけとか、部分的に取り替えるだけならば、プロに頼んでも30〜50万円くらい、仲間内でDIYでつくるなら、プライスレスから高くても10万円くらいと思っておくとよいのではないでしょうか。それを機に、居室全体をエコリノベーションする場合、条件が合えば補助金も出るので少し負担が減りますよ。

 

 

(その7に続く)

……夜話(やわ)とは、

(1)夜間にする談話。また、それを書き記した書物。

(2)気軽に聞ける話、また、そのような内容の本。

(3)禅宗で、夜に修行場の訓話をすること。

Information

横浜市建築局の住まいのエコリノベーション推進事業(平成29年度のものです)

http://www.city.yokohama.lg.jp/kenchiku/housing/sumai-eco/hojo/

梅原 昭子
この記事を書いた人
梅原昭子理事/事務局長/ライター
難しいものをおもしろく、かたいものをやわらかく翻訳し、絵で表現できる編集者。市民電力会社「たまプラーザぶんぶん電力」の社長になってしまうが、エネルギーの世界にも飄々とたゆたう視点で、こんがらがった世界を解きほぐす。アートユニット「WAKUSEI/ワクセイ」として縦横無尽に活動中。
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